塗料の希釈剤
塗料は、そのままでは非常に使用するのが難しく、通常は少し薄めて(希釈して)使用します。この希釈によっても、耐久性能が異なってきます。
- 水性:塗料を水(希釈水や水道水)で薄める方法です。最近では耐久性能が少しずつ向上していますが、紹介する希釈方法の中では最も耐久性能が低くなっています。
- 弱溶剤:塗料用シンナーで薄める方法です。塗料用シンナーは、希釈用のシンナーの中でも刺激臭や人体への影響が最も低く、水性よりも高い耐久性能を発揮することができます。
- 溶剤:アクリルシンナーやウレタンシンナー、ラッカーシンナーといった溶剤用のシンナーを使用して希釈する方法で、最も耐久性は高いものの、非常に強いシンナー臭がしますので、なかなか住宅街で使用することができません。
水性と油性の違いについて
外壁塗装をしようとしている人「油性塗料か水性塗料かどちらがいいの? これから、見積もりをしたいので、外壁塗装においてよくもつ塗料の情報を知りたいです。」
こういった疑問に答えます。
おすすめの塗料は弱溶剤系
なぜかというと、比較的「耐候性が高いから」です。
(弊社がよく使用するKFケミカルさん「ワールドセラ」シリーズのカタログから引用)
□よくある質問:室内が臭くなるんじゃない?
もちろん工事中は油性塗料は匂います。しかしながら施工後は匂いは消えてなくなり、匂いは一時的なものです。それと比べ外壁の耐候性が高くなるということは継続的なので、どちらを選ぶかという判断になります。しかし条件を変え、屋内塗装の話なら、雨や紫外線の悪条件が無いので水性塗料が、健康の面から考えてもおすすめです。
□よくある質問②:見積もりで水性塗料オススメされたけど?
Q「水性も耐候性上がってきているって聞くけど?」
A:無理をして水性を使って耐候性が低くなるなら、油性塗料が◎
現場や営業目線の理由:塗装は天気に左右されます。ゲリラ豪雨が降れば水性塗料は、模様が流れてしまう可能性もあります。また水性塗料は油性塗料よりも安く仕入れられるので、業者さんが少しでも利幅を増やすために水性塗料を勧めている可能性もあります。施工具体例:塗膜が劣化しやすいのが、屋根、ベランダ周り、外壁、軒裏になります。したがって屋根:無機、ベランダ周り:フッ素4回塗り(下塗り込み)、外壁3回塗り(下塗り込み)、軒裏2回塗り、上記のような内容で、軒裏だけを部分的に水性を使うのも出来るかと思います。なので、油性塗料がおすすめです。
□その他の違い
- 価格:もちろん油性塗料の方が高くなります。先程のワールドセラグランツでは油性塗料の方が水性塗料より約1.3倍高くなっております。
- 作業性(主流の弱溶剤塗料の場合):比較的油性塗料の方が作業がしやすいです。特に刷毛を持った時に、細かい部分を塗るのには油性塗料の方がスムーズに作業しやすいです。現場の職人さんからすると塗りやすいのは、油性塗料のほうになってきます。また塗膜の乾きの速さからも油性塗料の方が優れていて、現場の作業が比較的スムーズに進むのは見せとるようになります。
水性と油性の違いがわかったら、見積もり時にこう聞こう!
外壁塗装の見積もりに質問すべき内容
- 「見積もりにある塗料は油性塗料ですか?水性塗料ですか?」
- 「提案の塗料を油性塗料にすると見積もり値段は異なってきますか?」
結論:価格の変化を聞くことです。
なぜなら、水性塗料と油性水性塗料と油性塗料の仕入れ価格の違いを、見積もりに反映しているかどうかは、それぞれ施工業者の判断が異なるから、実際に聞いてみるのが1番良いです。
1液型と2液型
最後に、1液型と2液型という分類もあります。1液型は1つの塗料缶だけで塗料として使用することができますが、2液型は主材と硬化剤という2つの塗料缶の中身を混ぜ合わせてはじめて塗料として使用することができます。2液型は混ぜ合わせた瞬間から固まり始めるため、時間がたってしまうとカチカチに固まってしまいます。そのため、使用するごとに混ぜ合わせる必要があるため、非常に手間がかかります。その手間を削減するのが1液型塗料で、こちらは混ぜる必要がありませんので楽に使用することができますが、その分耐久性が低くます。
これらの特徴から、一般的にサイディングボードにお勧めする塗料は、2液型・弱溶剤・シリコン系の塗料となります。もちろん、一般的なおすすめとなりますので、現状や工法をしっかり確認したうえで、最適な塗料を選択する必要があります。(ただ耐久性をせっかくなので・・・と言われる方には無機をおすすめしています。)
2液型塗料の弾性用硬化剤について
2液型塗料と1液型塗料の違い
塗料は、従前から使用されていた2液型塗料と、より手軽に使用できるよう改良がくわえられた1液型塗料の2種類があります。 2液型塗料は、塗料の主原料となる主材と、それを固めるための硬化剤の2つで構成されており、塗装を始める直前にこれら2つを混ぜ合わせることによって塗料として使用できるようになります。
2液型塗料は、硬化剤を混ぜた後、すぐに使用しなければ、塗料がどんどん固まってしまい、使い物にならなくなるというデメリットや、硬化剤を混ぜ合わせる手間がかかるといったデメリットがある一方で、耐久性に優れており、塗装できる素材も比較的広範囲にわたります。
一方、1液型塗料は、時間経過とともに自然と固まる塗料であるため、水やシンナーで薄めるだけですぐに使用することができます。一方で、2液型塗料と比べると、耐久性の低さや塗装できる素材の範囲で劣っている塗料となっています。
2液型塗料の特徴
①使用可能時間
2液型塗料は、硬化剤と混ぜ合わせるとすぐに使用しなければならないと言われていますが、実際に使える時間はどの程度なのでしょうか。その時間は、商品によって異なりますが、3時間~10時間となっており、日をまたいで使用することはできません。特に夏場の高温時はすぐに固まってしまいます。
②塗装できる素材
2液型塗料では、コンクリートやモルタル、サイディングボードといった1液型塗料でも塗装できる素材に加え、ALCパネルやスレート板、鉄部、亜鉛メッキ鋼、にも塗装することができますので、非常に広範囲の素材に使用することができます。
③耐用年数
一般的に、2液型塗料の耐用年数は、1液型塗料の耐用年数よりも3年程度長いといわれています。ただし、この耐用年数は塗料メーカーが公表している数値ではなく、現場の職人さんの感覚ですので、その期間は多少前後します。
3.弾性硬化剤
1液型塗料では、硬化剤がすでに混ぜ込まれていますのが、2液型塗料では職人さんの配分で硬化剤を混ぜ合わせる必要があります。この作業自体は、少しに手間がかかるものですが、自分で硬化剤を混ぜ合わせることができる2液型塗料では、硬化剤の種類を選択できるというメリットもあります。
