屋根塗装

リノベーション必見!「ガルバリウム色褪せ早い」問題の原因と防止策

1. はじめに

リノベーションに欠かせない素材の一つ、ガルバリウム鋼板。その耐久性や美麗な光沢は建築業界で高い評価を受けています。しかし、「ガルバリウム色褪せ早い」という問題が指摘されることもあります。

これは経年劣化や環境要因により、ガルバリウム鋼板が色褪せしまうという現象を指します。特に屋外で使用される場合、雨風や紫外線により劣化が進行しやすいのが実情です。リノベーションを行う際に、色褪せが進行しているガルバリウム鋼板をどのように処理し、どのように保護すべきか、適切な知識が必要となります。

本記事では、「ガルバリウム色褪せ早い」問題の原因とその防止・改善方法について解説します。早期発見と適切な対策で、ガルバリウム鋼板の美しさを長く保つことが可能です。

「ガルバリウム色褪せ早い」問題について

「ガルバリウム色褪せ早い」とは、ガルバリウム鋼板の色が経年劣化などにより早く褪せてしまう問題を指します。この問題は、ガルバリウム鋼板が建築物や外装材として広く使用されているため、多くの方々からの関心を集めています。

ガルバリウム鋼板は、優れた耐食性や耐久性を持つ一方で、経年劣化により色褪せが起こる可能性があります。特に、強い紫外線や雨風、湿度などの影響を受けやすい環境下では、その現象が顕著に現れることがあります。

以下の表は、ガルバリウムの色褪せ早い問題の主な原因とその概要を示しています。

原因

概要

経年劣化

自然の腐食過程により色褪せが発生

紫外線

強い日差しにより色あせが進行

雨風・湿度

高湿環境や雨風により劣化が早まる

この問題を解決するためには、定期的なメンテナンスや適切なリノベーションが必要となります。具体的な対策については後述します。

2. ガルバリウムとは

ガルバリウムとは、鋼板にアルミニウムと亜鉛を主成分とした被膜をつけたものを指します。以下の表でその特性を詳細にご紹介します。

特性

内容

耐食性

アルミニウムと亜鉛の二重の保護により、優れた耐食性を持つ。

高耐熱性

炎による影響を受けにくく、火災に強い。

軽量性

鋼板自体が軽量で、大きな建築物でも取り扱いやすい。

ガルバリウム鋼板は、その特性から屋根材や外壁材などに広く用いられています。特に耐食性と高耐熱性は長期にわたる外部環境への影響を抑えるため、建築分野での利用が多いのです。ただし、色褪せが早いという課題があることも事実で、その原因と解決策については次節以降で詳しく解説します。

(1) ガルバリウム鋼板の特性

ガルバリウム鋼板は、その名の通りガルバニウムとアルミニウムを主成分とする特殊な鋼板です。これらの成分が錆びにくさと耐久性を備え、それが大きな特長となっています。一般的な鋼板に比べて耐候性に優れ、建物の屋根や外壁などに用いられることが多いです。

ガルバリウム鋼板の主な特性を以下の表にまとめました。

特性

説明

耐久性

長期間にわたり優れた耐久性を発揮します。

耐候性

風雨や紫外線から建物を守る能力に優れています。

軽量性

比較的軽量なため、構造物への負荷を抑えます。

しかし、その一方で「色褪せが早い」という課題も存在します。続く項目では、この問題の原因と対策を詳しくお伝えします。

(2) ガルバリウム鋼板の用途

ガルバリウム鋼板は、その耐食性と耐久性に優れているため、様々な分野で利用されています。主に屋根や外壁材としての使用が多く、これらの部分に使用することで、長期間にわたる耐久性とメンテナンスのしやすさを提供します。

また、建築物のサイディング、雨どい、屋外装置のカバーなどにも利用され、これらの用途においては、ガルバリウム鋼板の色褪せに強い特性が利点となります。

さらに、塩害に強いため海沿いや温泉地などの塩分を多く含む環境でも持ちが良いとされています。その他にも、一部の農業施設や工業施設では、耐食性を活かした用途が見られます。

