工事中留意点ー塗装に適した天気・気温

「塗膜剥離 予防措置」含水計を活用した効果的な解決方法

1. はじめに:塗膜剥離とは

塗膜剥離とは、一般的には塗料が塗装面から離れる現象を指します。これは、塗膜自体の物理的な劣化によるものだけでなく、塗装前の下地処理が不十分な場合や、塗料と下地材との相性が悪い場合にも発生します。

また、塗装面の水分含有率が高い場合も、塗膜剥離の原因となります。特に、建築物やコンクリート構造物の塗装時においては、塗装前の下地の乾燥状態を確認することが重要となります。

以下に塗膜剥離の主な発生原因をまとめた表を示します。

原因

詳細

下地処理不十分

汚れや錆などを適切に取り除けていない

相性問題

使用する塗料が下地材と相性が悪い

水分含有率

塗装面の水分含有率が高い

次章では、この「水分含有率」を測定するための重要な道具である「含水計」について詳しく解説します。

塗膜剥離の定義と発生原因

塗膜剥離とは、塗料が塗装面から剥がれたり、剥れたりする現象を指します。この状態になると、物質の防水性や耐久性が低下し、腐食や劣化を招くことがあります。

塗膜剥離の原因は様々ですが、主なものに以下の3つが挙げられます。

原因

詳細

1. 水分

塗装前の素材が十分に乾燥していない場合、水分が塗料と素材の間に入り込み、塗膜剥離を引き起こす場合があります。

2. 気温・湿度

高温や高湿度、またはその変化が激しい場合、塗料の乾燥状態に影響を与え、塗膜剥離を引き起こす可能性があります。

3. 塗料の問題

塗料自体の品質や、適切な塗料が選ばれていない場合、塗膜剥離が発生することがあります。

これらの原因を把握し、適切な対策を講じることで塗膜剥離の発生を大きく抑制することが可能です。

2. 含水計の役割と種類

含水計とは、建築材料の含有する水分量を数値化し測定する装置です。水分量の適性管理は、材料の品質を保つために不可欠な要素であり、特に塗膜剥離の予防には欠かせません。

含水計は大きく分けて二つの種類があります。一つは、「電磁誘導式」。これは材料の内部に電磁波を発射し、反射した電磁波から水分量を計測する方法です。もう一つは「抵抗式」で、これは電極を材料に接触させ、その抵抗値から水分量を推測する方式です。

含水計の種類

特性

電磁誘導式

非破壊的に広範囲の水分量を測定可能

抵抗式

精度が高いが、少々の破壊を伴う

どちらの種類の含水計も、適切な塗膜剥離予防策を考える上で重要なツールとなるでしょう。

含水計の基本的な機能と役割

含水計は、建築材料の含んでいる水分量を計測するための装置です。特に、塗装前の塗膜剥離を予防するためには、基材が適切な水分状態であることが重要であり、その確認に含水計が利用されます。

具体的には、含水計は以下のような機能を持っています。

1.【水分量の直接測定】 プローブ(センサー部)を材料に接触させるだけで、表面だけでなく内部の水分までも測定可能です。

2.【数値化と表示】 測定した水分量を数値として表示します。これにより、客観的な水分状態の判断が可能となります。

含水計の役割は、塗装や防水施工前の材料が適切な乾燥状態であるかどうかを確認し、それによって塗膜剥離の予防を実現することです。そのため、塗膜剥離予防のためには含水計の活用は必須と言えるでしょう。

各種含水計の特性と適用例

含水計は大きく分けて、非破壊型と破壊型の2種類が存在します。

非破壊型は、センサー部分を物体表面に接触させるだけで水分量を測定できます。具体的な例として、電磁波や超音波を用いるものがあり、建築物の内部や大型構造物への使用が主な適用となります。

一方、破壊型は物体から一部材料を採取し、その水分量を直接測定します。例えば、カルシウムカーバイド法がこれに該当し、コンクリートや木材などの中から直接水分を抽出し測定します。

