1.ベランダとは

 「ベランダ」という言葉を聞いて、どういうものか全く想像できないという方はいらっしゃらないと思います。ご存知の通り、ベランダとは、建物からせり出した、人の歩ける場所のことを言います。さらに、ベランダの定義としては、屋根がついているというものがあります。つまり、建物からせり出した、人の歩ける場所はあるが、屋根が付いていないという場合は、「ベランダ」とは言いません。

では、そのような場所を何というかというと、「バルコニー」と言います。「ベランダ」と「バルコニー」の違いは、屋根の有無ということになります。と、言い方に差はあるものの、ベランダもバルコニーも屋外にせり出した部分であることには変わりありません。そのため、屋根や外壁と同様に、劣化するということを覚えておかなくてはなりません。

2.ベランダの劣化

ベランダは、バルコニーと違って屋根がついているといっても、屋外にせり出した場所であることに変わりはありません。屋根によって多少は保護されているところは良いのですが、一般的に屋根が無い分、雨や風などご直に当たりやすく、外壁以上に劣化に気を付けなければなりません。ベランダの劣化を放置しておくと、建物内部の腐食や雨漏りの原因となってしまいます。そのため、ベランダの劣化の種類をきちんと知り、早期発見を行うことが重要です。

①ひび割れ

 ベランダのひび割れには、ベランダの外壁部分のひび割れと、床部分のひび割れの2種類があります。ベランダの外壁は、家の外壁同様に塗装が施されていますので、この塗膜がひび割れを起こしているということになります。しかし、床については、大半が塗装ではありません。この場合、床の防水層がひび割れしている状態となります。

②剥がれ、膨らみ

 ベランダの剥がれや膨らみについても、外壁部分に発生しているか、床部分に発生しているかで状況は異なります。外壁部分の剥がれや膨らみについては、大半はひび割れを放置していた結果で、ひび割れから水分が侵入したことにより、塗膜の内側で水蒸気が発生し、それが原因で塗膜が膨らんでしまい、それが悪化することで剥がれにつながったという状況です。

また、塗装を行う際に下地処理をきちんとおこなっていなかったことが原因となるケースもあります。床に膨らみや剥がれがある場合は、注意が必要です。同じくひび割れを放置した結果、膨らみや剥がれにつながるのですが、ベランダの床には防水層がありますが、それが剥がれている状況ですので、雨などによる水の侵入を全く防ぐことができないという状況になっています。この状況の場合は、すぐに対処しなければ、家の内部から腐敗することにつながりますので、早急に業者に連絡して対処しなければなりません。

③ベランダの雨漏り・染み

 構造的にベランダの床面を下から見れる構造に限りますが、床面に雨漏りの跡や雨染みがある場合、ベランダの床に水が侵入している状況であるため、早急に業者に連絡して対処する必要があります。このケースも放置しておくと家の内部に水が侵入することで腐敗してしまう事につながります。

④ベランダの排水不良

 ベランダの排水不良には、2つの原因が考えられます。

1つは排水管がゴミ等で詰まってしまったことにより、せき止められてしまっている状態です。この場合は、配水管のゴミを掃除するだけで解決できます。

もう1つがベランダの勾配がなくなってしまっている状態です。本来、配水管に向かって水が流れるように、ベランダには勾配が付けられていますが、それが何らかの原因でなくなってしまった場合、水が配水管にむかって流れず、水たまりとなってしまいます。

床や外壁にヒビや剥がれがなければ、早急に対処しなければならないということはありませんが、床や外壁が劣化した場合、水たまりからベランダ内部に浸水することになりますので、早めに対処したほうがいいトラブルとなっています。

3.ベランダのメンテナンス

 ベランダの外壁は、家の外壁と同様に定期的な塗装工事を行うことで、塗膜を貼りなおし、水の侵入を抑えることができます。ベランダの床面は、塗装工事ではなく、防水工事を行うことでメンテナンスを行います。具体的には、「ウレタン塗膜防水工法」「FRP防水工法」といわれる方法で行います。ウレタン塗膜防水工法は、比較的簡単な防水工事で、液体状の材料を使用して行います。そのため、どのような形状であっても継ぎ目がない防水膜が貼れるという特徴があります。FRP防水工法は、防水用ポリエステル樹脂と防水用ガラスマットで防水層を作る工法となります。そのため、ウレタン塗膜防水工法よりも高度が堅いのが特徴です。

下塗りについて

ベランダは特に劣化が激しいです。下地の状態に合わせて柔軟に対応してもらうと良いです。今回はボンタイルの痛みが激しく、シーラー(接着剤)の吸い込みが激しかったので、何度も塗り重ねておきました。

ベランダ手すりのケレン作業

ケレン作業が塗料の密着性が高まります。

4.まとめ

 ベランダも建物の一部である以上、きっちりとしたメンテナンスを行わなければ、そこから建物の内部腐敗につながる要因となり得る劣化が生じます。まずは、定期的な塗装工事や防水工事を行い、ベランダの劣化を防止しましょう。また、定期的にベランダが劣化していないことを確認してください。