その選択肢の1つが「弾性硬化剤」といわれる特殊な硬化剤を使用できるという点です。一般的な硬化剤を使用した塗料は、塗装した部分が強力に硬化することによって、強い塗膜を貼り、防水性能を高めています。一方、弾性硬化剤を使用した塗料は、その名の通り弾力性が非常に強い塗料となります。弾力性が強い塗料ということは、塗装した部分が強力に硬化するのではなく、環境によって伸縮するゴムのような塗料ということです。
サイディングボードのような動きのない外壁素材に塗装する場合は、塗料がしっかりと固まった方が、高い耐久性を有することができますが、樋や木材といった温度によって伸縮する素材に塗装する際には、硬化してしまう塗料の場合は動きに耐え切れず、塗膜にひびが入る原因となります。
一方、弾性硬化剤を使用した塗料を使用した場合、温度によって樋や木材と一緒に塗膜自体が伸縮しますので、ひびが入る心配がありません。そのため、塗装する外壁によって、弾性硬化剤を使用することができる2液型塗料は、手間がかかる分、耐久性に優れた塗料といわれています。
4.弾性硬化剤のデメリット
メリットが多いように見える弾性硬化剤にもデメリットは存在します。 1つは、窯業系サイディングボードには使用できないという点です。窯業系サイディングボードは、断熱材は含まれており、表面が80度近い高温になってしまいます。
弾性硬化剤を使用すると、温度によって伸縮してしまいますので、80度もの高温になってしまうと、外壁以上に膨張し塗膜が痛む危険性があります。そうなると、見た目も悪くなるほか、膨れた部分の耐久性能が著しく低下していますので、耐久性能にも問題が生じてしまいます。
また、塗膜自体が伸縮する関係上、どうしても硬化する塗料に比べると耐用年数が低くなってしまいます。そのため、塗装する場所を適切に選択しなければなりません。
塗装の回数を減らすためにやっておくべきこと
外壁塗装は通常7年~10年という期間で定期的に実施すべき建物のメンテナンスです。定期的に外壁塗装を実施しなければ、外壁に塗った塗料の膜(塗膜)が徐々に薄れ、塗膜によって保護していた紫外線や湿気の影響を外壁そのものが受けてしまうことによって、外壁材の腐食や建物内部に雨水などが吸収されることによって、建物内部の腐敗につながってしまい、建物耐久年数そのものが下がってしまうことになります。
そんな大切な外壁塗装ですが、その費用は1回数十万円~百万円以上と高額になります。そのため、1回外壁塗装を行った後は、できるだけ長持ちさせたいと思います。
1.外壁塗装を依頼するときにやっておくべきこと
外壁塗装の状態を維持するためには、その外壁塗装を依頼するときにもやっておかなければならないことがあります。それは、
- 耐久性の高い塗料を使用すること、
- 環境に応じた塗装を依頼すること、
- 信頼できる業者に依頼すること、
の3点になります。
①耐久性の高い塗料を使用する
塗料には、大きく分類するとアクリル系塗料、ウレタン系塗料、シリコン系塗料、フッ素系塗料、無機という5種類があります。この塗料の種類によって、耐久性は大きく異なり、全く同じ環境、同じ場所、同じ塗装方法で使用した場合、
- アクリル系塗料を使用した場合は5年~7年、
- ウレタン系塗料の場合は7年~8年、
- シリコン系塗料の場合は7年~10年、
- フッ素系塗料の場合は8年~12年程度
の耐久度があるとされています。(実際は、もっと短く感じます。)
その分、価格もアクリル系塗料が最も安価で、フッ素系塗料が最も高価となりますが、例えば、60年間同じ建物を使い続けると考えた場合、アクリル系塗料の場合は10回~12回程度、フッ素系塗料の場合は3回~4回と外壁塗装の回数が大きく異なります。そのため、1回あたりのコストを高くしても、長期間使える塗料を塗っておいたほうがお得ということもあり得ますので、この点をしっかり検討する必要があります。
②環境に応じた塗装を依頼
海に近い地域や台風が多い地域と、晴れた日が多い地域ですと、紫外線の量や湿気の量が大きく異なります。また、外壁の方角や、隣家との距離、日当たりなどによっても、建物の受けるダメージが異なりますので、その立地や環境に合わせた塗装を行うことが塗装を長持ちさせる条件となります。
例えば、屋根や日当たりのいい南側の外壁は劣化が早いため、無機系塗料を使用する、塗装を厚くしておくといった工事を行っておけば、塗装を長持ちさせることができます。
③信頼できる業者に依頼する
外壁塗装は、最低でも下塗り・中塗り・上塗りという3回実施します。この3回の塗装が非常に重要で、これより回数が少ない場合、耐久性は大きく低下することとなります。
悪徳業者は、安価に依頼を受ける代わりに、塗装の回数を減らすことによってコストダウンしていることが多々あり、下塗りと上塗りの2回、上塗りだけの1回という業者もあるようです。(塗装の耐久性は、塗膜の厚みにも密接に関係しています。)
そのため、塗装を3回行わないような業者には、依頼すべきではありません。なお、塗装は最低でも3回必要ということですので、状況に応じて下塗りや中塗り、上塗りの回数を増やすことに問題はありません。塗装の回数が増えれば、それだけ塗膜が厚くなりますので、耐久性が向上することになります。(ただ過度に厚く塗りすぎると、剥がれの原因になることもあります。)そのため、塗装の回数を増やす提案をしてくる業者は、それだけ耐久性の向上を考えている業者ともいえます。
塗料のグレード
1.アクリル系塗料
アクリル系塗料は、モルタル外壁のひび割れに効果的な塗料でしたが、耐久性が6年から8年と低く、汚れも付きやすいという欠点があります。価格そのものは安いのですが、これらの欠点から、長期的に見た場合、頻繁にメンテナンスしなければならないことから、トータルとしては他の塗料よりも高額となってしまいます。また、これらの欠点のために、高耐久性が求められる屋根用の塗料としては、現在、アクリル系塗料はほとんど出回っていないという状況にあります。
2.ウレタン系塗料
ウレタン系塗料は、比較的安価で塗料の素材が柔らかく、細部の塗装に適した塗料と言えます。しかし、近年主流となっているシリコン系塗料と比べると、耐用年数が7年~10年とやや短く、シリコン系塗料の価格低下から、選択される頻度は減少傾向にあります。ウレタン系塗料は、万能塗料として、どの部分にも塗れるため、場所によって塗料を使い分けることを嫌う業者では、今でもメインで使っているケースもあります。
ヨコイ塗装では、外壁の塗装時にウレタン塗料は提案しません。。
なぜかというと、何故かと言うと紫外線に弱く、耐久性が低いからです。せっかくの足場を作っての大掛かりな工事は、なるべくスパンを長く、より持たせたいという考えからです。実際の体感としては6、 7年で色あせが見られているような感じを受けます。日当たりがよく紫外線が強い塗膜環境に悪いような箇所では、5年程度で色あせが始まってくると思います。元請け業者さんから下請けの施工業者さんに「とりあえずウレタン塗料で塗っておけばいいんじゃない。」と言うような会話はよくある話です。
□よくある質問:外壁塗装ではウレタン塗料は絶対にダメなの?