どちらの方法もそれぞれに特性と適用例があり、具体的な状況や目的により選択が求められます。どちらの含水計も塗膜剥離予防には重要な役割を果たしますが、使用状況や目的により最適なものを選択することが求められます。

3. 含水計を用いた塗膜剥離の予防措置

含水計は塗膜剥離防止の有力なツールとなります。主にコンクリートや各種建材の乾燥状態を確認し、適切な水分量が保たれているかを検証します。

具体的には次の手順で使用します。

  1. スキャンモードで大まかな水分分布を把握 各部位をスキャンし、含水率の高い箇所を特定します。

  2. ピンモードで正確な含水率を測定 特定した箇所に対しピンを挿入し、正確な含水率を測定します。

  3. 適正な含水率かの評価と対応 測定結果を基に、適正な含水率が保たれているか評価し、必要ならば乾燥作業を実施します。

導入することで、工事前の水分チェックはもちろん、施工後の品質管理にも活用できます。これにより塗膜剥離の予防に資するとともに、長持ちする塗膜を確保することが可能となります。

コンクリートや各種建材の乾燥状態の確認方法

コンクリートや各種建材の乾燥状態は、主に含水計を用いて確認します。具体的な手順は以下の通りです。

  1. 含水計のセンサー部分を建材に接触させます。これにより、建材内部の水分状態を検知します。

  2. 含水計のディスプレイに表示された数値を確認します。この数値が水分含有率を示しています。

  3. 水分含有率が高すぎる場合は、塗工前に乾燥を待つか、乾燥促進の手段を講じます。

なお、様々な種類の建材に対して、適切な水分含有率は異なります。下記の表に主要な建材ごとの目安となる水分含有率を示します。

建材種別

適切な水分含有率

コンクリート

12%以下

木材

8-12%

ジプスボード

1%以下

以上の手順と表を参考に、各建材の適切な乾燥状態を確認し、塗膜剥離の予防に役立ててください。

水分計の数値の根拠とその評価方法

含水計は、材料の内部に存在する水分の量をパーセンテージで表示する装置です。一般的には、電子式と針式の2つが存在します。電子式は直接読み取りが可能で、針式は素材の抵抗値から水分含有率を算出します。

具体的な評価方法は以下の通りです。

  1. 乾燥状態:含水率が6%以下の場合、材料は乾燥していると評価します。

  2. 半乾燥状態:含水率が6%以上13%以下の場合、材料は半乾燥と評価します。

  3. 湿潤状態:含水率が13%以上の場合、材料は湿潤と評価します。

これらの基準は一般的なものであり、実際の施工現場では、材料の種類や塗料の性質により適切な含水率が異なるため、各工程において適切な測定と評価が求められます。

4. 事例紹介:含水計を用いた塗膜剥離予防の具体的な手法とその効果

事例1では、ウレタン塗膜防水施工時を挙げています。塗装前に含水計を用いてコンクリートの含水率を確認し、適切な乾燥状態か判断します。適切な状態であれば塗装を進め、そうでなければ乾燥工程を繰り返します。これにより、下地の水分による塗膜剥離を予防しています。

次に、事例2として建築物の塗装時を挙げます。含水計を用いて壁材の含水率を確認することで、塗装可能な状態かを判断します。適切な状態であれば塗装を進行させ、そうでなければ乾燥時間を設ける等の対策を行うことで、塗膜剥離を未然に防いでいます。

これらの事例からも分かる通り、含水計を活用することで塗膜剥離の予防と効果的な施工管理が可能となります。

事例1:ウレタン塗膜防水施工時の水分管理

ウレタン塗膜防水施工において、水分管理は非常に重要です。施工前のコンクリートの乾燥状態は、含水計を用いて確認します。含水計による数値が高い場合、塗膜が正常に定着せず、剥離の原因となります。

