「外壁塗装で失敗した」という声を、父の代から創業50年、2代目として200件以上の施工に携わる中で聞き続けてきました。
色が思っていたのと違う。3年で剥がれてきた。追加費用を請求された。工事が途中で止まった…。こうしたトラブルの多くは、**事前に知識があれば防げるもの**です。
本記事では、私が著書『外壁塗装の不都合な真実』『外壁塗装の品質公式』『工程別チェックポイント21』の3冊で明かしてきた業界の実態と、トラブルを防ぐための具体的な方法をお伝えします。
はじめに:外壁塗装で起こりやすいトラブル
国民生活センターに寄せられる相談
外壁塗装に関するトラブル相談は、毎年5,000件以上。その内訳を見ると、いくつかのパターンに分類できます。
| トラブル内容 | 割合 |
|-------------|------|
| 仕上がりへの不満 | 35% |
| 契約・解約トラブル | 25% |
| 価格に関する問題 | 20% |
| 工期の遅延 | 10% |
| その他(近隣問題等) | 10% |
業界の「不都合な真実」
私が著書『外壁塗装の不都合な真実』で書いた内容の一部をお伝えします。なお、品質の考え方は『外壁塗装の品質公式』で、具体的なチェック方法は『工程別チェックポイント21』で詳しく解説しています。
**真実1: 見積もり金額の3〜4割は広告費と中間マージン**
大手リフォーム会社やポータルサイト経由の見積もりには、多額の広告費と中間マージンが含まれています。100万円の工事なら、30〜40万円が施工以外のコスト。これが「同じ工事でも価格差が大きい」理由です。
**真実2: 「激安」には必ず理由がある**
相場より極端に安い見積もりを出す業者は、どこかでコストを削っています。
- 下地処理の省略
- 塗料の過剰希釈(水やシンナーで薄める)
- 工程の短縮(乾燥時間を待たない)
- 塗り回数の削減(2回塗りで済ませる)
これらは見た目ではわかりません。数年後に剥がれて初めて気づきます。
**真実3: 「オリジナル塗料」の正体**
「当社オリジナル塗料」と謳う業者がいますが、塗料メーカーでない会社が塗料を開発することは現実的ではありません。多くは既製品に自社ラベルを貼っただけ。品質が不透明で、メーカー保証も受けられないケースがあります。
施工前のトラブル防止チェックリスト
業者選びの7つのポイント
**1. 許可・資格の確認**
- 建設業許可(塗装工事業)を持っているか
- 一級・二級塗装技能士が在籍しているか
**2. 実績の確認**
- 創業年数と施工実績数
- 地元での評判(口コミだけでなく近所の人にも聞く)
- 施工事例の写真(ビフォーアフター)
**3. 見積書の詳細度**
- 「一式」だけでなく、各工程の明細があるか
- 塗料名(メーカー・製品名)が記載されているか
- 塗布面積(㎡)が明記されているか
**4. 保証内容**
- 保証期間と保証範囲
- 免責事項(対象外になるケース)
- 会社が倒産した場合の対応
**5. アフターフォロー**
- 定期点検の有無と頻度
- 不具合発生時の連絡先
- 補修対応の費用(有料か無料か)
**6. 契約前の対応**
- 質問に対して誠実に答えるか
- 不安を煽るセールストークがないか
- 即決を迫らないか
**7. 人工(ニンク)の確認**
- 工事に何人工かかるか聞いてみる
- 30坪で20人工未満なら工程省略の疑いあり
見積書の危険サイン
以下の特徴がある見積書は要注意です。
- **「塗装工事一式 ○○万円」だけの記載**
→ 何が含まれているか不明。追加請求の温床に
- **塗料名が書いていない、または「シリコン塗料」だけの記載**
→ グレードが確認できない。低品質塗料の可能性
- **足場代が異常に安い(10万円以下など)**
→ 足場を省略、または危険な単管足場の可能性
- **相場より30%以上安い**
→ どこかで必ずコストカットしている
- **有効期限が極端に短い(「本日限り」など)**
→ 即決を迫る悪質な手法
よくある問題とその解決法
施工中のトラブル
**問題1: 塗料の飛散**
隣家の車や外壁に塗料が付着するトラブルです。
