外壁塗装の工程完全ガイド|準備から完了まで21のチェックポイント

著者: ヨコイ塗装

外壁塗装は「塗るだけ」の単純な工事ではありません。父から受け継いだ2代目として、創業50年のヨコイ塗装で200件を超える施工を手がけてきましたが、同じ現場は一つとしてありませんでした。

本記事では、外壁塗装の全工程を「塗装方程式」という独自の視点から解説します。各工程で何が行われ、なぜそれが重要なのか。拙著『工程別チェックポイント21』から抜粋した、施主として知っておくべき21のチェックポイントとともにお伝えします。

はじめに:外壁塗装の品質を決める「塗装方程式」

私はこれまで『外壁塗装の不都合な真実』『外壁塗装の品質公式』『工程別チェックポイント21』の3冊を執筆してきました。その中で一貫して提唱しているのが、この考え方です。

**品質 = モチベーション × 技術 × 時間**

この方程式が意味するのは、いくら技術があっても、やる気がなければ品質は下がる。時間を短縮すれば、どんな名人でも手抜きになる。そして、どれか一つでもゼロになれば、品質もゼロになるということです。

外壁塗装の各工程を理解する際、この方程式を念頭に置いてください。業者がどの工程にどれだけの時間をかけているか。職人のモチベーションを保てる現場環境か。それが見えてくるはずです。

外壁塗装工事の全体像

標準的な工期と流れ

一般的な戸建て住宅(30坪程度)の場合、外壁塗装には**10〜14日間**が必要です。この工期を大幅に短縮する業者には注意が必要です。

| 工程 | 日数目安 | 備考 |
|------|----------|------|
| 足場設置 | 1日 | 近隣挨拶含む |
| 高圧洗浄 | 1日 | 乾燥時間含む |
| 下地処理 | 2〜3日 | 状態により変動 |
| 養生 | 0.5日 | |
| 下塗り | 1日 | 乾燥24時間以上 |
| 中塗り | 1日 | 乾燥24時間以上 |
| 上塗り | 1日 | 乾燥24時間以上 |
| 付帯部塗装 | 1〜2日 | |
| 検査・手直し | 1日 | |
| 足場解体 | 1日 | |

なぜ「下地処理が8割」なのか

私が常に強調しているのは、**「下地処理が塗装品質の8割を決める」**ということです。

どんなに高級な塗料を使っても、下地が不十分なら数年で剥がれます。逆に、標準グレードの塗料でも、下地処理が完璧なら15年以上持つことも珍しくありません。

下地処理にかける時間は、業者の良心を映す鏡です。

専門用語を知ろう

塗装業者との会話で出てくる専門用語を解説します。これを知っておくだけで、見積もりの内容や工事の進捗を正確に理解できます。

塗装工程の基本用語

  • **ケレン**: 旧塗膜や錆を削り取る下地処理。1〜4種に分類され、数字が小さいほど入念
  • **シーラー**: 下塗り材の一種。下地に浸透して接着力を高める
  • **フィラー**: 下塗り材の一種。凹凸を埋めて平滑にする
  • **養生**: 塗料が付着してはいけない部分をビニールやテープで保護する作業
  • **希釈**: 塗料を適切な濃度に薄める作業。水性は水、溶剤系はシンナー

塗料に関する用語

  • **水性塗料**: 水で希釈する塗料。臭いが少なく環境負荷が低い
  • **溶剤系塗料**: シンナーで希釈。密着性に優れるが臭いが強い
  • **樹脂グレード**: アクリル<ウレタン<シリコン<フッ素<無機の順に耐久性が高い