具体的な手順は以下の通りです。

  1. 含水計をコンクリートに押し当て、数値を読み取る。

  2. 数値が20%以下なら乾燥が十分と判断し、施工を進める。20%以上であれば乾燥を待つ。

このように、含水計を用いてコンクリートの水分状態をチェックすることで、塗膜剥離を未然に防ぐことが可能です。また、定期的な水分チェックにより、施工の適切なタイミングを見極め、品質管理にも寄与します。

事例2:建築物の塗装時の水分管理

建築物の塗装作業においても、含水計の活用は重要です。水分が多いと塗膜剥離の原因になります。

まず施工前に、含水計を使用して壁面の水分を確認します。一般的に、水分量が10%以下であれば塗装可能とされています。これは表1のようになります。

【表1】

水分量

塗装可否

10%以下

10%以上

不可

次に、塗装後も定期的に含水計を使用して水分管理を行います。これにより、早期に塗膜剥離の兆候を見つけることができます。

以上のように、含水計の適用は塗装施工の品質管理に大いに貢献します。この手法を採用することで、塗膜剥離の予防と対策が可能となります。

5. 各団体の仕様書等の記載内容とその解説

「塗膜剥離予防」については、建築工事監理指針や日本建築学会建築工事標準仕様書など、国内外の各種技術基準やガイドラインで詳細に解説されています。これらの仕様書では、建材の含水率の適切な管理が強調され、含水計の活用が推奨されています。

例えば、建築工事監理指針では、「施工前の素材の乾燥状態の確認は必須であり、そのための具体的な手段として含水計の利用が挙げられています。」

また、日本建築学会建築工事標準仕様書では、「塗装前には、素材の含水率を含水計で確認し、一定の基準以下であることを確認すること」と明記されています。

弊社もこれらの基準に基づき、含水計を用いた水分管理を推奨しております。効果的な塗膜剥離予防策として、含水計の正確な使用法とその評価方法について、具体的にご提案いたします。

建築工事監理指針、日本建築学会建築工事標準仕様書等の仕様書内容の解説

建築工事監理指針では、施工前の素材選定から施工後の管理まで、品質確保のための具体的な指針を示しています。そこでは、含水計の活用が推奨されており、特に塗膜剥離の防止においては、混和物や下地状況の水分量を適切に管理することが強調されています。

一方、日本建築学会建築工事標準仕様書では、工事に関わる各種条件や要求事項を詳細に記載しています。具体的には、含水計を使って下地の含水状態を確認し、その結果に基づいて施工条件を調整することなどが明記されています。

これらの公式文書は、塗膜剥離防止措置に含水計の活用を推奨し、その効率的な使用方法を示しています。それぞれの仕様書には、具体的な方法論や基準値が記述されており、これらを理解・適用することで品質確保と効率的な施工が可能となります。

弊社の推奨する含水計の使用方法

弊社では、塗膜剥離予防のために含水計の適切な使用を推奨しています。

  1. 測定前の準備: まず、含水計のセンサー部を清潔に保つことが重要です。汚れがついていると正確な測定ができません。

  2. 定期的な測定: 塗膜施工前の基材の含水率を定期的に計測し、一定の水分量を維持することが大切です。

  3. 測定値の評価: 含水計の数値は、表面の水分状態だけでなく、内部の水分状態も示します。そのため、高い数値が出た場合は、乾燥作業を継続するか、塗膜の種類を選び直す必要があります。

以上が弊社の推奨する含水計の使用方法です。これにより塗膜剥離の予防に効果的に対応することが可能です。

6. まとめ:含水計を活用した塗膜剥離予防の重要性とその対策法の提案

含水計の活用は、塗膜剥離予防における重要な手段となります。下記に表1で一般的な予防手法と含水計を用いた方法の比較を示します。

【表1:塗膜剥離予防法の比較】

  • 一般的な予防手法:乾燥時間の確保、適切な塗膜厚の確認。

  • 含水計を用いた予防手法:建材の乾燥状態の確認、数値に基づく評価。

これらの比較から、含水計を用いることで、より具体的かつ科学的な水分管理が実現できます。その結果、施工ミスによる塗膜剥離のリスクを大幅に低減できるというメリットがあります。