以下に、ガルバリウム鋼板の主な用途を表にまとめています。

用途

特性の活用

屋根・外壁材

耐久性・メンテナンス性

建築物のサイディング・雨どい

色褪せ耐性

海沿いの施設

塩害耐性

農業施設・工業施設

耐食性

以上が、ガルバリウム鋼板の主な用途とその特性の活用例です。

3.「ガルバリウム色褪せ早い」問題の原因

ガルバリウム鋼板が色褪せる原因は主に三つです。

1.経年劣化現象: 全ての建材に共通する現象で、時間とともに自然と色褪せが起こるものです。通常、ガルバリウムは20年以上の耐久性があるとされていますが、環境条件によっては早めに色褪せが起こることもあります。

2.チョーキング現象: これはガルバリウムの表面に塗装やコーティングが施されている場合に起こります。紫外線や雨風によって表面が劣化し、粉状の白い物質が発生し、色褪せにつながる現象です。

3.錆・苔・カビの影響: 使用環境やメンテナンス状況により、錆や苔、カビが発生することがあります。これらが直接的に色褪せを引き起こすわけではないですが、表面を覆い、元の色を見えなくすることで色褪せと感じられることがあります。

これらの原因を把握することで、適切なメンテナンスやリノベーションが可能となります。

(1)経年劣化現象

ガルバリウム鋼板は、その特性上、時間の経過とともに色褪せる経年劣化現象が見られます。これは、ガルバリウム鋼板の表面に形成される独特のパティナ(腐食生成物)が、日光や雨風によって徐々に変化し、元の色合いを失う現象を指しています。

以下の表は、ガルバリウム鋼板の色褪せを引き起こす主な要因を示しています。

原因

詳細

日光

紫外線や赤外線等により鋼板の色が褪せる

雨風

雨や風による物理的な摩耗で鋼板が劣化する

この経年劣化は避けることは難しく、ガルバリウム鋼板の持つ美しさの一部とも言えます。しかし、適切なメンテナンスを行うことで、色褪せを最小限に抑えることが可能です。

(2)チョーキング現象

「ガルバリウム色褪せ早い」と感じる一因に「チョーキング現象」があります。これは、ガルバリウム鋼板の表面が紫外線や雨風により劣化し、微細な粉状になる現象のことを指します。触れると手に白い粉がつく事からこの名前がつきました。

↓ 【チョーキング現象のメカニズム】

  1. 紫外線や雨風による長期的な影響

  2. ガルバリウム鋼板表面の劣化

  3. 微細な粉状の発生

この現象により、ガルバリウム鋼板の色が褪せて見えることがあります。対策としては、定期的なクリーニングや、適切なタイミングでの塗装が効果的です。また、強い紫外線が当たりやすい場所や、海沿いなど塩害の影響を受けやすい地域では、特にこの現象に注意が必要です。

(3)錆・苔・カビの影響

ガルバリウムの色褪せが早く進む一因として、錆や苔、カビの影響があります。「ガルバリウム色褪せ早い」問題を深刻化させるこれらの要因について詳しく見ていきましょう。

まず、「錆」についてです。ガルバリウム鋼板は耐食性に優れていますが、経年による風雨の影響や、塩分濃度が高い地域では、表面が酸化し、錆が発生する可能性があります。これにより、元々の美しい色合いが褪せてしまいます。

次に、「苔・カビ」についてです。湿度が高い環境や、雨水が長時間滞留する場所では、苔やカビが生育しやすくなります。これらが原因でガルバリウム鋼板の表面の色が変化し、色褪せが進行します。

これらの問題を防ぐためには、定期的な清掃やメンテナンスが重要となります。また、劣化が見られた場合は、早めの補修や塗装がおすすめです。

4.色褪せを防止するためのメンテナンス方法

ガルバリウム鋼板の色褪せを防ぐためには、以下のメンテナンス方法が試されています。

(1)定期的なケレン(表面処理) ガルバリウムの表面は経年劣化により少しずつ変色します。これを防ぐためには、定期的なケレンが有効です。ケレン(表面を磨くこと)により、鋼板表面の不純物や既に色褪せてしまった部分を取り除くことが可能となります。