*予防策*
- メッシュシートで足場を完全に覆う
- 風の強い日は塗装を中止
- 隣家との距離が近い場合はブルーシートで二重養生
*発生した場合*
- すぐに業者に連絡し、現場を確認
- 写真を撮影して記録
- 業者負担で清掃・補修を依頼(通常は業者の賠償保険で対応)
**問題2: 騒音・臭気問題**
足場設置時の金属音、高圧洗浄機の音、溶剤系塗料の臭いが近隣トラブルの原因に。
*予防策*
- 工事前に近隣へ挨拶と説明
- 作業時間を配慮(8時〜17時など)
- 臭いが気になる場合は水性塗料を検討
**問題3: 工期の遅延**
天候不良、下地の想定外の劣化、職人の手配ミスなどで工期が延びることがあります。
*予防策*
- 契約時に「雨天時の対応」を確認
- 梅雨・台風シーズンは余裕を持ったスケジュール
- 遅延時の連絡体制を事前に確認
施工後のトラブル
**問題4: 塗りムラ・色ムラ**
光の角度によって色の濃淡が見える状態。職人の技術不足や塗料の希釈ミスが原因。
*チェック方法*
- 朝・昼・夕方と異なる時間帯で確認
- 斜めから見て凹凸がないか確認
- 入隅(壁の角)や窓周りを重点的に
*対応*
- 完成検査時に指摘し、手直しを依頼
- 引き渡し後に発見した場合も保証期間内なら対応可能
**問題5: 塗膜の剥がれ**
塗装後1〜3年で塗膜が剥がれてくるケース。原因のほとんどは**下地処理不良**です。
*よくある原因*
- 高圧洗浄が不十分で汚れが残っていた
- 旧塗膜のケレン(削り取り)が不十分
- 下塗りを省略、または薄く塗った
- 乾燥時間を守らず重ね塗りした
*対応*
- 保証期間内なら無償補修を依頼
- 保証対象外と言われた場合は、第三者機関に相談
- 写真と契約書、見積書を保管しておく
**問題6: 色が想像と違う**
サンプルで見た色と、実際に塗った色が異なるケース。
*原因*
- 小さいサンプルと大面積では色の見え方が異なる(面積効果)
- 室内の蛍光灯下と屋外の自然光では色が違って見える
- 下地の色が透けている
*予防策*
- A4サイズ以上のサンプルで確認
- 屋外で自然光の下で確認
- 試し塗りを依頼(有料の場合あり)
「人工(ニンク)」で業者を見極める
人工とは何か
塗装業界では、工事量を「人工(にんく)」で表します。**1人の職人が1日働く量が「1人工」**です。
この概念を知っておくと、見積もりの妥当性を判断できます。
適正人工の目安
30坪(約100㎡)の戸建て住宅の場合、適正な人工数は以下の通りです。
| 工程 | 人工数 | 備考 |
|------|--------|------|
| 足場設置 | 2人工 | 2人×1日 |
| 高圧洗浄 | 1人工 | 洗浄+乾燥確認 |
| 下地処理 | 4〜6人工 | 最も変動が大きい |
| 養生 | 1人工 | |
| 下塗り | 2人工 | |
| 中塗り | 2人工 | |
| 上塗り | 2人工 | |
| 付帯部塗装 | 3〜4人工 | 雨樋、破風等 |
| 検査・手直し | 1人工 | |
| 足場解体 | 2人工 | |
| **合計** | **20〜25人工** | |
人工数が少ない業者の危険性
見積もりの人工数が15人工以下の場合、以下のような手抜きが疑われます。
- **下地処理の省略**: 4人工→1人工に削減
- **塗り回数の削減**: 3回塗りを2回で済ませる
- **乾燥時間の短縮**: 本来24時間→4時間で重ね塗り
- **付帯部の省略**: 雨樋や軒天を塗らない
人工単価の目安
職人1人工あたりの単価は、地域や技術レベルによって異なります。
- 一般的な職人: 18,000〜22,000円/人工
- ベテラン職人: 25,000〜30,000円/人工
- 見習い: 12,000〜15,000円/人工
30坪の住宅で人工単価2万円、20人工なら人件費だけで40万円。ここに塗料代、足場代、経費が加わります。**「総額50万円」で利益が出るはずがない**ことがわかるでしょう。
トラブル防止のためのQ&A
Q: 見積もりが安すぎる業者は大丈夫?