ダメと言うわけではありません。外壁の塗料としてはお勧めしておりません。ウレタン塗料は特に柔軟性に優れております。したがって木部の塗装や雨どいの塗装によく使われております。特に破風の塗装においては、浸透性の塗料(キシラデコールなど)は塗膜も薄く紫外線によってすぐ劣化してしまいます。それらの耐久性を高めるために、キシラデコールの上に木部用ウレタンクリアーを塗って耐久性を持たせるようなことをしております。上記の木部用クリアーはポリウレタンの塗料で耐久性も良いです。
ウレタン系でも、アクリルウレタンよりポリウレタンのほうが、断然紫外線に強く耐久性があります。
ウレタン塗装は、どの箇所なら施工することがあるのか?
塗装業者では、緑木部や雨どいにウレタン塗料を使用すると思います。その理由としましては、ウレタン塗料に柔軟性があるからです。木や雨どいは性質上夏冬で伸び縮みが外壁と比べ大きいです。そのため業者はより柔軟性の高い塗料としてウレタン塗料を採用しています。(ヨコイ塗装では、外壁のグレードに合わせて、上記箇所もフッ素系塗料の弾性用硬化剤を使用することで塗装をしています。)
見積もりに質問すべき内容 は?
外壁塗装の見積もりに質問すべき内容「外壁と木部や雨樋の耐久性は一緒ですか?」もし木部の浸透性塗料の使用の記載があったら、「何年ぐらいもちそうですか?」と聞いてみてくださいね。
ウレタンのまとめ
ヨコイ塗装では、まずウレタン塗料は耐久性がないので使用しません。使っても破風だけです。キシラデコールなどの浸透性の塗料の上に保護膜を作るためにクリア塗料を塗るだけです。そしてなおかつその塗料はポリウレタン系が良いと思います。
参考して、見積もり時には、外壁材にどれぐらいの耐久性がある塗料を提案されているかを把握することです。そしてそれに伴い、雨どいや木部の塗料の耐久性も把握することです。せっかく外壁材に良い塗料を使っても、雨戸や木部がグレードが低くてすぐ色あせをして、見苦しくなったらもったいないですよね。もし雨樋が歪みなど生じていて古くなっているとしたら、その際無機やフッ素など良い塗料を外壁に使用するならば、予算があるようでしたら、雨どいはいっそのこと交換しても良いと思います。
3.シリコン系塗料
シリコン系塗料は、最近まで最もよく使われている塗料になります。耐用年数は12年~15年と比較的長く、シリコンの性質から汚れにくさと高耐久性を両立させることができると言われています。ただ実際使用してみると南側など条件の悪いところや塗料の種類によっては、10年も持たない場合が見られます。
シリコン系塗料にお勧めの外壁は、モルタル、ヘーベル(主に水性セラミシリコンがおすすめ)、サイディング(クリーンマイルドシリコンがおすすめ)、ジョリパット(アートフレッシュが条件付きでおすすめ)と、様々な外壁で利用することができることも特徴の一つです。
4.ラジカル系塗料
2015年に発売されたばかりの新しい塗料です。ラジカル系塗料が発売されるまでは、シリコン系塗料が最もよく利用されていましたが、ラジカル系塗料発売以後、現在においては、ラジカル系塗料がよく利用されています。
ラジカル系塗料では、シリコン系塗料までで防ぐことができなかったUVや酸素、水による塗膜の劣化を防止することができます。そのため、耐用年数は14年~16年とシリコン系塗料よりも耐久性が上がっています。価格もほとんどシリコン系塗料と同じで、かつ、高額なフッ素系塗料に似た効果があるため、シリコン系塗料に変わる人気No.1の塗料となっています。ただまだ年数が経過後の実績には不安があります。
5.フッ素系塗料
現在販売されている中で、最も高額な塗料がフッ素系塗料です。一般的には、フッ素系塗料が一般家庭用として使われている例はあまりなく、商業施設向けの塗料と考えられていますが、非常に耐久性が高いため、予算に余裕があれば、検討の価値はあると思います。フッ素系塗料は、その名のとおり、主成分がフッ素となっており、耐久年数は8年から15年と非常に長いとされています。
フッ素系塗料が高額であることを逆手にとって、訪問販売等において、最初にこの塗料で見積もりを行い、外壁塗装は高いというイメージをつけておいて、ラジカル系塗料やシリコン系塗料(もしくはウレタン系塗料)での見積もりを作成し、通常価格を「安い」と思い込ませる方法も使われていることもありますので、フッ素系塗料は高額であるという点だけは、最低限、覚えておいて損はないでしょう。どの程度価格が変わるかというと、坪単価で、フッ素系塗料とラジカル系塗料では5万円前後異なると言われています。そのため、30坪程度の家の場合、塗料だけで150万円程度の違いが生じてしまいます。しかし、その効能は非常に優れており、スカイツリーにも使用された実績のある塗料となっています。
このように、塗料によって耐久年数や性能、価格に大きな違いがあります。ご自宅の外壁を塗装する場合は、フッ素塗料を利用されることを強くおすすめいたします。塗り替えスパンが短くなりますので、お住いのトータル的なメンテナンス費用を抑えることができます。外壁塗装の見積書を取得する際に、使用する塗料についても記載があるかと思いますが、商品名で記載されている場合や記載がない場合は、どの塗料を使用するのか、きちんと確認しておくことが重要です。
また、シリコン系塗料とされていても、単層弾性シリコン(セラミックシリコン)については、工程短縮用の塗料であるため、耐久年数が低く外壁塗装工事には不向きな塗料とされていますので、この点にも注意が必要です。
フッ素塗料の適性品質塗装
今回の現場では、日本ペイントさんの「ファイン4Fセラミック」を使っています。こちらの塗料はフッ素系の塗料であります。一般的にフッ素系の塗料は硬いイメージがあるのですが、この塗料はその中でも柔軟性に富み、なかなか塗りやすいものです。