(2)適切な塗装とそのタイミング 適切な塗装は、ガルバリウムの色褪せを予防します。塗装のタイミングは、新築時やリノベーション時、または既存の塗装が劣化してきたと感じたら行うと良いでしょう。

(3)傷や劣化シーリングの早期補修 ガルバリウムに傷がついたり、シーリングが劣化したりすると、そこから色褪せが進行します。傷や劣化シーリングを早期に補修し、塗装を施すことで、色褪せの進行を防ぎます。

以上のメンテナンス方法を試すことで、ガルバリウム鋼板の色褪せを防止し、美観を長持ちさせることが可能です。

(1)定期的なケレン(表面処理)

ガルバリウム鋼板の色褪せを遅らせるためには、定期的なケレン(表面処理)が必須です。ケレンとは、鋼板表面の汚れや錆を取り除く作業のことを指します。

まず、ガルバリウム鋼板の表面についた塵や汚れを柔らかいブラシや布で優しく拭き取ります。これは、細かい粒子が鋼板表面を傷つけるのを防ぐためです。次に、専用のケレン剤を使用して、鋼板表面の錆や汚れを完全に取り除きます。

表1. ケレンの手順

手順

内容

1

ガルバリウム鋼板表面の汚れを柔らかいブラシや布で拭き取る

2

専用のケレン剤で鋼板表面の錆や汚れを取り除く

このケレンの作業は年に1度程度を目安に行い、ガルバリウム鋼板の美観と耐久性を保つことが可能です。しかし、ガルバリウム鋼板の環境や使用状況によっては、もっと頻繁に行うことも考えられます。

(2)適切な塗装とそのタイミング

ガルバリウム鋼板の色褪せを防ぐためには、適切な塗装が欠かせません。一般的に、ガルバリウム鋼板には、耐候性や塩害に強いフッ素系塗料やシリコン系塗料が適しています。太陽光や雨風による直接のダメージから鋼板を守り、色褪せを最小限に抑えます。

また、塗装のタイミングも重要です。新規施工後、すぐに失敗すること無く2~3年目を目安に塗装をすると、ガルバリウム鋼板の寿命を格段に延ばすことが可能です。更に、定期的な再塗装(7~10年ごと)も忘れずに行いましょう。

以下に一例を挙げてみます。

【塗装タイミングと種類の例】

初回塗装

再塗装

塗料の種類

新規施工後2~3年目

7~10年ごと

フッ素系、シリコン系

色褪せ問題を解消するために、適切な塗装とそのタイミングを把握し、ガルバリウム鋼板のメンテナンスを怠らないようにしましょう。

(3)傷や劣化シーリングの早期補修

ガルバリウム鋼板の色褪せを防ぐためには、傷や劣化したシーリングの早期補修が欠かせません。

まずは、定期的にガルバリウム鋼板の表面を観察することが重要です。見かけ上の小さな傷も、時間と共に錆びる原因となる可能性があります。見つけ次第、適切な塗料で塗装し直すことで、色褪せや錆を予防することができます。

次に、建物の屋根や壁に使われるシーリング材が劣化していれば、そちらも早急に補修する必要があります。劣化したシーリング材から水分が侵入し、ガルバリウム鋼板が錆びたり色褪せたりする原因となります。

■補修の手順

  1. 傷や劣化部分を確認

  2. 必要に応じてシーリング材を撤去

  3. 新しいシーリング材を適用

  4. 塗装を行う

以上のような対応を早めに行うことで、ガルバリウム鋼板の長期的な色褪せを防ぐことが可能です。

5.色褪せを改善するリノベーション方法

ガルバリウム鋼板の色褪せを改善するには、適切なリノベーションが有効です。

まず(1)塗装の手順とポイントですが、ガルバリウム鋼板の表面を整える「ケレン」を行い、さらにプライマーを塗布し、最後に上塗りとなる塗料を塗るのが基本的な手順です。これらの工程は専門家に依頼することをおすすめします。