ただし、含水計の適切な使い方を知っている専門家が必要であるというデメリットが存在します。

これらを踏まえ、塗膜剥離予防のためには、日々の施工管理に含水計を活用することを強く提案します。

一般的な塗膜剥離予防の手法と含水計を用いた方法の比較

一般的な塗膜剥離予防の手法は、塗膜の乾燥状態を目視や手触りで判断することが主流です。しかし、これらの方法は経験や技術に依存し、個々の判断にばらつきが生じる可能性があります。

一方、含水計を用いた塗膜剥離予防の方法は、数値化されたデータに基づいて客観的な判断が可能です。具体的な値を参照することで、より精度の高い塗膜の水分状態を把握できます。

以下に、両者の比較を表形式で示します。

一般的な方法

含水計を用いた方法

判断基準

目覚や手触り

数値化されたデータ

結果のばらつき

あり

少ない

精度

低い

高い

以上から、含水計を用いることで塗膜剥離の予防における誤判断を減らし、信頼性の高い結果を得られることがわかります。

含水計を用いた塗膜剥離予防対策のメリットとデメリット

含水計を用いた塗膜剥離予防対策には大きなメリットと一部デメリットがあります。

【メリット】

  1. 正確な水分量の把握:含水計を使用することで、塗膜に影響を及ぼし得る水分量を数値として把握することが可能です。これにより、理想的な塗装条件を判断しやすくなります。

  2. 予防的対策の可能性:適切な含水率を把握することで、早期に予防措置を講じることが可能となり、結果的に塗膜剥離のリスクを低減できます。

【デメリット】

  1. 機器のコスト:高性能な含水計は一定のコストがかかります。そのため、短期間や小規模な施工ではコストパフォーマンスが悪い場合があります。

  2. 操作性:正確な含水率を得るためには、適切な操作法と解析スキルが必要です。これには研修や経験が必要となるため、初期投資として時間と労力が必要となります。

これらのメリットとデメリットを理解し、適切な塗膜剥離予防対策を立てることが重要です。

塗装工事の品質につながる気温と雨

塗装工事を行う際には、気温に注意しなければなりません。塗装は塗料という液体を何重にも塗って仕上げるというプロセスで行いますが、その際に、必ず塗料を乾かすという工程が必要となります。

この塗料を乾かすという作業については、気温が大きく関わってきます。また、塗装工事においては、気温だけでなく湿度も大きく関わってきます。液体である塗料を使用しているため、湿度が高すぎる場合は、塗料に余分な水分が混ざってしまい、本来の効果が得られないという可能性もあります。(水性塗料)湿度と気温は非常に密接に関わっていますので、

今回は、そんな塗装工事と気温の関係について、ご説明いたします。

気温が低い場合の塗装工事について

塗装工事において、気温が高ければ高いほど、塗料の乾燥に時間がかからず、低ければ低いほど、塗料の乾燥に時間がかかります。

これは、洗濯物を乾かす時間と同じと考えればわかりやすいかもしれません。夏の晴れた日であれば、洗濯物はすぐに乾きますが、冬の寒い日だと、なかなか洗濯物は乾きません。もちろん、乾燥させる以上、ある程度の風も必要となりますが、気温が高くて、かつ、適度な風が吹いている状況が、最も塗料が乾燥しやすい環境といえます。

では、どの程度の気温があれば、問題なく塗料を乾かすことができるのでしょうか。塗装を乾かすためには、一般的に気温が5℃を超えている必要があると言われています。気温が5℃以下の場合は、塗料の乾燥が非常に悪いばかりか、塗料の粘度が増してしまいます。そのため、希釈するためにシンナー等の希釈剤を添加しなければなりません。その結果として、塗膜が薄くなってしまうという事になってしまいます。