また実績としましても、ヨコイ塗装の塗装後5年以上経過したOBのお客様の外壁を見ても、まだまだ艶が十分にあります。色あせた現場にはまだ出くわしていないです。実績として時間経過的にもかなり優れた成果を出している塗料です。フッ素系の塗料ですと、特徴は紫外線に強いと言うことで、かなり耐久性もいいです。したがってヨコイ塗装では、外壁塗装工事においてかなりおすすめしています。塗装は、せっかく足場も作って経費がそれなりにかかかりますので、「ファイン4Fセラミック」若干金額がかさみますが、コストパフォーマンスで考えるとかなり良いのです。
ただ、こちらの塗料が1缶あたり大体5万円以上します。塗料としても結構高いのです。このためコストを下げるために、シンナーで薄めて、なるべく少ない量で塗ろうとする業者さんもいます。(塗膜が薄くなり、耐久性が落ちてしまいます。)やっぱり長持ちさせるためにも、なるべくローラーでたっぷりと塗膜に厚みがつくように塗料を塗ってもらうと良いと思います。適切な品質の塗装工事をしてもらうためにも、ぜひ使用した塗料の缶の数を確認してみてください。
フッ素実例
高品質な塗料を使うのであれば、無機塗料がおすすめ
フッ素系塗料よりも性能の高い無機系塗料は、1㎡あたり4,500円~5,500円と非常に高額ですが、その分耐久性能も12~25年と非常に長くなっています。
無機塗料の成分
そもそも、無機塗料の「無機」とは一体何なのでしょうか。ここでいう「無機」とは、有機物の対義語である無機物のことを指しています。つまり、ガラスや陶器と同じといえます。ガラスや陶器は、時間とともに劣化するということがありませんので、耐久性に優れているといえます。逆に有機物とは、植物やプラスチックのように、時間とともに劣化するもののことを言います。
では、無機塗料という名前であるからには、塗料の成分はすべてがガラスや陶器と同じ無機物でできているのかと言われると、そうではありません。すべてが無機物ですと、確かに半永久的に性能を保持し続ける塗料となりますが、無機物だけですと、塗料に必要な弾力性や接着性が作り出せませんので、塗料として使用することはできません。あくまで樹脂中に含まれる無機成分が30%程度のものを無機塗料としています。
実際に無機塗料を塗った塗膜は、樹脂中に含まれるアクリル成分によって無機成分が連結されているという構造になります。
無機塗料の特徴
無機塗料は、100%でないにしろ、成分の中に無機物が含まれていますので、その無機物部分については、ほとんど劣化することはありません。そのため、通常の有機物のみで作られている塗料に比べて、高い耐久性能を誇ります。特に、色あせやチョーキングといった塗装の劣化を代表する現象は、有機物である顔料によって発生するため、無機塗料では非常に発生しにくくなっています。さらに、有機物を栄養素とするカビや藻についても、その栄養素である有機物が限りなく低いため、発生しにくくなっています。
しかし、デメリットとして、ひび割れが発生しやすいという特徴もあります。無機物そのものは、非常に硬い素材ですので、樹脂中の無機物が多くなればなるほど、ひび割れが発生しやすくなります。しかし、無機塗料が塗料として販売されている以上は、外壁塗装のプロである職人さんが、しっかりと施工方法を守って塗装すれば、ひび割れが発生することはほとんどありません。そのため、価格面でも施工面でも、DIYに向かない塗料だといえます。
無機塗料と汚れ
無機塗料で塗装した場合、耐久性能は20年~25年程度と説明しましたが、それだけの長期間、外壁塗装をしないとなると、外壁の汚れが非常に気になるかと思います。そもそも外壁塗装は、建物のメンテナンスという側面の他に、建物の美観を向上させるという目的もありますが、最長で25年もの間、塗装を行わないとなると、しっかり掃除しておかないと見た目が悪いのではないかと心配される方も多いのではないでしょうか。
しかし、無機塗料は、汚れが付きにくいという特徴もあります。多くの無機塗料に含まれる成分には、親水性が非常に高くなっています。親水性が高いというのは、水と非常になじむという性質のことを指します。無機塗料が水となじむとどうなるかというと、塗料と水が密着しやすくなりますので、塗料の上に汚れがついていたとしても、その間に水がはいりこみ、汚れを流れ落とすことができるのです。
つまり、無機塗料をつかうことで、雨や軽く水で流すだけで、簡単に汚れを落とすことができるのです。イメージとしては、車のガラスコーティングと同じような特徴といえます。
また、無機塗料には静電気が発生しにくいという特徴もあります。
外壁の汚れには、泥はねなどの直接的な汚れの他に、ほこりや小さなごみが付着することで発生する汚れもあります。それらは、静電気によって付着しますが、静電気の発生しにくい無機塗料では、これらの汚れも有機塗料に比べると付着しにくくなっています。
無機をこえる30年塗料の弊害とは・・・
住宅を購入する際や、外壁塗装を行う際に、業者から「この外壁は、今後30年間は塗装しなくても大丈夫です」というセールストークを聞いたという方が、少なからずいらっしゃいます。この業者の30年間というのは、どの程度の信ぴょう性があるのでしょうか。
30年塗装は実在するのか
一部の塗装業者のセールストークとして「今回、30年間塗り替えなくてもいい塗料で塗装します。」というものがあります。はたして、本当に30年間持つ塗料というのは存在するのでしょうか。
結論から先に申し上げますと、2018年現在、30年間持つ塗料というのは分かりません。塗料の耐用年数は、塗料に配合されている樹脂によって大きく異なります。例えばアクリル塗料の場合、コストが安い分、耐用年数は6年~7年と非常に短くなっています。耐用年数が短い順に並べると、アクリル塗料(6年~7年)、ウレタン塗料(8年~10年)、シリコン塗料(10年~13年)、フッ素塗料(15年~20年)となります。ほかにも、断熱塗料、遮熱塗料、光触媒塗料なども存在しますが、いずれも最大で20年程度の耐用年数となっています。そのため、繰り返しになりますが、現時点で耐用年数が30年を超える超えるかどうかはわかりません。
