1.軒裏(軒天)とは
軒裏・軒天とは、屋根の真下部分にある壁の事で、屋根の裏の部分を指します。
軒裏、軒天は、同じ部分を指しています。
最近の住宅では、建築主や家主の意向によって、
軒裏を設けていないケースが増加傾向にありますが、
もともと軒裏は家を守るために設置していたもので、
あることで受けられるメリットや、デメリットがあります。
メリットの1つは、隣家で火災が発生した場合に、
その延焼を防止する効果があることです。
使用する頻度は高くありませんが、万一に備えた機能となっています。
そのため、軒裏には、準防火地域の木造2階建ての場合、
30分以上の耐火時間が必要というように、
一定基準を満たす防火性能が求められています。
次に、屋根裏の換気ができるというメリットもあります。
屋根裏を換気することで、屋根裏内の結露を防止し、
家が苦手とする湿気から守ることができます。
しかし、軒裏にもデメリットがあります。
それは、軒裏自体が経年劣化するため、きちんとメンテナンスを行わなければならないという点です。
ここでは、軒裏の劣化の判断基準と、メンテナンス方法についてご紹介します。
2.軒裏の劣化
軒裏も建築物の一部ですので、外壁や屋根と同様に劣化します。
その軒裏の劣化については、以下の症状があります。
①色褪せ
軒裏は、直接紫外線が当たる場所ではありませんので、
その速度は緩やかですが、照り返し等の原因で色褪せが発生します。
しかし、色褪せそのものは、軒裏の色の問題であるため、軒裏の機能としては、まだ問題はありません。
②はがれ
軒裏に合板や化粧板を使用している際に発生しやすい現象で、
表面だけが剥がれている場合から、軒裏の板がはがれている場合まで、
様々な状態があります。表面だけが剥がれている場合であれば、
きっちり剥がれている部分を剥がし切って、
きれいにしてから塗装することで補修はできますが、
比較的内部まで剥がれが進んでしまうと、塗装だけでは補修することができません。
無理に塗装を行っても、板の剥離に伴って、せっかく塗った塗料もボロボロに剥がれてしまい、
汚く見えてしまう上に、塗装の効果が得られません。
そのため、軽度な剥がれ以外の場合は、軒裏の張り替えを検討する必要があります。
③シミ
軒裏は、基本的には屋根がきちんと排水できている限り、シミは発生しません。
軒裏にシミが発生するのは、屋根で排水しきれずに、家の内側に雨水が入り込み、
そこから軒裏に入り込んでくる場合です。
つまり、一旦家の中にまで入り込み、そこからさらに移動しているということは、
家の中で雨漏りする可能性が非常に高い状態ということです。
軒裏でシミを発見した場合は、すぐに業者に調査を依頼する必要があります。
④藻・カビの付着
藻やカビの発生についても、軒裏に湿気が含まれているという点で、
シミと同様に注意が必要です。
しかし、シミとは違い、少しの湿気や雨水でも発生するため、
シミほど緊急性は高くありません。屋根や軒裏できっちり排水ができているか、
しっかり確認しておく必要があります。
⑤部品の欠落、穴あき
劣化によって、部品が落下したり、軒裏に穴が開いてしまっている状態です。
このまま放置してしまうと、部品の穴や劣化による穴に虫や小動物、
鳥などが入り込み、内側から家を破壊してしまう可能性があります。
そのため、できるだけ早く対応する必要があります。
3.軒裏のメンテナンス
①塗装
軒裏に目立った大きな劣化がないうちに、定期的に塗装を行っておくことで、
軒裏の耐久年数を伸ばすことができます。
劣化状態の「①色褪せ」の場合や、「②剥がれ」の中でも軽傷なものについては、塗装で補修することができます。
塗装を行う場合は、しっかりと軒裏の汚れを取り、
剥がれなどもきれいに処置してから塗り始めなければ、
汚れの上や剥がれかけている板の上から塗ることとなり、
塗装による補修の効果は見込めません。
塗装を行うことにより、軒裏に塗膜ができ、
外部からの湿気や雨水から軒裏を守ることができます。
②張り替え
塗装だけでは補修がしきれないほど劣化している状態である場合は、
軒裏の板を張り替える必要があります。
この場合、劣化している一部分だけを張り替えるのではなく、全面張り替えなければ、
張り替え前後の部分で劣化の速度が異なり、すぐに他の部分が劣化してしまいます。
その都度、補修をしていると、時間もコストも無駄にかかってしまうため、
軒裏に穴があいている場合や、軒裏の板が大部分剥がれている場合などは、
軒裏の板を全面張り替えるほうが、結果として安く抑えることが可能です。
4.まとめ
軒裏についてもきっちりメンテナンスと行っておけば、
定期的な塗装代だけで長く利用することができますが、
メンテナンスを行わずに放置しておくと、劣化状態に気付かずに、
軒裏の張り替えしかできないという状況に陥ることとなります。
軒裏についても、屋根や外壁と同時に塗装を行うことをおすすめいたします。
お住まいのお悩み、お気軽にご相談くださいね。