次に(2)色選びのアドバイスですが、塗装色は日光に強く、退色しにくい色を選ぶと良いでしょう。例えば、濃色よりも淡色、無彩色よりも彩度の低い色がおすすめです。

最後に(3)フッ素鋼板の活用です。フッ素鋼板は色褪せに強く、耐久性にも優れています。ガルバリウム鋼板の上から貼ることで、色褪せを防ぎつつ経年劣化も抑えられます。ただし、費用がかかりますので、必要性と予算を考慮しましょう。

(1)塗装の手順とポイント

ガルバリウム鋼板の色褪せを改善するためには、適切な塗装が重要となります。その手順とポイントを以下に示します。

1.表面処理:まずはガルバリウム鋼板の表面汚れや旧塗膜、錆などをケレンで除去します。これにより塗料がしっかりと鋼板に密着する基盤を作ります。

2.下塗り:初めて塗装する場合や前の塗装から時間が経過している場合は下塗りが必要です。これにより塗料の密着性を高め、錆びの発生を防ぎます。

3.中塗り:下塗り後、色の均一性や防錆性を高めるために中塗りを行います。塗膜の厚さを一定に保つことで色ムラを防ぎます。

4.上塗り:最終的な色味と光沢を出すための上塗りを行います。耐久性を高め、長期間色褪せを防ぐ効果があります。

以上、適切な塗装手順とそのポイントを理解し、ガルバリウム鋼板の美観と耐久性を長持ちさせましょう。

(2)色選びのアドバイス

色選びは、ガルバリウムの色褪せを防止する上で重要な要素の一つです。一般的に、淡い色ほど太陽光の反射率が高く、暗い色ほど低いことから、色褪せの進行速度に差が出ます。つまり、淡い色の塗装を選ぶことで、色褪せを遅らせる効果が期待できます。

また、過度な紫外線の影響を受けやすい地域では、紫外線防止効果のある塗料を選ぶことも大切です。これらの塗料は、紫外線による色褪せを抑える成分を含んでいます。

また、色選びは家の外観だけでなく、周囲の環境にも配慮した方が良いでしょう。周囲の景観と調和し、長期間美しい状態を保ちやすい色を選んで下さい。

(3)フッ素鋼板の活用

ガルバリウム鋼板の色褪せ問題を解決する一つの方法として、フッ素鋼板の活用があります。フッ素鋼板は、耐候性、防汚性に優れ、色褪せにくいという特性を持つため、ガルバリウム鋼板よりも長持ちします。

フッ素鋼板は、その名の通りフッ素樹脂を塗布した鋼板で、優れた耐候性と保色性を持っています。表面が滑らかであるため、汚れが付着しにくく、メンテナンスも容易です。

また、多くの色彩が用意されており、建物のデザインに合わせた選択が可能です。これにより、色彩変化を楽しみながらも、色褪せによるリノベーションの頻度を抑えることができます。

ただし、フッ素鋼板はガルバリウム鋼板と比較してコストが高くなります。初期投資は増えますが、長期的に見ればメンテナンスコストの節約につながるため、総合的なコストパフォーマンスは高いと言えます。

フッ素鋼板を活用することで、ガルバリウム鋼板の色褪せ問題を改善し、美しい外観を長持ちさせることが可能になります。

6.まとめ

ガルバリウム鋼板の色褪せが早いという問題は、主に経年劣化やチョーキング現象、錆・苔・カビの影響から生じます。これらは避けられない現象ではありますが、適切なメンテナンスによって防止も可能です。

表1. 色褪せ問題の原因と解決策

問題の原因

解決策

経年劣化

定期的なケレンと塗装

チョーキング現象

適切な塗装とタイミング

錆・苔・カビ

傷や劣化シーリングの早期補修

これらの対策は、色褪せを抑えながらガルバリウム鋼板の耐久性を長持ちさせるためのものです。さらに、色褪せが気になる場合にはリノベーションを検討し、塗装の手順と色選びに注意を払い、フッ素鋼板の活用も考えてみてはいかがでしょうか。これらを行うことで、ガルバリウム鋼板はより長持ちし、美しさを保つことが期待できます。

(1)ガルバリウムの色褪せ問題の原因と解決策

ガルバリウムの色褪せは主に3つの原因が考えられます。1つ目は自然に起こる経年劣化で、日本の厳しい気候条件によりガルバリウム表面が変色します。2つ目はチョーキング現象、つまり、塗膜の表面が粉化し、雨により流れ落ちることで色褪せが起こります。3つ目は錆や苔、カビ等の生物の影響です。

