破風・鼻隠のメンテナンス
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その文字が指す通り、風を破る目的、つまり耐風性能を向上させるという目的です。
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防火性能の高い板を使用することで、火災時に窓から上がった火が延焼しにくくするという防火性能を向上するという目的になります。
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破風には雨どいが設置されていませんので、雨水がうまく流れずに、壁面に浸水してしまう事があります。これを防止する防水性能の向上という目的になります。
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屋根の外観を美しく見せるための見栄え向上の目的となります。
鼻隠しも目的は同じですが、取り付けられている部分が異なります。破風が地面に対して傾いている部分であるのに対し、鼻隠しは地面に対して水平になる部分(軒もしくは軒先)に取り付けます。
破風板(鼻隠し)の劣化
破風板や鼻隠しは、4つの目的で設置されていることをご説明しましたが、美化を目的とした4つ目以外は、全て建物を保護する目的となっています。言い換えれば、破風板(鼻隠し)によって、保護されるものが多く、それだけダメージを負いやすい部材であるともいえます。
特に、雨どいが付いていない破風板については、屋根よりも劣化が早いと言われています。「住宅塗装工事の変化は破風板から始まる」とも言われています。
破風板や鼻隠しの劣化は、屋根や外壁の劣化と同様で、塗装の状態によって判断することができます。塗装のヒビや剥離、チョーキングがある場合は、塗膜が劣化してきていますので、早めにメンテナンスを行う必要があります。特に、剥離している場合は、そこから水が侵入していきますので、すぐにでもメンテナンスを行ったほうがいいでしょう。
また、カビや藻が付着している場合も、塗膜の防水性能が低下して、湿気を含んでいる状態ですので、早めのメンテナンスが必要となります。
破風板(鼻隠し)のメンテナンス
破風板は、「板」という名前ではありますが、今では技術も向上し、木材以外にも窯業系、金属系の素材が使われることもあります。特に、最近の建物には木材系の破風板が使われることは非常にまれになっています。
しかし、築20年以上経過している建物には、ほとんどが木材系の破風板が使われています。木材系の破風版は、その性質上、耐火性能が高くありません。木材なので、どのような塗装を行ったとしても、耐火性能はあまり向上しないのです。また、木材という材質の特性から、耐久性もあまり高くないというのも理由の1つとなっています。
破風板に対するメンテナンスは、塗装修理と金属板包み修理、破風板交換の3種類があります。塗装修理に関しては、全ての素材で必要となりますが、金属板包み修理や破風板交換は、主に木材系の破風板に対する修理となります。
- 塗装修理ー塗膜が劣化した破風板に対して、塗装を行う修理方法となります。外壁塗装や屋根の塗装と同様に、下地処理で汚れや古い塗膜を剥がし、新しい塗料を塗ることによって、塗膜による防水性能を向上させるとともに、美観を保ちます。この修理については、木材であれば5年~6年程度、金属系のうち、トタン製のものについても木材と同様に5年~6年程度、カラーステンレスやガルバリウム鋼板については10年以上、窯業系の素材であれば、10年程度を目途に塗装修理が必要となります。
- 金属板包み修理ー金属板包み修理は、木材系の破風板を使っている場合に行う修理方法で、ガルバリウム鋼板の板で、既存の木材系の破風板を覆う修理方法です。木材系の破風板を利用している場合には、最もよく行われている修理方法となります。木材系素材の破風板に対しては、塗装修理を行うよりも、耐久性能の向上と、耐火性能の向上について効果が高い特徴があります。
- 破風板交換ー既存の破風板そのものが劣化してしまい、ボロボロになった場合は、塗装修理や金属板包み修理を行っても、一時しのぎにしかならず、耐久性能は非常に低いものとなってしまいます。そうなってしまった場合は、破風板そのものを取り換えるという修理を行います。この場合、現在の破風板と同じサイズ、同じ形を用意しなければなりませんので、最も容易に作成ができる窯業系の破風板が使用されます。
破風板・鼻隠しは、屋根の中でも重要な部分の1つであり、劣化の速度も他の部位よりも早いというのが特徴です。そのため、定期的なメンテナンスは欠かすことができません。特に、木材系の破風板を利用している場合においては、塗膜によって保護されているという部分が非常に大きいため、塗膜の劣化が、そのまま家のダメージとなっているというケースも少なくありません。
大切な家を保護する重要な部分となりますので、屋根や外壁以上に、破風板や鼻通しの劣化具合についても確認し、必要に応じて塗装工事を行うようにしてください。
破風の下処理:ペーパーがけをして表面の汚れを取ります
ケレン作業あとの工程では、木部を洗う専用の薬品をまず染み込ませて、それから高圧洗浄して汚れを落としていきます。
その後大阪ガスケミカルさんの「キシラデコール」を使用します。この塗料はヨーロッパで開発され、日本の気象条件に合うする合うものに研究されてきたものです。高温多湿で気象条件の厳しいところでも、性能が持つように工夫されております。特に防カビ、防虫性などの性能評価も高いです。こちらを2回塗装することでしみこませていきます。
ただ破風の場合、材質が木になります。したがって長い年数をかけてできたシミなどは、どうしてもきれいに落とせない時があります。そんな場合はシミが目立たないように、少し色が濃いものを提案させていただいております。また、「キシラデコール」はとても良い材料なんですが、ただシンナーの含有量がとても多いです。そのため塗った後に、シンナーが既発して、その結果、残る塗膜が非常に薄くなってしまいます。実際になっている時の感触としましては、かなりしゃばしゃばしているような感じです。
そのため紫外線によるキシラデコールの劣化を防ぐために、日本ペイントさんの「ファインウレタン U100 木部用クリアー」を塗っていきます。
この塗料の特徴としましては塗膜が呼吸し、木部の伸び縮みに塗膜が弾力性を持って追従します。また紫外線の耐久性も高くキシラデコールにも、しっかりと上塗りができる特徴があります。破風の場合、直射日光や雨がよく当たり、塗膜への環境条件が良くありません。したがって、こういった塗料塗ることで長持ちする工夫をしています。ただクリアーを塗ってしまうと、ツヤが気になってしまう方もをいらっしゃいます。そんな時はなるべく自然な形にするように、つや消しのクリアーを塗って、自然な形を見せる工夫をしています。