塗装工事では、新しい塗料を塗ることで塗膜を作成し、その塗膜によって防水性能や耐久性能を向上させることを目的としています。そのため、塗膜が薄くなってしまうということは、それらの目的を達することができないということにつながります。ですので、気温が5℃以下の場合は、塗装工事をするべきではありません。

特に、初冬から早春にかけては、日中は5℃を超えていたとしても、夕方から気温が一気に低下してしまうことがあります。そのため、その期間の塗装工事は、できたとしても10時から14時ごろまでで終了するのが無難であると言われています。 特に気温が上がりにくい北側の塗装に関しては注意が必要です。

気温が高い場合の塗装工事について

 次に、気温が高い場合の塗装工事についてです。夏場等、気温が30℃や40℃を超える場合、塗装工事を行っても問題はないのでしょうか。結論としては、気温だけみると問題はありません。

しかし、気温が上がると相対湿度もあがるという関係があります。そのため、冬場は乾燥し、夏場は湿気でジメッとした日が多くなります。

塗装工事は、一般的に相対湿度が85%を超えるときは行わないほうがいいと言われています。相対湿度が85%を超えている場合、空気中の水分が付着してしまうことによって、塗膜の付着力が低下し、防水性能や耐久性能が下がってしまいます。また、金属面など、結露しやすい部分では、「かぶり」という現象が発生し、色が白くボケやすくなってしまいます。夏場は気温が高く、日照時間も長いため塗料の乾燥については非常に恵まれた環境となっています。しかし、気温が高い分、湿度も高くなりがちという点や夕立等による突発的な雨が多く、せっかく塗装した部分が乾く前に雨で流されるというリスクを考えると、最も適した季節とは言えません。

「雨」と外壁塗装の関係について

 外壁塗装は、1日で終わる作業ではありません。そのため、塗装工事の期間中に雨が降ってしまうこともあります。では、雨が降った日には、塗装工事はどうなるのでしょうか。

雨が降ってしまった場合、基本的には塗装工事は中断となります。雨の中、塗装工事を行ってしまうと、塗った直後の塗料やこれから使用する塗料に雨水が入り込んでしまい、塗料の品質が下がってしまいます。また、完全に乾ききっていない塗料の上に雨が落ちることによって、その部分だけ弾いてしまい剥がれの原因となってしまいます。さらに湿気によって乾燥までに時間が長くかかりますので、どちらにしても、その間、待たなければならず、その時間を短縮しようと、完全に乾燥しないまま塗料を重ねて塗ってしまうと、しっかりと塗料が密着せずに1年程度でひび割れや剥がれ落ちる原因となります。 また養生作業も雨のため外壁等の掃除にテープが密着しないため作業はできません。

参考:塗装工事の養生テープの種類と使い分けに関して

そのため、雨の日には塗装を行うことはできません。(サイディングは表面は撥水性がありますが、断面や裏側などは吸い込んでしまいます。)

逆に雨の日でもできる作業としては、高圧洗浄やケレンなどがあります。

 しかし、雨が降ってしまった場合でも、雨量によっては、足場の作成や養生といった塗料を使用しない工程で、職人さんの安全が確保できるものについて、実施することが可能です。しかし、最近よく降っているゲリラ豪雨のような大雨の場合は、塗装作業はもちろんのこと、養生や足場の作成も職人さんの安全が確保できないために延期することとなります。

そのため、現場に来る職人さんがどこから来るのか把握するのも大切です。

「職人さんは、どこからきますか?」

現場から近いと横着をしないで、雨が降ってきても柔軟に対応してくれます。しかしながら、現場が遠いとせっかくだからと無理をしがちです・・・

塗装している途中で雨が降ってしまったら

 最近の天気は非常に変わりやすく、青空が見えるくらいに晴れていたと思ったら、いつの間にか曇り空から大雨になることもあります。そのため、天気がいいからと塗装を行っていた時に急に雨が降ってしまうということもあります。そういったときには、途中まで実施していた塗装はどうなるのでしょうか。