これらの問題を解決するための策としては、定期的なケレン(表面処理)が効果的です。ケレンにより、古い塗膜や錆を取り除き、新たな塗膜を形成することで色褪せを防ぎます。さらに、塗装のタイミングを見極めることも重要です。塗装はケレン後、乾燥した状態で行うと良い結果が期待できます。最後に、傷や劣化シーリングは早期に補修しましょう。これらのメンテナンスを行うことで、ガルバリウムの色褪せ問題は大幅に改善します。

(2)適切なメンテナンスとリノベーションで長持ちさせる方法

ガルバリウム鋼板の色褪せを防ぐためには、適切なメンテナンスが重要です。まず、ガルバリウム鋼板の表面を定期的にケレン(表面処理)することが推奨されます。これにより、汚れや錆を取り除き、塗装がしっかりと密着する環境を整えることが可能です。

また、塗装は一定期間ごとに行うことが必要で、そのタイミングは劣化の度合いや使用環境によりますが、おおよそ5~7年に1回が目安です。塗装にはフッ素塗料がおすすめで、これにより色の長持ちだけでなく、耐候性も向上します。

さらに、傷や劣化シーリングの早期補修も欠かせません。これらは水分が侵入する原因となり、結果的に色褪せを早める可能性があります。

リノベーションでは、塗装の手順を遵守することが大切です。塗装前の表面処理、下塗り、中塗り、上塗りという工程を丁寧に行い、各工程間の適切な乾燥時間を確保しましょう。

以上のメンテナンスとリノベーションを行うことで、ガルバリウム鋼板の色褪せを防ぎ、長持ちさせることが可能となります。

モニュエル瓦の塗装とメンテナンス: 注意点と手順

 モニュエル瓦(乾式コンクリート瓦)は、1980年頃から1990年頃に広く使われていた屋根材ですが、現在は生産されておらず、新築で用いられることはありません。モニュエル瓦が生産されなくなった原因は、その重さにあります。モニュエル瓦の重量は、金属屋根と比較して約6倍も重く、耐震性が低いため、徐々に使用されるケースが少なくなり、生産中止に至っています。そのため、破損した場合に替えが効かないという問題点があり、塗装によるメンテナンスしかできないのが現状です。

 そこで今回は、モニュエル瓦を使用している方のメンテンナンスとして重要な塗装の注意点についてご紹介します。

下地処理

 モニュエル瓦の特徴として、他の屋根材よりもチョーキングしたときの粉が多く、水を吸収しやすいという問題点があります。そのため、早めに発見しなければ、モニュエル瓦の劣化が早まることになります。

 モニュエル瓦の塗装を行う前には、このチョーキングした古い塗装を取り除かなければなりません。この作業は、高圧洗浄で行いますが、他の屋根材よりも粉が多く、そのまま高圧洗浄を行った場合、チョーキングした粉が飛散するため、必ず周囲をビニール等で取り囲み、チョーキングした粉が飛散しないように注意しなければなりません。

 モニュエル瓦の場合、チョーキングの粉が非常に多いため、この高圧洗浄を丁寧に行わなければ、後の塗装をどれだけ丁寧に実施したとしても、塗装の品質は低くなってしまいます。チョーキングの粉を落としきらずに塗装を行うと、モニュエル瓦そのものに塗料が付着せず、チョーキングの粉に塗料が付着するため、すぐに塗料が剥がれ落ちることとなり、耐久性が損なわれてしまいます。そのため、高圧洗浄を丁寧に実施し、チョーキングの粉をしっかりと落とすというのが、モニュエル瓦を塗装する上での注意事項の1つ目となります。

スラリー層の凝固

 モニュエル瓦の特徴として、モニュエル瓦の表面にスリラー層という塗膜があります。塗装のチョーキングが発生した場合は、このスリラー層もチョーキングを起こすため、他の屋根材よりもチョーキングの粉が多く発生してしまいます。