STEP1: 準備段階【チェックポイント1〜7】

*以下のチェックポイントは、拙著『工程別チェックポイント21』より抜粋・編集したものです。*

足場の設置

足場は職人の命を守り、作業品質を左右する重要な設備です。

**チェックポイント1: 足場の種類を確認**

  • くさび式足場(ビケ足場)が主流
  • 単管足場は不安定で品質に影響する可能性あり

**チェックポイント2: メッシュシートの確認**

  • 塗料飛散防止のため全面を覆う
  • 台風シーズンは畳む計画があるか確認

高圧洗浄

**チェックポイント3: 洗浄の圧力**

  • 適正圧力は12〜15MPa
  • 圧力が低すぎると汚れが残り、高すぎると外壁材を傷める

**チェックポイント4: 乾燥時間の確保**

  • 洗浄後は最低24時間、できれば48時間乾燥
  • 湿ったまま塗装すると剥離の原因に

藻やカビがある場合は、高圧洗浄だけでなく**バイオ洗浄**(専用洗剤による殺菌)が必要です。表面だけ落としても、根が残れば再発します。

下地処理・補修

ここが**最も重要な工程**です。私が「8割を決める」と言う理由がここにあります。

**チェックポイント5: ひび割れ(クラック)の補修方法**

  • 0.3mm未満: フィラーで埋める
  • 0.3〜1mm: Vカット後シーリング充填
  • 1mm以上: 構造的な問題の可能性、専門調査を推奨

**チェックポイント6: 旧塗膜の処理**

  • チョーキング(白い粉が出る状態)が激しい場合は入念なケレン
  • 浮いている塗膜は完全に除去

**チェックポイント7: コーキング(シーリング)の状態**

  • ひび割れ、痩せ、剥離があれば打ち替え
  • 「増し打ち」は応急処置。本来は「打ち替え」が基本

現場でよく見る失敗は、古いコーキングの上から新しいものを重ねる「増し打ち」で済ませるケース。見た目は綺麗になりますが、接着面積が少ないため数年で剥がれます。

STEP2: 塗装工程【チェックポイント8〜15】

養生

**チェックポイント8: 養生の範囲**

  • 窓、玄関ドア、エアコン室外機、車、植栽
  • 換気口は完全に塞がない(一酸化炭素中毒の危険)

下塗り

**チェックポイント9: 下塗り材の選定**

  • シーラー: 吸い込みが激しい下地に
  • フィラー: 微細なひび割れを埋めたい場合
  • プライマー: 金属部に

**チェックポイント10: 塗布量の確認**

  • メーカー指定の塗布量を守っているか
  • 薄すぎると密着不良、厚すぎると乾燥不良

中塗り・上塗り

**チェックポイント11: 乾燥時間**

  • 最低4時間、理想は24時間以上
  • 夏場の直射日光下では表面だけ乾いて中が生乾きになることも

**チェックポイント12: 塗料の希釈率**

  • メーカー指定の希釈率(通常5〜10%)を厳守
  • 薄めすぎは塗膜が薄くなり耐久性低下

**チェックポイント13: 塗り回数**

  • 下塗り1回 + 中塗り1回 + 上塗り1回 = 計3回が基本
  • 「2回塗り」は下塗りを省略している可能性

私の現場では、塗料缶の数を施主に報告しています。30坪の住宅なら、下塗り・中塗り・上塗りで合計20〜25缶程度が目安です。極端に少なければ薄く塗っている証拠です。

塗料の種類と選び方

| グレード | 耐用年数 | 特徴 | 価格帯(㎡) |
|---------|---------|------|------------|
| アクリル | 5〜7年 | 現在はほぼ使用されない | 1,000〜1,200円 |
| ウレタン | 8〜10年 | 柔軟性がある | 1,800〜2,000円 |
| シリコン | 10〜15年 | コスパ最良、主流 | 2,300〜3,000円 |
| フッ素 | 15〜20年 | 高耐久、汚れにくい | 3,500〜4,500円 |
| 無機 | 20〜25年 | 最高耐久 | 4,500〜5,500円 |