では、「30年間塗り替えなくていい塗料で塗装する」と説明していた業者は、全くのでたらめをセールストークとしているのでしょうか。その答えは、半分は正解ですが、もう半分は不正解と言えます。なぜなら、そういった業者の手口としては、「自社開発の塗料」として、30年以上の耐用年数を有する塗料を勧めてくるためです。自社開発の塗料であれば、「自社の基準で」計測したデータに基づいて、耐用年数30年を算出することができますので、そういう意味では嘘のセールストークとは言えないのです。
しかし、資金力が豊富な大手塗料メーカーが、長期間研究を重ねてきて未だ実現していない30年以上の耐用年数を有する塗料を、研究設備の整っていない塗装業者が、自社開発で作成できるほど簡単ではありません。実際に、30年以上持つというセールストークを信用した方の中で、10年以内に塗装工事を再度実施したという方も多数いらっしゃいます。
30年塗装が実現した場合の問題点
では、仮に30年の耐用年数を有する塗料が、今後開発された場合には、本当に30年間、塗装工事を行う必要はないのでしょうか。残念ながら、その答えは「否」となります。
塗装工事を行う際には、その下地処理として、外壁や屋根、その他建物を構成するあらゆる部分に対して、補修作業を実施しています。この補修は、塗装が古くなったことによる雨水の侵入に起因するものの他、経年劣化等による補修も含まれています。
例えば、屋根に設置されている雨どい等は、定期的にメンテナンスを行わなければ、雨どいが詰まったり、経年劣化による歪みで傾斜が無くなってしまったりという原因で、雨水をうまく地上に流すことができなくなることもあります。こういった補修作業を全く行わずに30年間、建物を持たせることは、非常に難しく、外壁そのものに問題はでなくても、ほかの部分から建物全体にダメージを受けてしまう可能性があります。
メンテナンスフリーの外壁
こちらは、新築時によく聞く説明として「この外壁はメンテナンスフリーですので外壁塗装の必要はありません」というものです。こちらも、実際には誤った内容と言えます。ここでいう「メンテナンスフリー」というのは、あくまでハウスメーカーが机上で算出したデータに基づくもので、それを信じて外壁塗装を行わなかった場合、外壁塗装を行った場合と比べて、建物の耐久年数は大きく低下します。また、「2.30年塗装が実現した場合の問題点」でも説明した通り、雨どいやサッシといった、外壁以外の部分が先に劣化してしまい、その部分の補修が行えないために、そこから建物全体への深刻なダメージが伝わってしまう可能性があります。
外壁塗装は、1回あたりの料金が高額ですので、できる限り少なくし、出費を抑えたいところでしょう。そういった中、30年間、外壁塗装を行わなくてよいという言葉は、非常に魅力的に聞こえるかもしれません。これまで、10年に1回、100万円の外壁塗装を行っていたとしたら、30年間で300万円の出費となるところ、「少し高いですが…」と、200万円の工事費用で30年持つといわれると、30年持つという塗料を試してみたくなってしまうかと思います。
しかし、これまでご説明した通り、30年間の耐用年数を有する塗料は、まだ実績が出ていません。必ず、おそらく30年以内に再度塗装工事が必要となります。そうみると、本当に、そのコストは有意義なものなのでしょうか。
トイや鼻隠しの付帯部も耐候性を合わせる
トイの劣化等
トイは、屋根の雨水を地面に流す役割のある付帯部分です。トイがなければ屋根から雨水が外壁を伝って流れ落ちるため、外壁内部に雨水が浸入する可能性が高まり、外壁内部を腐食させる可能性が高まりますので、非常に重要な部分になります。
トイが、その機能を果たせなくなる一番多い原因は、落ち葉などによる「詰まり」となります。この詰まりは、塗装や補強によって詰まりにくくするということは行えませんので、年に1回程度、ご自身で点検していただき、詰まりがあれば早めに解消していただくことになります。
次に、トイの傾斜や破損についてですが、トイは屋根や外壁材と比べると、破損しやすい素材になっていますので、強い風や雪などによって、不自然な傾斜ついてしまったり、破損してしまうということがあります。
台風のように、とても強い風で、大きく破損してしまった場合は、すぐに補修する必要がありますが、見た目ではなかなか分かりにくい斜頸や破損もありますので、そういった場合は外壁塗装の際に、しっかりと補修しておく必要があります。
他にも、屋外で使用していることによって、太陽光や温度変化による経年劣化も生じてきます。経年劣化によって、明らかな破損等がなければ、外壁塗装などのメンテナンス時に、併せて補修や交換を行い、耐久性能を回復させる必要があります。
2.鼻隠しの劣化等
鼻隠しは、トイを取り付けるための下地となる役割をもった板材で、トイの裏側にあります。また、屋根の構造材を隠す役割ももっており、こちらもトイと同じく、重要な付帯部分となります。
鼻隠しは、現在では木材以外の素材も使用されていますが、10年以上前の建物ですと、ほとんどの建物で木材が使用されていますので、雨水や経年劣化によって、その耐久性能が下がってきてしまいます。鼻隠しは、トイの下地となっていますので、鼻隠しが劣化してしまうと、トイそのものが正しく機能しなくなる可能性が高くなります。そのため、鼻隠しも定期的なメンテナンスが必要となります。
その他の付帯部分の劣化等
建物には、他にも破風板や幕板など、様々な付帯部分が存在します。それらの付帯部分は、デザイン性のみでつけられている者はほとんどなく、いずれも建物を保護するために重要な役割を担っています。それらの付帯部分についても、屋外で使用している以上は、屋根や外壁材と同様に、太陽光や風雨、温度変化などによる劣化が少なからず生じてしまいます。
これらの劣化を放置してしまうと、建物を保護する機能が損なわれてしまい、建物全体に深刻なダメージが生じてしまう可能性がありますので、付帯部分についても定期的なメンテナンスが必要となります。
屋根や外壁と付帯部分の耐候性