 下地処理でチョーキングの粉を取り除く際にどれだけ丁寧に高圧洗浄を行ったとしても、古いスリラー層がすべて取り除かれるわけではありません。できるだけスリラー層も高圧洗浄で取り除くのが理想ではありますが、どうしても残る部分が存在します。しかし、この状態で塗装を行っても、先述したとおり、チョーキングの粉に塗装が付着するため、すぐに塗料が剥がれます。そこで、スラリー層を凝固させるための専用の塗料を使用して、チョーキングしたスリラー層を固めます。この下塗りは、最低でも2回は実施しなければ、スリラー層をしっかりと固めることができません。

 通常の下塗り塗料を使用した場合、チョーキングしたスラリー層を凝固させることができませんので、必ずスラリー層を凝固させる専用の塗料を用いるという点が、モニュエル瓦を塗装する上での注意事項の2点目となります。

参考:シーラーとは、接着剤に近いです。【そしてものすごく大切な役割があります!】

上塗り

 モニュエル瓦の上塗りについても、スラリー層にしっかりと密着することができるよう、シーラーを入れずに、直接モニュエル瓦に塗装する方法を取る必要があります。この上塗りについても、1回だけでは耐久性が乏しくなるため、必ず2回以上塗装を行わなければなりません。可能であれば、高耐久塗料を使用するほうが、耐久性が向上するため、無機塗料などの塗料を使用することをおすすめします。

 さらに耐久性を向上させる方法として、上塗りが終わったあとで、クリアのコーティング剤を使ってさらに塗装を行うという方法もあります。いずれにしても、塗膜の層をしっかりと作ることが重要となります。

モニュエル瓦の葺き替え

 モニュエル瓦は、すでに生産が終了しており、新しいモニュエル瓦を入手するのが非常に困難になっています。そのため、現在使用しているモニュエル瓦をいかに長く使用するかが重要となります。

 完全に割れてしまっているモニュエル瓦を修理することは難しいですが、コンクリート部分が見えているようなモニュエル瓦は、雑に扱うと塗装中に割れてしまうことがあります。そのため、それらの瓦は注意して取り扱わなければなりません。

 どうしても継続して使用できない場合は、問屋に問い合わせ、在庫があれば葺き変えることもできますが、在庫がなくあたらしいモニュエル瓦を確保できない場合は、別の屋根材に葺き替えることも検討しなければなりません。

 モニュエル瓦は他の屋根材と違い、注意すべき点が多々あります。これらの注意点をしっかりと理解した上で塗装を行わなければ、高い品質の塗装を行うことはできません。ヨコイ塗装では、モニュエル瓦の塗装について、専門の知識を有した職人が、品質を重視して塗装工事を実施します。モニュエル瓦の塗装でお悩みの方は、是非、ヨコイ塗装にご相談ください。

雨漏りと谷樋のメンテナンス

最近は急な大雨が多く、各地で浸水被害が発生しています。しかし、大雨でダメージを受けるのは、床からの浸水だけではありません。長年、屋根のメンテナンスを行っていない場合には、大雨による雨漏りも心配になります。

もし、雨の日に雨漏りしていることを発見した場合は、すぐに対処を行わなければなりません。雨漏りを放っておくと、家に深刻なダメージが入ってしまうことになってしまいます

雨漏りの原因

 雨漏りは、台風や大雨によって屋根にたまった水分が家の中にまで侵入してきてしまう状況のことを言います。

昔のコントのように、屋根からぽたぽたと水が落ちてくるような深刻なものではなく、天井にうっすらシミができるようなものも雨漏りしている状況といえます。雨漏りは、台風や大雨によって屋根が壊されて発生していると思われがちですが、実はそうではありません。

屋根は、瓦屋根であってもコロニアルであっても、屋根材だけで防水しているわけではなく、屋根材の下に「ルーフィング」と呼ばれる防水シートを貼って、屋根の中に水が入るのを防いでいます。雨漏りは、屋根材とルーフィングが経年劣化したことで、水を防ぐことができなくなり、徐々に屋根の中に水が入り込んでしまうことによって発生するのです。