**A:** 大丈夫ではありません。
30坪の外壁塗装で相場は80〜120万円程度。これが50万円を切るような見積もりは、必ずどこかで手を抜いています。
「安くて良い工事」は存在しません。**「適正価格で良い工事」か「安くて悪い工事」かの二択**です。
Q: 工事中に追加費用を請求されたらどうすれば?
**A:** まず、追加工事の内容と理由を書面で説明してもらいましょう。
正当な追加費用:
- 足場を組んで初めて発見した重大な劣化
- 想定外の雨漏り被害
- 施主の希望による仕様変更
不当な追加請求:
- 最初から見積もりに含めるべき項目
- 契約時に説明のなかった「必須工程」
- 「やらないと保証できない」と脅す手法
納得できない場合は、その場で承諾せず、消費生活センターに相談してください。
Q: 完成後に不具合を発見したらどうすれば?
**A:** すぐに業者に連絡し、書面で報告しましょう。
- 不具合箇所の写真を撮影(日付入り)
- 業者に電話で連絡
- 書面(メールでも可)で正式に報告
- 対応期限を確認
- 対応内容を記録
保証期間内であれば、無償補修が基本です。「自然劣化だから保証対象外」と言われた場合は、第三者機関(住宅リフォーム紛争処理支援センターなど)に相談を。
Q: 保証はどこまで適用される?
**A:** 保証には2種類あります。
**工事保証(施工店保証)**
- 施工の不具合に対する保証
- 期間は5〜10年が一般的
- 施工店が倒産すると無効になることも
**メーカー保証(塗料メーカー保証)**
- 塗料自体の不具合に対する保証
- 適用条件が厳しい(施工方法、塗布量など)
- メーカーの審査が必要
保証書の「免責事項」を必ず確認してください。以下は保証対象外になることが多いです。
- 自然災害(台風、地震、雹など)
- 経年劣化
- 施主の行為による損傷
- 設計・構造上の問題に起因するもの
費用に関する注意点
適正価格の見極め方
外壁塗装の費用は、大きく以下の要素で決まります。
**1. 塗布面積(㎡)**
延床面積30坪の場合、外壁面積は約120〜150㎡が目安
**2. 塗料グレード**
| グレード | ㎡単価目安 |
|---------|-----------|
| シリコン | 2,300〜3,000円 |
| フッ素 | 3,500〜4,500円 |
| 無機 | 4,500〜5,500円 |
**3. 下地の状態**
劣化がひどいほど下地処理費用が増加
**4. 付帯部の範囲**
雨樋、破風、軒天、雨戸など、塗る範囲が多いほど高くなる
**5. 足場代**
15〜25万円程度(建物形状による)
相場の目安(30坪戸建て)
| 塗料グレード | 費用目安 |
|-------------|---------|
| シリコン | 80〜100万円 |
| フッ素 | 100〜130万円 |
| 無機 | 120〜150万円 |
この範囲から大きく外れる見積もりは、何か理由があります。
助成金・補助金の活用
自治体によっては、外壁塗装に助成金が出る場合があります。
- 省エネリフォーム補助金(断熱・遮熱塗料使用)
- 住宅リフォーム補助金(自治体独自)
- 空き家活用補助金
申請は工事着工前が基本。契約後では間に合わないことがあるため、見積もり段階で確認しましょう。
まとめ:安心して外壁塗装を依頼するために
外壁塗装のトラブルは、**「知らないこと」につけ込まれる**ケースがほとんどです。
本記事でお伝えした内容を押さえておけば、悪質な業者を見抜き、適正な工事を受けることができます。
最後に、私が常にお伝えしていることを繰り返します。
**品質 = モチベーション × 技術 × 時間**
安さを追求すれば、時間が削られます。時間が削られれば、品質が下がります。数年後に再塗装が必要になれば、結局高くつきます。
「安物買いの銭失い」にならないよう、適正な価格で、誠実な業者に依頼してください。
*業者選びに不安がある方は、セカンドオピニオンとして見積書のチェックを承ります。扶桑町・犬山・江南エリアの方はヨコイ塗装まで、県外の方は[外壁塗装のセカンドオピニオン](https://gaiheki-second-opinion.com/)をご利用ください。*
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