多くの方は、屋根や外壁の塗装工事を行う際に、併せてトイのメンテンナンスや鼻隠しの塗装などを実施されるのではないでしょうか。ご自身の判断で塗装工事に合わせてメンテンナンスを依頼している方もいらっしゃれば、塗装業者に言われるがままに、メンテンナンスを依頼している方もいらっしゃるかと思いますが、塗装工事に合わせてメンテンナンスを行うことで、様々なメリットがあります。
まず、塗装工事を行うことで、屋根や外壁の耐候性が向上しますが、この時にトイや鼻隠しの補修や塗装を行わなかった場合、屋根や外壁の耐候性と付帯部分の耐候性に差が生じてしまいます。外壁塗装はおよそ7年~10年ごとに実施しますので、比較的長期間、この差が残ってしまうことになります。年数がたつほど、この耐候性の差が大きくなり、やがて、屋根や外壁には一切問題がないにも関わらず、付帯部分の劣化から屋根や外壁材の内部から腐食が進行してしまうということもあります。
この現象を防止するためには、付帯部分が劣化する前に補修や塗装を行う必要があるのですが、次回の塗装工事までは持ちませんので、2~3年後に付帯部分のみの補修や塗装を行う必要が生じてしまいます。そうなると、外壁の塗装工事では若干の節約ができたとしても、付帯部分の塗装工事で再度、職人さんの確保や足場の作成、養生といった作業を行う必要が生じてしまいますので、1回の塗装工事ですべて実施するよりも割高な料金がかかってしまいます。
また、次回以降も外壁の塗装時点では付帯部分は劣化しておらず、また別の時期に劣化が生じるといったように、継続して時期をずらして工事を行わなければならなくなります。
そのため、屋根や外壁と付帯部分は、耐候性を合わせて塗装工事するのがおすすめの方法となります。
塗料の性能について
弾性塗料
弾性塗料とは、基本的には2液型の塗料を使用し、主剤に硬化剤で弾性を持たせた塗料のことを言います。また、現在では、1液型でも弾性を持たせた弾性塗料も登場しており、選択肢が徐々に拡張されています。 塗料は、その弾性の強さ(塗料の硬さ)によって、硬質塗料、微弾性塗料、弾性塗料の3段階に分類することができます。
- 硬質塗料ー硬質塗料は、一般的な塗料のことを言います。
- 微弾性塗料ー微弾性塗料は、硬質塗料と弾性塗料の中間的存在で、伸び率は50%~100%とされていますが、規格などで定められた弾性ではありません。最近は、塗装の工程を省略することができる下地用の微弾性塗料が増えてきており、作業時間の短縮やコスト削減を目的として採用している業者が増加しています。しかし、微弾性塗料は、そこまで伸び率が高いわけではありませんので、ヘアークラックと呼ばれる髪の毛程度の小さなクラックには対応できても、大きなクラックには対応できないというデメリットも存在します。
- 弾性塗料ー弾性塗料は、伸び率120%以上とJIS規格で定められた塗料を指します。弾性塗料は、その高い伸び率で、比較的大きなクラックが発生した場合でも、塗料にひびや剥がれが入らず、防水性能を維持することができる塗料となっています。また、塗膜も厚く、高い防水性能を期待できる塗料でもあります。
弾性塗料の塗装方法の種類と特徴
弾性塗料を使用した塗装には、単層弾性と複層弾性という2種類の工法が存在します。
①単層弾性
単層弾性は、弾力性の高い塗料を上塗りに使用するという工法で、少ない工程で弾性塗料を使用することができる工法となっています。しかし、弾性塗料を上塗りでしか使用していない分、弾性に影響を与える紫外線を直接受けてしまうこととなり、長期間の弾性の維持には向かない工法となります。また、本来は厚く塗装しなければならない弾性塗料ですが、ローラーを使用して通常の塗装と同じように塗ることも可能であるため、業者や職人によっては、期待通りの防水性能を発揮できないという問題点も存在します。
②複層弾性
複層弾性は、弾力性の高い下塗り塗料もしくは中塗り塗料を使用して下塗りや中塗りを行い、上塗りは他の塗料を使用する工法となります。この方法ですと、上塗り塗料によって紫外線に弱い弾性塗料を隠すことができますので、弾性を維持しやすくなります。
ただし、単層弾性の場合、下塗り1回、上塗り2回の計3回の工程で塗装工事が完了するのに対し、複層弾性の場合は下塗り1回、中塗り2回、上塗り2回と、計5回の工程が必要となるため、塗装の期間や使用する塗料の量が増加し、コストアップしてしまうというデメリットも存在します。
3.弾性塗料の注意点
弾性塗料は、高い防水性能を有していますが、その反面、外壁そのものの熱や水分の影響を受けやすいという特徴もあります。そのため、蓄熱性が高いサイディングやALCに使用することはできません。これらの外壁材に弾性塗料を使用した場合、外壁材の温度が上昇し、弾性塗料がその熱によって膨張してしまうことになります。また、コーキングなどが劣化していた場合、そこから水分が中に侵入してしまうことになりますが、防水性能が高いため、入り込んだ水分が外に出られなくなり、外壁材と塗料の間に停滞してしまうことによって外壁材そのものが傷んでしまうこともあります。さらに、弾性塗料の伸縮だけでは、コーキング部分の動きに追従することができませんので、コーキングの上から塗装を行ったとしても、短期間で追従できない部分から塗装が剥がれてしまうことにもつながります。
そのため、弾性塗料は、サイディングやALC、軽量モルタルといった熱をためやすい外壁材、コーキングによって外壁材同士を接続している外壁材に使用することができません。弾性塗料は、高い防水性能を有する塗料で、使い方によっては非常に効果のある塗料となります。しかし、その特徴をしっかり理解し、使用する外壁材や環境に応じて厚みや工法を調整するなど、その効果を最大限に発揮するためには、十分な知識と経験を有していなければならない、取り扱いの難しい塗料であるともいえます。そのため、弾性塗料を使用して塗装工事を行う場合は、知識・経験を有した業者、職人に依頼する必要があります。
塗料の品質について
1.業者が使用する塗料の品質は本当に大丈夫?