ごく少量の小雨程度であれば、品質に影響の出ない作業に関しては継続しても問題はありません。ある程度の雨量がある場合は、残念ながら別の日に延期ということになります。

こんな業者には要注意

 普通は雨の日は作業を中断しますが、一部の業者では多少の雨でも作業を継続するところがあります。職人さんを雇っている以上、業者は職人さんに給料を支払わなければならないため、1日でも早く塗装工事を終わらせるために、雨の日でも作業を行うため、工期自体は確かに短いのですが、品質は全く期待することができません。

すでにご説明した通り、雨の日に塗装を行ってしまうと塗装事故の原因になってしまいます。建物を守るべき塗膜が弱くなるということになりますので、建物をメンテナンスするために塗装工事を行っているにも関わらず、きちんとしたメンテナンスになっていないということになります。

また、塗り終わった塗料の上から雨が当たることで、水玉模様のようなムラができてしまい、見た目も悪くなってしまいますし、その部分だけ塗膜が薄くなってしまうことにもなります。(屋根塗装時は特に注意が必要です。)

さらに、雨の日でも作業を継続するような業者ですと、塗料が完全に乾ききる前に中塗り・上塗りを行う傾向にありますので、本来7年~10年は持つといわれている塗料であっても、わずか数年で剥がれ落ちてしまうことになってしまいます。

ですので、いくら価格が安いからといって、雨の日にも作業を継続するような業者に依頼することは、長期的な目で見た場合、高い出費が伴うこととなります。

塗装工事を行うのに適した季節

 塗装工事を行う上で、最も適した季節は「春」と言われています。春先は、比較的気温が高く、梅雨前で雨の日も少ないため、湿度も上がりにくいという特徴があります。日照時間についても徐々に伸びてくる季節で、1年を通して、もっとも長時間、塗装工事ができる季節となっています。また、秋も春と同じように、塗装工事に適した季節と言われています。しかし、昨今の天気を見てみると、夏が過ぎたあとでも、大量の台風が発生するなど、春に比べると天気が安定していないという環境になりつつあります。雨や台風や自然現象ですので、どうすることもできませんが、比較的、それらの発生が低い季節に塗装工事を行うことをおすすめします。

まとめ

 塗装工事を行う際に注意しなければならない点は、気温は5℃以上、湿度は80%以下の環境で行わなければならないという点です。気温・湿度ともにこの基準を超えてしまった場合、塗装工事が行いにくいだけでなく、せっかく行った塗装工事によって得られるべき防水性能や耐久性能といった建物をまもるための効果が薄れてしまい、次回、塗装工事を行うまでの期間が短くなったり、建物にダメージを与えてしまうことになったりと、デメリットが多い工事となってしまいます。

そのため、気温5℃、湿度80%という基準をしっかり守り、きれいで機能性を備えた塗装工事が行うようにしてください。

塗装工事の冬季における注意する事

最近、すっかり寒くなり、年の変わり目を意識する季節となりました。山間部では、雪が積もっている地域もあるようで、これから更に寒さが増してくることでしょう。

さて、そんな冬の寒い時期には塗装作業を行わない方がいい、ということを聞くこともあるかと思います。冬は寒いだけでなく、空気が乾燥しており、日照時間が短いという特徴があります。それらの特徴のうち、何が冬は塗装作業に向かないと言われる原因なのでしょうか。

今回は、冬季における塗装作業で、

塗装作業が向かないと言われるわけと、依頼者側が注意することについてまとめてみました。

冬が塗装作業に向かないと言われるワケ

 冬は、夏と比べると気温が低いだけでなく、湿度が低い、日照時間が短いという変化があります。塗装作業において使用する塗料には、適切な気温及び湿度が定められており、概ね、気温は20度程度、湿度は60%程度がいいと言われています。しかし、冬の時期は、気温は10度未満、湿度も低いときは20%~30%と、塗料のベストコンディションとは遠い状態であるといえます。

