ケレン作業の重要性

 ケレン作業は、外壁塗装工事の品質を決定する非常に重要な作業であると説明しました。なぜ、ケレン作業が重要なのかというと、ケレン作業を行わずに、サビや汚れ、古くなった塗膜の上から塗装を行うと、塗装する面に大きな凹凸があるため塗装にムラが生じてしまい、美しく塗ることができません。

また、そのようにして行われた塗装は、外壁にしっかりと塗料が乗っておらず、サビや汚れの上に塗料が乗っているという状態ですので、外壁からサビや汚れが剥がれ落ちるときに、塗料も剥離してしまいます。また、外壁に塗料が乗っていませんので、サビや汚れと外壁の間に空洞ができてしまいます。その隙間は、塗料による防水性能は期待できませんので、水が入り込んでしまうと、家の内部が腐食してしまうという問題もあります。

つまり、ケレン作業は外壁塗装の美観だけでなく、耐久性にも大きく影響する重要な作業であると言えます。

ケレン作業の内容

 ケレン作業は、鉄の部分のサビをしっかり落とす作業がメインとなります。では、木造部分にはケレン作業を行わなくてもいいのかというと、そうではありません。木造部分では、サビはありませんが、木の毛羽立ちなどによる凹凸を慣らす作業が必要となります。

また、完全にツルツルに磨かれた状態では、逆に塗料が付着しません。そのため、細かな傷をつけて、塗料の乗りをよくするのもケレン作業の目的の一つと言えます。

ケレンの種類

ケレン作業は、外壁の状態によって、2種ケレンから4種ケレンの中から、適切なケレンを行います。

  • 1種ケレンはサビや腐食が相当ひどい場合に使われることがありますが、一般住宅で行われることは、まずありません。なぜなら、一般住宅の場合において、1種ケレンが必要な場合は、その部分を取り換えてしまうほうが安価であるためです。1種ケレンは、ブラスト工法によりサビや古い塗膜を除去する方法になりますが、ブラスト工法は粉じんや騒音など、環境への配慮が必要とされていますので、非常に高価な作業となってしまいます。
  • 2種ケレンは、重度のサビや腐食がある場合に行われるケレン作業です。2種ケレンでは、電動工具を使用して、徹底的にサビや古い塗膜を除去します。2種ケレンも、非常にコストと手間が発生するため、取り換えの方が安価な場合が多く、一般住宅ではあまり使われることはありません。価格は、1㎡当たり1,400円~2,200円が相場となっています。
  • 3種ケレンは、サビや古い塗膜の劣化がひどくなく、サビていない部分や塗膜が劣化していない部分が残っている状況で使われるケレン作業です。3種ケレンは、主に手作業か電動工具によるブラッシングでサビや古い塗膜と除去します。3種ケレンが、ケレン作業において最も選択されているケレン作業になります。価格は、1㎡当たり500円~1,200円が相場となっています。
  • 4種ケレンは、サビや古い塗膜がほとんどなく、表面を洗浄するレベルできれいにできる状態の場合に選択されるケレン作業です。主に手作業で、紙やすりを使用して行われます。価格は、1㎡当たり200円~400円が相場となっています。

 

まとめ

 ケレン作業はサビや汚れ、腐食の度合いによって、コストが大きく異なります。特に、1種ケレンや2種ケレンを行わなければならないほど、重度なサビや腐食がある場合は、ケレン作業ではなく、取り換え作業になりますので、非常に高価な工事となってしまいます。

 しかし、そこで取り換えを行わずに、塗装でだましだまし使っていたとしても、塗装自体の耐久性も下がるうえに、塗料がしっかりと付着しませんので、家そのものの耐久性も下がってしまう事となります。そのため、1種ケレンや2種ケレンが必要な状態まで進んでしまうと、非常に高いコストを支払わなければならなくなるのです。

しかし、3種ケレンで対応できる状態で外壁塗装工事を定期的に行っておけば、サビや汚れ、腐食も定期的にきれいに取り除かれていますので、比較的安く、塗装もいい状態をキープすることができます。さらに、塗膜が古くなる前に塗り替えますので、防水性能も高く、家へのダメージも少なくて済みます。(ここでの作業の質が、品質につながり、良い職人かどうかの分かれ目になります。)そのため、定期的に外壁塗装工事を行うことで、外壁のメンテナンスを行うことをおすすめいたします。