シーリングの種類

 シーリングには、大きく分けて1成分型と2成分型という分類の方法があります。その中に、それぞれ材質によって、「アクリル系」「ウレタン系」「ポリウレタン系」「シリコン系」「変性シリコン系」「油性コーキング系」「ポリサルファイド系」といった様々な種類があります。

  • 1成分型とは、シーリングの成分だけで自然と硬化するタイプのことを指し、
  • 2成分型とは、シーリングの成分だけでは硬化せずに、硬化剤などを混ぜることによって硬化させるタイプのシーリングを指します。

1成分型と2成分型の違い

 1成分型のシーリングは、シーリングのみを使用すればいいため、手軽にシーリングを扱うことができるという特徴があります。そのため、1成分型は、主にご自身でシーリングのメンテナンスを行う一般の方向けの商品としてホームセンター等で取り扱われていることが多い商品となります。1成分型のほとんどの商品は、空気中の水分と化学反応を起こして硬化するため、天候による影響を非常に受けやすい商品であるとも言えます。そのため、晴れた日に行う場合と、湿度の高い日に行う場合とでは、硬化するまでの時間に大きな差が生じ、結果として、仕上がりにムラができる結果となります。

また、1成分型シーリングは、乾燥時にシーリングが痩せるという特徴も有しています。そのため、2成分型シーリングと同量を充填した場合は、乾燥後は1成分型シーリングのほうが分量が少なくなっているといえるのです。

 一方、2成分型のシーリングは、シーリングと硬化剤の混合作業が必要となります。混合作業には、専用の攪拌機を使用するため、一般の方が使用するにはハードルの高い商品となりますが、硬化する条件が空気中の水分ではなく硬化剤となっていますので、安定して硬化させることができるシーリングとなっています。そのため、2成分型のシーリングは、主に業者が使用するシーリングとして商品化されています。

2成分型シーリングの施工方法

 2成分型シーリングの施工は、基本的には1成分型のシーリングの施工方法と大きく変わりません。初めに、シーリングを充填する部分の清掃をしっかり行い、古いシーリングをすべて取り除きます(打ち替えの場合)。掃除の終わった充填部分に対して、バックアップ材を装填します。バックアップ材が装填できない場合は、目地の底にボンドブレーカーを貼付します。その後、シーリングがしっかり密着するよう、プライマーをムラが無いように塗り、乾燥するまで待ちます。

 その間に、シーリングと硬化剤の混合作業を行うことになります。シーリングに硬化剤を混ぜることで徐々に硬化が始まってしまうため、実際に使用する直前にシーリングと硬化剤の混合作業を行うことになります。しっかりと混合作業を行った後、プライマーが乾いていたら、シーリングの充填を実施します。こうすることで、シーリングがしっかりと外壁材に密着し、耐久性の高いシーリングのメンテナンスを行うことができます。

1成分型シーリングを使用する外壁材に注意

 1成分型シーリングを使用するすべての外壁に使えるというわけではありません。サイディングでは、1成分では非常に高くなっています。しかしRC構造では2成分型の方が良い場合があります。2成分型シーリングを扱うためには、専用の攪拌機を使用して混合作業が必要になったり、細かい作業で必要となる特殊な「ガン機」を用意しなければなりません。

これらの初期投資には、数十万円という金額が必要になるほか、これらを取り扱うことができる職人さんの存在が必要不可欠となります。

 一方、1成分型シーリングであれば、ホームセンターなどで150円程度出せば、専用の「ガン機」を購入することができますし、混合作業が必要ありませんので専用の攪拌機も必要ありません。さらに、誰でも簡単に使用できますので、熟練の腕を持つ職人さんも必要ありませんので、低コストで工事を行うことができるのです。しかし、前述した通り、1成分型シーリングを使用した場合は、天候によって品質が大きく左右されるほか、タイミングによって大きくムラが生じることになります。色んな条件を考慮して、コーキングを使い分けることが大切です。

シーリング材専用容器回転式撹拌機「カルマゼ」は、その名前の通り、2成分型のシーリングをかき混ぜるための機材です。

シーリングの種類の違いについて

 今回導入した、シーリング材専用容器回転式撹拌機「カルマゼ」も、この2成分型のシーリングの撹拌に使用する専用の機材の1つですね。また、拡販用の機材の他に、撹拌後のシーリングを吸い込み、打ち込みを行うための「ガン機」と呼ばれる機材も必要になります。このような専用の機材を購入しなければなりませんので、2成分型のシーリングを使用するには、1成分型のシーリングを使用するよりも初期投資がかかります。

しかし、初期投資を行ってしまえば、シーリングの量当たりの単価は2成分型のシーリングのほうが安く抑えることができます(価格差はおよそ1/2程度)。また、2成分型のシーリングのほうが痩せにくいという特徴がありますので、品質を高めるには2成分型のシーリングのほうが優れています。

一般的な塗装業者のシーリング

 実は、多くの塗装業者は1成分型のシーリングを使用しています。2成分型のシーリングを使用しない理由としては、撹拌という作業が追加されますので、その作業を行いたくないという業者が多いという点と、撹拌の失敗により、品質が大きく低下するリスクがあるという点、そもそも初期コストをかけたくないという3つの理由が考えられます。2成分型のシーリングは、撹拌が不足していると、シーリング材がうまく硬化しません。そのため、せっかくシーリングを打ち直したにも関わらず、すべて取り除いて、新しいシーリングを打ち直さなければならないというリスクが生じます。

 一方、1成分型のシーリングであれば、多少単価は高くても、撹拌不足によって硬化しないというリスクはありませんので、安全に使用することができます。そのため、2成分型のシーリングを取り扱わない塗装業者が増えてきています。

しかし、先述した通り1成分型のシーリングは、コストが高いわりに痩せやすいというデメリットが存在します。そもそもシーリングは、外壁材同士をつなぎ合わせるために使用するもので、その間から水分が入ってしまうと外壁材そのものの劣化が早くなってしまいます。痩せやすいということは、それだけヒビが入りやすく、外壁材の中に水分が入る可能性を高めることにつながります。つまり、品質面ではあまりよろしくありません。

通常の2成分型シーリングの撹拌機は、

容器を固定して、容器の中に撹拌するためのプロペラ等を入れて撹拌するのに対し、「カルマゼ」は、容器そのものを回転させることで撹拌を行います。たまに街で見かけるコンクリートのミキサー車のイメージですね。容器を回転させて撹拌しますので、撹拌の効率が良く、撹拌不足によって硬化しづらいというデメリットを未然に防止することができます

 また、タイマー予約の機能もついていますので、シーリングを打ち直す直前に撹拌を仕上げるように予約することもできます。2成分型シーリングは撹拌後から徐々に硬化が始まっていきますので、作業直前に撹拌が終了するのが望ましいのですが、これまでは撹拌時間を考えながら他の作業をスケジューリングする必要がありました。しかし、予約機能によって、他の作業に集中しながらも、シーリングを使用する直前に撹拌が終了しているという作業効率もアップする画期的な機材を導入しました。