アスファルトシングルという屋根材は、アメリカでよく使用されている屋根材ですが、日本のシェアは5%程度と、あまり高くはありません。しかし、施行性がよく、工事価格が安く抑えられるために、日本においても、アスファルトシングルを選択される方が増加しています。今回は、このアスファルトシングルの塗装方法についてご紹介したいと思います。
アスファルトシングルの特徴
①アスファルトシングルの耐久性
アスファルトシングルの耐久性は、メーカーからは10年から20年と公表されています。また、防水性能の保証期間は10年間と定めている商品がほとんどとなります。最近では、耐久性能が向上したアスファルトシングルも徐々に増えてきており、およそ20年程度は問題なく使用することができる商品が発売されています。
②アスファルトシングルの施工性
アスファルトシングルは、非常に施工性が優れている屋根材として有名です。アスファルトシングルのシェアが80%程度あるアメリカでは、多くの方がDIYでアスファルトシングルの葺くというほの施工性の良さですので、日本においても、近い将来はDIYでアスファルトシングルの屋根を葺く方も出てくるのではないでしょうか。現に、大型のホームセンターではアスファルトシングルの屋根材の取り扱いが開始されています。
③アスファルトシングルの重量
アスファルトシングルは、1㎡あたり約9㎏と非常に軽いという特徴があります。コロニアルの屋根材は、1㎡当たり約20㎏程度ありますので、その半分程度の重さしかありません。屋根材の重量は、震災時の耐震性に大きく影響を与える部分で、軽ければ軽いほど耐震性が高いといわれていますので、アスファルトシングルを葺くことで、耐震性を向上させることができます。
④アスファルトシングルの注意点
アスファルトシングルは、その材質の特徴として、防水性能には優れていますが、防火性能はあまり優れてはいません。そのため、日本においては防火地域、準防火地域では使用することができませんので、そういった地区で屋根材を検討されている方は注意が必要です。
アスファルトシングルの塗装
アスファルトシングルの塗装についても、基本的には他の屋根材と同様の手順で塗装を行うことになります。具体的には、
- 下地処理(アスファルトシングルの状態を確認し、必要に応じて補修を行う)、
- 高圧洗浄(コケやカビ、汚れ、古い塗膜を除去する)、
- 下塗り(塗料を接着させるための下塗り専用塗料で塗装する)、
- 中塗り・上塗り(実際の塗料で塗装する)、
といった手順が基本的な流れとなります。他の屋根材と異なる点としては、アスファルトシングルの塗装においては、アスファルトシングルの状態によって欠損個所の縁切りや劣化がひどい部分の葺き替えを行う必要があるという点です。このプロセスは、①の下地処理、および②高圧洗浄の実施後に再確認し、必要に応じて実施します。
アスファルトシングルを塗装する塗料について
アスファルトシングルを塗装する場合の注意点として、使用する塗料の種類は「水性塗料」しか使用することができません。油性(溶剤系)塗料を使用してしまうと、アスファルトの成分が溶解されてしまいます。つまり、屋根材部分が溶けてしまうことになりますので、必ず水性塗料を使用する必要があります。
水性塗料にも、ウレタン、シリコン、フッ素の各塗料があります。水性ウレタン塗料の場合、耐久性能は8年~10年で、金額は1㎡あたり1,500円~2,000円が相場となります。最も金額は安いのですが、耐久性能が短く、頻繁に塗り替える必要があります。水性シリコン塗料の場合、耐用年数が10年~13年と水性ウレタン塗料よりも長いものの、1㎡当たりの単価は2,000円~2,500円程度と少し高くなっています。この中では、価格と耐久性能がもっともバランスの取れた塗料といえます。そのため、水性シリコン塗料が最も選択されている塗料となります。水性フッ素塗料は、耐用年数が15年~20年と非常に長いものの単価も1㎡当たり3,000円~5,000円ともっとも高額となっています。
アスファルトシングルの葺き替え
アスファルトシングルは、その薄さ、軽さからどうしても破損しやすい屋根材となってしまいます。また、屋根材の反りや経年劣化等によって葺き替えをしなければならないケースもあります。その場合、古い屋根材を撤去してから、新しい屋根材に変更する「履き替え」と、古い屋根材を残したまま、上から新しい屋根材を使用する「重ね葺き」のいずれかを選択する必要があります。履き替えの場合は、古い屋根材の撤去費用はかかるものの、新しい屋根材をしっかりと葺くことができますのでおすすめですが、費用を安く抑える場合には、重ね葺きを行うことで、葺き替えのコストを抑えることも可能です。