雨漏りを予防する方法

 雨漏りを予防するためには、定期的に屋根をメンテナンスすることが必要となります。

雨どいの清掃

定期的なメンテナンスの1つは、屋根に水が溜まらないように、雨どいの掃除を行うという方法です。屋根にたまった水は、雨どいを伝って地面に落ちる仕組みになっています。この雨どいに落ち葉やごみがつまってしまうと、雨どいから地面に排水することができなくなってしまい、屋根の上に水が溜まり続ける状況になってしまいます。

屋根に水が溜まった状態が続くと、トイが淀み、虫が発生する可能性も高まります。その結果、屋根材やルーフィングの僅かな隙間から、虫などが侵入してしまいます。そのため、雨どいを掃除し、水が排水される環境を整えることで、建物自体の劣化を防ぐことができます。

ルーフィング等のメンテナンス(トップライト設置時は特に要注意)

トップライトの例で。鉛スカートが経年劣化と施工不良が原因で破れていました。その結果隙間から、雨水が入り込んでしました。このようにルーフィングは、経年劣化による張り替える必要がある時もあります。ルーフィングには、以下のように様々な種類があります。

  • アスファルトルーフィング  一般的な防水シートです。フェルト状の原紙にアスファルトをしみこませたものです。そのため、貼り付ける際に、非常に小さな穴が開きます。もし雨水などが溜まったりすると、そこから建物自体に浸入する可能性があります。
  • 改質アスファルトルーフィング  通常のアスファルトルーフィングがverアップしたものです。合成樹脂やポリマーなどを加え、耐久性が高まっています。
  • ゴムアスルーフィング  ルーフィングを貫通しているタッカーにまとわりつき、針穴による影響を受けにくくなります。
  • 粘着式(自着式)ルーフィング  裏面に糊みたいな接着剤があるルーフィングです。シールのように施工することができます。穴を空けることがないため、穴からの雨水の侵入リスクを軽減できます。

 

屋根のメンテナンス

屋根材のメンテナンスには、屋根材そのものの劣化による屋根材の交換と、屋根材に塗られた塗料の劣化による塗装工事の2つの方法が考えられます。屋根材が劣化し、破損している場合は、屋根材そのものを交換する必要があります。壊れた屋根材を放置していると、第1次防水となる屋根材のうち、破損した部分のみが常時ルーフィングでの第2次防水となり、その部分の劣化が早まってしまいます。

また、その状況でルーフィングが劣化し、損傷すると、雨漏りにつながってしまうため、屋根材そのものが破損している場合には、屋根材を交換する必要があります。もちろん、破損部分が小さく、補修することで防水することができる場合には、屋根材の補修も選択肢として含めることができます。

次に、屋根材に破損がない場合のメンテナンスですが、屋根材に破損がなくても、屋根材で防水できているのは屋根材に塗られた塗料の膜(塗膜)の防水機能ですので、定期的に塗装を行う必要があります。(どうしてもメンテナンスコストがかかるので、建築時にカラーベストより瓦を選ぶのが一番理想です。)

屋根は劣化が激しいので、どうしても10年毎の塗装が求められます。したがって今後のコストを考えると瓦への交換も考慮してよいかと思います。カラーベストに破損がないからと、長年放置してしまうと、カラーベストが劣化し、劣化したり変形したりして、第2陣であるルーフィンへの接触度合いも増えてきます。塗料による防水性能は、7~10年程度の耐久年数と言われていますので、少なくとも10年に1回は、カラーベスト自信の耐久性を高めるために、塗装工事をおこなわなければなりません。

参考:トタン屋根のメンテナンスと塗装工事

谷樋のメンテナンス

屋根の縁に取り付けられた、半円柱型のものが軒樋、軒樋から伝わってきた水を下に落とすために地面に向かって垂直に備えられているのが竪樋と呼ばれ、これらを合わせて雨樋と呼ばれています。建物の下から見える樋は、この雨樋になりますが、屋根に上らなければ見えない樋もあります。それが「谷樋」と呼ばれる樋です。実は、雨漏りの一番多い原因は、谷樋の劣化とも言われています。