塗料で気にするポイントといえば、アクリル塗料やシリコン塗料といった樹脂の違いではないでしょうか。樹脂が異なれば、耐候性や耐久年数、価格が大きく異なりますので、この選択は慎重になる方が多いと思います。
しかし、例えば「シリコン塗料」を選択した場合に、数あるシリコン塗料の中から、「この塗料がいい」というところまで気にされている方はほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。もちろん、非常に多く販売されている塗料の中で、お客様ご自身で塗料を選択するというのは、無理があるかと思います。しかしながら、業者が使用するとした塗料が、実は低品質の塗料かもしれません。
実は、一部の悪徳業者では、自社開発したとする非常に質の悪い塗料を使用して利益を得るといった手法が用いられています。塗装業者が片手間に開発した塗料が、塗料メーカーが、塗料を専門に研究・開発した塗料よりも高品質であるはずがありません。そのため、塗装業者が「自社で開発したオリジナルの塗料」を勧めてきた場合、その業者に依頼するのは、少し様子を見てみたほうがいいかもしれません。
2.塗料の品質
塗料に求められる品質は、耐候性・耐久性能が優れていることが挙げられます。同じシリコン塗料であっても、質の悪い塗料を使用した場合と、高品質な塗料を使用した場合とでは、耐久年数が数年違ってくることもあります。また、塗料の色合いも重視する品質となります。高い品質を有する塗料は、紫外線等による劣化で色褪せが発生したとしても、緩やかな変化で気付きにくいのですが、質の悪い塗料ですと、色褪せの速度が速く、気付いたら全く違う色になっていたというケースや、色褪せにムラがあり、見た目が非常に悪くなってしまうといったケースも発生します。
3.塗料とブランド名
塗料は、塗装業者が開発したという塗料より、塗料メーカーが開発した塗料のほうが高品質であるというご説明はすでに行った通りですが、塗料メーカーが開発した塗料であれば、すべて高品質なのかと言われると、そうではありません。塗料メーカーは、塗装する目的に合わせて最適となる塗料を選択できるよう、様々な種類の塗料を開発しています。中には、品質はワンランクかツーランク下がっても、価格が安い塗料で塗装を行いたいというニーズにこたえるため、品質を犠牲にして低価格化している塗料も存在します(それでも、塗装業者が開発したという塗料よりは品質的には安心できます)。
そのため、「有名な塗料メーカーが販売している塗料だから、安心」という考えで塗料を選択してしまうと、想像していたよりも品質が高くない高価な塗料を使用してしまうというケースもあり得ます。塗料を選択する場合には、ブランド名だけでなく、塗料そのものの品質を確認するようにしなければなりません。
4.その他の注意点
塗料を選択する場合は、ブランド名や塗料そのものの品質のほかに注意しなければならない点があります。それは、塗料の使用用途です。
塗料メーカー各社は、塗装する目的に合わせた塗料を開発しています。例えば、木部を塗装するのに最適な塗料を鉄部に使用した場合、いくら高品質な塗料であったとしても、本来の性能を発揮することができません。「何を当たり前な…」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、悪徳業者やDIYで、塗装部分に合わせて塗料を変更せず、すべて同じ塗料で塗装しているというケースを多く目にします。もちろん、同じ塗料ですべての部分を塗装してしまえば、コストは低く抑えることが可能です。
しかし、その場合、いくら高品質な塗料を使用したとしても、残念ながら、その恩恵を受けることはできなくなります。
塗料は、どうしてもアクリル塗料やシリコン塗料、フッ素塗料とった樹脂に目を奪われがちになってしまいます。もちろん、それらの要素が、外壁塗装の耐久性能や価格を左右するため、よく検討していただく必要がありますが、それらの樹脂の中から、いずれかを選択したのちにも、様々な塗料の選択が可能であるということ、また、その塗料選びが非常に重要であるという点をご認識いただきたいと思います。
塗料の消費期限
1.未開封塗料の消費期限
塗料は、密閉した缶で販売されていることが多く、缶詰などのイメージから、未開封であれば消費期限は無いと勘違いしている方がいらっしゃるようですが、未開封であっても消費期限は存在します。メーカーや塗料によって、この消費期限は様々に設定されていますが、少なくとも、「消費期限のない塗料」は存在していません。その期限の長短はあっても、必ず塗料に消費期限は定められています。
この記事を記載するにあたり、塗料の消費期限がどの程度周知されているのか、調査してみましたが、「塗料の粘度が増して、濡れなくならない限り問題ない」といった説明をされているところが何か所かありました。あくまで、その説明は、「塗装に品質を求めず、塗れればいい」という前提に立てば、問題ないのかもしれません。しかし、塗装をする目的は、屋根や外壁に水分などが侵入して建物にダメージを与えないために行うのであって、ただ塗ればそれで目的が達成できるわけではありません。塗装を行う目的を達するのであれば、品質が保証されている消費期限が切れていない塗料(さらに、できるだけ新しい塗料)を使用する必要があるのです。
2.開封済み塗料の消費期限
塗料に未開封の場合の消費期限は明記されていますが、開封した後の消費期限は明記されていません。これは、その保管状況等によって期限が異なるため記載できないというわけではなく、塗料は一度開封したものについては、その塗装工事のタイミングで使用しなければ、本来の品質を維持できないためなのです。塗料は、空気に触れることで酸化が進みますが、酸化した塗料は本来の性能を発揮することができなくなります。そのため、一度開封した塗料は、基本的には使い切りと考えなければなりません。
なお、開封済みの塗料を保管した場合、皮張りや粘稠化といった症状が発生します。皮張りとは、塗料の表面が乾燥することで薄い膜が貼る症状のことで、この膜となった部分は使用することができません。粘稠化とは、塗料の粘度が増すことを言い、そのまま放置することで、塗料がゼリー状に固まってしまいます。もちろん、こういった症状が発生した場合も、その塗料を使用することができません。