**チェックポイント14: 塗料メーカーと製品名の確認**

  • 見積書に「シリコン塗料」だけでなく、メーカー名・製品名が記載されているか
  • 「オリジナル塗料」は品質が不透明なことが多い

付帯部・木部の塗装

**チェックポイント15: 付帯部の範囲**

  • 雨樋、破風板、軒天、雨戸、戸袋、水切り
  • 見積書に各部位が明記されているか

木部は外壁と異なり、**浸透性塗料**か**造膜型塗料**かで仕上がりが変わります。木の風合いを残すなら浸透性、耐久性重視なら造膜型を選びます。

STEP3: 仕上げ・検査【チェックポイント16〜21】

完成検査

**チェックポイント16: 塗りムラの確認**

  • 朝・昼・夕方と光の角度を変えて確認
  • 特に入隅(壁の角)は塗り残しが多い

**チェックポイント17: 養生撤去後の確認**

  • テープを剥がした跡に塗料の境目がないか
  • 窓枠やサッシに塗料が付着していないか

**チェックポイント18: タッチアップの有無**

  • 細かい補修跡が目立たないか
  • 職人の丁寧さが現れる部分

アフターケア

**チェックポイント19: 保証書の内容**

  • 保証期間、保証範囲、免責事項を確認
  • 「工事保証」と「メーカー保証」は別物

**チェックポイント20: 定期点検の有無**

  • 1年後、3年後、5年後の点検があるか
  • 点検費用は無料か有料か

**チェックポイント21: メンテナンス方法の説明**

  • セルフチェックのポイント
  • 異常を感じた時の連絡先

「人工(ニンク)」で業者を見極める

塗装業界では工事量を「人工(にんく)」で表します。1人の職人が1日働く量が「1人工」です。

30坪の住宅で適正な人工数は**20〜25人工**程度。これを下回る見積もりは、どこかで工程を省略している可能性があります。

【適正人工の目安(30坪住宅)】
足場設置: 2人工
高圧洗浄: 1人工
下地処理: 4〜6人工
養生: 1人工
下塗り: 2人工
中塗り: 2人工
上塗り: 2人工
付帯部: 3〜4人工
検査・手直し: 1人工
足場解体: 2人工
-------------------
合計: 20〜25人工

見積書に人工数が明記されていない場合は、「この工事は何人工くらいですか?」と聞いてみてください。即答できない業者は、積算をせずに「だいたいこのくらい」で見積もっている可能性があります。

よくある質問

Q: 雨の日は工事できますか?

塗装作業は原則として**雨天中止**です。ただし、足場設置や養生、下地処理の一部は可能な場合もあります。雨が続く梅雨時期は工期が延びることを想定しておきましょう。

Q: 留守でも工事は進められますか?

はい、進められます。ただし、工程の節目(下地処理完了後、上塗り完了後など)では立ち会いをお勧めします。後から「言った・言わない」のトラブルを防げます。

Q: 近隣への挨拶は業者がやってくれますか?

多くの業者が代行しますが、施主も同行するとより丁寧です。特に足場設置時の騒音、高圧洗浄時の水しぶき、塗装時の臭いについて事前に説明しておくとトラブルを防げます。

まとめ:工程を知って安心の外壁塗装を

外壁塗装は、見えない部分にこそ品質の差が出ます。華やかな仕上がりの裏には、地道な下地処理があります。

本記事でお伝えした21のチェックポイント(『工程別チェックポイント21』より抜粋)を参考に、業者選びや工事の立ち会いにお役立てください。より詳しい内容は著書をご覧ください。

**「品質 = モチベーション × 技術 × 時間」**

この方程式を満たす業者を見つけることが、10年後も後悔しない外壁塗装への第一歩です。

*扶桑町・犬山・江南エリアで外壁塗装をご検討の方は、創業50年のヨコイ塗装にご相談ください。県外の方で業者選びにお悩みの場合は、[外壁塗装のセカンドオピニオン](https://gaiheki-second-opinion.com/)もご活用いただけます。*

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