谷樋

谷樋の役割

屋根がすべて1方向にしか向かっていない場合、水の流れも1方向だけですので、水はすべて軒樋に集まります。しかし、建物の形によっては、複数の屋根が取り付けられており、水の流れが1方向だけではない場合もあります。谷樋は、そんな2方向から水の流れがぶつかる場所に対して取り付けられる樋になります。水の流れが2方向から集まる場所は、そのままにしておくと水の流れが悪く、うまく軒樋に水を流し込むことができません。そのため、2方向から来た水を、軒樋に落とし込むのが谷樋の役割になります。

谷樋の劣化

谷樋が付けられている、水の流れが2方向からぶつかる場所というのは、下から屋根を見上げても見ることができない場所になりますので、谷樋を屋根の下からチェックすることができません。しかし、谷樋は軒樋や竪樋と異なり、様々な形状のものが必要となりますので、柔らかく加工がしやすい銅板が使用されるケースが多いのですが、この銅板は、強い雨や瓦に使われている釉薬との化学反応などにより、穴が開いてしまうことがあります。谷樋に穴が開いてしまうと、軒樋に流すべき水が、その穴から落ちてしまうことになります。

落ちた水は、谷樋の下にある「下ぶき材」と呼ばれる防水シートに落ちてしまうことになります。まだ、防水シート上に水分が少し落ちるだけなら問題ありませんが、谷樋に穴が開いたままになっていると、「下ぶき材」も劣化することになってしまい、屋根の内部に水分が侵入していくことになります。屋根の内部に侵入した水は、時間をかけて徐々に木材部分を腐食させてしまうことになります。

また、屋根の内部に水が侵入することで、それが木材部分を通過し、やがて建物内部に出てきてしまいます。つまり、雨漏りの状態です。谷樋の劣化は、下から見上げても発見することができませんので、穴が開いてしまっていても、なかなか発見することができません。そのため、樋の劣化による雨漏りのうち、最も多いのが谷樋の劣化となっています。

谷樋

谷樋のメンテナンス

谷樋のメンテナンス方法として、最も多いのが、銅板を使用している場合に、ステンレス製の谷樋に交換するという工事になります。銅板が出始めたころは、銅板は耐久性が優れているといわれていましたが、近年、先述した通り、銅板に穴が開く症状がみられるようになってきたことから、銅板の谷樋からステンレス製の谷樋に変更する方が多くなってきました。

また、現時点で谷樋に穴が開いていない場合や、ステンレス製に交換した場合、銅板をそのまま使い続ける場合には、塗装を行うことで谷樋の強度を高めることができます。ただし、谷樋の塗装をDIYで実施することはお勧めしません。その理由として、塗装やメンテナンスの経験が少ない方が谷樋のメンテナンスを行った場合、谷樋から軒樋に流すべき水が、メンテナンス不良によってうまく流れなくなってしまうことがあるからです。もちろん、これは素人の方々だけに当てはまるものではなく、塗装業者にも当てはまります。

外壁塗装と谷樋の塗装では、もともとの素材が異なりますので、塗料や塗装方法が大きく異なります。その点について、認識がない業者が塗装を行ってしまうと、谷樋本来が持っている機能を損なってしまい、余計に雨漏りの原因になってしまう可能性がありますので、依頼する業者には注意が必要です。(特に雨漏りの原因となりやすい釘が打っている部分には注意が必要です。)

谷樋は、最も目につきづらい屋根の構成部分であり、最も雨漏りの原因になりやすい部分でもあります。谷樋に使用されている素材にもよりますが、谷樋についても、定期的なメンテナンスを欠かすことはできません。しかし、屋根に上がらなければチェックできない部分になりますので、なかなかご自身で劣化状況をチェックすることができません。そこで、外壁塗装や屋根の塗装を行う際に、同時にチェックされることをお勧めします。

谷樋

(グレーの部分が錆止めを塗った谷樋。ほかは中塗りと上塗りの色を変えて塗り残しがないようにしてあります。)

外壁や屋根の専門家が、塗装前にしっかりと確認を行いますので、メンテナンスの要否がしっかりと分かります。谷樋も、外壁塗装に合わせてしっかりメンテナンスを行い、雨漏りを未然に防止しましょう。