つまり、一度開封した塗料というのは、品質が低下するだけではなく、皮張りや粘稠化といった症状で、塗料そのものが使用できなくなる可能性も高いのです。
3.塗料の消費期限を守らなかった場合
この消費期限というのは、塗料を製造しているメーカーが「塗料の品質を保証する」期限であり、言い換えれば、この期限を過ぎた塗料は、メーカーが公表している通りの品質を出すことができない可能性が高い塗料と言えます。つまり、使用期限が1年と定められている塗料を購入し、2年間使用せずに放置していた塗料を使用した場合、塗装工事の品質は著しく低下する可能性が高く、本来であれば7年~10年程度は耐用年数を有する塗料であっても、わずか数年で塗膜にひびがはいったり、塗装が剥げてしまったりすることがあります。
しかし、これを承知で、使用期限が切れた塗料であっても使用する業者が存在しています。塗料を事前に大量購入することによって、その仕入れ価格を大幅に下げておき、消費期限を過ぎても使用できなかった在庫について、そのまま破棄するのではなく、使用し続けるという業者がそれにあたり、塗装工事の品質については2の次で、自社の利益を最優先で考えている、所謂、悪徳業者と呼ばれる業者です。業界では、別の塗装工事で残った塗料を保管しておき、再利用するというのはよくあります。しかし一度開封した塗料は、空気と触れ合うことで、品質は徐々に低下していきます。そのため、塗装工事を依頼する場合は、そういった消費期限切れの塗料や、開封済みの塗料の利用状況をよく選定する必要があります。特に下塗り材は、上塗り塗料もろとも剥がれる危険性が出てきますので、要注意です。
また、一部の業者では、塗装工事の単価を下げる際に、「古い塗料を使用してもいいか」と確認してくることがあります。これは、上記の悪徳業者のケースとは異なり、お客様の意思確認を行っている分、優良な業者であるといえます。しかし、その場合でも、消費期限内であることは確認しなければなりません。いくら工事費用が安くなったとしても、消費期限が切れた塗料を使用しては意味がありません。
塗料の品質をしっかりと守るには
消費者庁によって表示が定められている使用方法
塗料の基本的な使用方法は消費者庁の定めにより、製品の品質に応じて、以下の項目を表示するよう定めています。
- 塗る面のゴミ、油分、さび、かび、ワックス等をとる旨。
- 使用するときは、容器の蓋に手を添えて開け、塗料を底から十分にかきまぜる旨(エアゾール式のものを除く。以下④まで同じ)。
- 塗料の粘度が高く塗りにくいときは、塗料用希釈剤(使用すべき希釈剤の種類の名称を表示する)で少し薄める旨。ただし、水性の塗料は水で薄める旨。
- 5℃以下のときは塗らない旨(水性の塗料に限る)。
- 使用するときには、容器を十分に振り、よく混ぜる旨(エアゾール式のものに限る、以下⑧まで同じ)。
- 塗料を吹きつけるとき、塗る面と噴出口との間は、○~○センチメートル(適正な数字を表示する)の間隔をとる旨。
- 一度に厚塗りをしないで、塗る面と平行に移動しながら、やや薄めにまんべんなく2回から3回くらい塗り重ねる旨。
- 使用後は、噴出口がつまらないよう、容器を逆さにして2秒程度空吹きし、噴出口をよくふいてから蓋をする旨。
- これらの使用方法を守ることで、塗料の品質を維持することが可能です。ここでは、1つ1つの項目について、ご説明します。
①については、もっとも基本的な事項で、下地処理をしっかりと実施しなければならないことを示しています。この項目については、塗装後の塗料の品質を維持するための項目となっています。
②については、後半部分の「塗料を底から十分にかき混ぜる」という点が非常に重要です。このかき混ぜが足りなければ、塗料の色のムラや塗装した際の塗料の乗りのムラが発生するため、品質が大きく低下してしまいます。 (一斗缶を開封しないで缶を振っただけで混ざっていると誤解している職人さんもいますので注意が必要です。)
③については、必ず表示されている希釈剤を使用しなければなりません。極端な話として、油性の塗料を水で希釈しようとすると、水と油が反発しあい、全く希釈できないだけでなく、その塗料を使用することができなくなってしまいます。
④について、温度があまりに低い場合は凍結の可能性がありますので、水性の場合は5度以下の場合に塗装しないという注意文になっています。この項目については、油性の場合であっても、乾燥まで非常に時間がかかるため、低気温の場合の塗装はおすすめできません。
⑤以降についてはエアゾール式の塗料を使用する場合に関しての注意文となりますので、ここでは割愛いたします。
消費者庁の使用方法以外の注意点について
塗料の品質を維持する最も重要なポイントは、消費者庁が表示を義務付けている使用方法の4点になりますが、それ以外にも塗料の品質を維持するための使用方法があります。
1つめは、塗装を行ったのちにしっかりと塗料を乾燥させるという点です。外壁塗装に使用する塗料は、塗装が乾燥してから10年近く使用しますので、乾燥時の品質が高くなるように作られています。そのため、しっかり乾燥しないうちに中塗り・上塗りといった塗装の重ね塗りをしてしまうと、重ね塗りした塗料が混ざってしまい高い品質を維持できなくなります。そのため、各塗料に定められた乾燥時間をしっかり守り、かつ、プロの目から見てしっかり乾燥していると判断の上で次の工程に進まなければなりません。
2つめは、最低でも3回(下塗り・中塗り・上塗り)の重ね塗りを行うという点です。塗料は、基本的に重ねて塗るように作られています。どれだけ品質の高い塗料を使用したとしても、1回しか塗らなければ、その塗料本来の品質は発揮できません。そのため、最低でも下塗り、中塗り、上塗りの3回は塗装を行わなければなりません。外壁の状態や環境によっては、中塗りを2回、上塗りを2回など、各工程で複数回塗っても問題はありません。
外壁塗装の品質を決める最も重要な「塗料」ですが、ただ高価な塗料を使えば高い品質を得られるわけではありません。しっかりと使用方法を守って塗装する必要があります。
しかし、一部の業者では、残念ながら時間を短縮するためや、経費を削減するためといった目的で、使用方法をしっかり守らずに塗料を使用するケースも存在するようです。そのため、業者の選定は、塗装工事を依頼するうえで、非常に重要な項目となっています。