特に、外気温が3度未満である場合、気温が低すぎて塗料の粘度が増し、結果として希釈剤(シンナー)を入れなければ作業ができなくなる可能性があります。しかし、塗料のベストコンディションを守れないのは夏も同じで、夏の場合は気温が30度以上、湿度も多いときは70%以上と、こちらもベストコンディションとは言い難い状態です。

塗料に関しては、ベストコンディションはあくまで気温20度、湿度60%程度と言われていますが、メーカーの努力の甲斐もあり、今では夏用・冬用といった塗料も販売されています。各季節に応じた塗料を行うことで、その季節に応じた状態をベストコンディションとすることができますので、今は昔ほど気温や湿度に関して、注意しなければならないということはありません。

では、冬が塗装作業に向かないと言われる最も大きな点とはなんでしょうか。それは、日照時間の短さです。塗装作業を行う場合は、下塗り・中塗り・上塗りと少なくとも3段階に分けて塗装作業を行います。塗装を行ってすぐは、塗料が乾いていない関係から、次の工程に移ることができません。必ず塗料を乾かすという待ち時間が生じます。

 夏では、19時位までは日照時間があるため、比較的遅くまで塗料を乾かす環境を作れますが、冬は早い場合は17時程度までしか日照時間がなく、乾燥にかけられる時間が短くなってしまいます。また、夕方から夜にかけて、霜が降りることもあります。せっかく乾燥させようとしている塗料は、霜によって再度水分を含んでしまうことは、塗装作業の中断となりかねません。(水性塗料において)これらの要因が、冬は塗装作業に向かないと言われる原因です。

本当に冬季は外壁塗装ができないのか

 では、これらの問題があるから、冬は本当に外壁塗装ができないのかと言われると、そうではありません。夏に比べて、条件はよくありませんが、冬でも塗装作業は十分に行うことができます。

第一に、すでに説明したとおり、冬用の塗料が販売されていますので、よほどの低温出ない限りは、塗料の性能を十分に発揮して塗装することができます。塗料の問題については、現代においては特に問題とはなりません。次に日照時間の問題ですが、これについても、先に日当たりの悪い部分から塗装を行い、日当たりの良い部分を最後に行うことで、短い日照時間でも効率的に日光に当てることができますし、熟練の職人さんであれば、乾燥までの時間をシミュレートすることも可能ですので、霜が降りる前に乾燥を完了させるよう、塗装計画をたてることも可能です。そのため、冬であっても塗装作業は問題なく行うことができます。

冬に塗装作業を依頼する場合の注意点

 冬でも塗装作業は問題なく行えますが、これは施工主様の協力が必要です。例えば、夏であれば多少無理なスケジュールであっても、日照時間が長く、気温も高いため、塗料の乾燥までの待ち時間が短く、スケジュールも立てやすいのですが、冬においては、日照時間が短いため、限られた時間内に効率よく塗装を行わなければなりません。

そのため、厳しい納期や期間を限定しての塗装のご依頼があった場合、ご期待に添えることができない可能性が生じます。かといって無期限に納期を延長させてほしいということではありません。

しっかりとゆとりをもった納期をご指定いただければ、きっちり納期を計算に入れた上で塗装作業行うことができますので、期限はゆとりをもっていただきたいと思います。(ただどうしてハウスメーカーさんでの工期は下請け業者さんにしわ寄せが来ることが多いので、

ヨコイ塗装では元請け業者さんでの塗装をおすすめしています。)

特に、外壁塗装において、雨や雪の日は作業が滞ってしまいます。雪の降りやすい地域で、雪が積もっている場合には、塗装場所によっては塗装作業を行えないケースもあり得ますので、納期に関しては、十分にゆとりをもたれることをおすすめいたします。