トタン屋根は耐久性が高く経済的なため、多くの住宅や倉庫などで広く利用されています。しかし、塗装後数年で下塗りの色が透けて見えるなど、塗膜が薄くなりやすいというトラブルが多く報告されています。この記事では、トタン屋根特有の塗膜劣化の原因と効果的な塗装方法を、現場のプロの視点から詳しく解説します。
1. トタン屋根の塗装が早く劣化する理由
塗膜が薄くなりやすい
トタン屋根は表面が滑らかで吸収性がないため、塗料の塗布量がサイディングに比べて少なくなりがちです。具体的には、通常のサイディングの塗布量(150g~160g)に対し、トタン屋根は130~140g程度と薄膜になりがちです。そのため、紫外線や雨風の影響を強く受け、短期間で劣化しやすくなります。
屋根環境の厳しさ
トタン屋根は、住宅部位の中でも特に厳しい環境にさらされます。高温・低温の繰り返しや紫外線による劣化が激しく、塗膜が早期に劣化しやすい特徴があります。
2. 下塗りが透けてしまう原因とは?
下塗りに白色塗料を使った場合、数年後に下塗りの色が透けて見える現象が起きることがあります。これは、トタンの塗装面に適した塗料を使っていない、または適切な塗布量が確保されていないことが主な原因です。
また、トタン屋根のように伸縮の大きい素材では、硬すぎる塗膜(特にフッ素系など硬質な塗料)を選ぶと、追従性が不足し、ひび割れや剥がれを引き起こすリスクも高まります。
2. トタン屋根の塗装に最適な塗料の選び方
柔軟性のある塗料を選ぶ
トタン屋根には伸び縮みに対応できる柔軟性を持つ塗料が必要です。特にシリコンルーフ系塗料は伸縮性が高く、トタン屋根の塗膜維持に効果的です。一方、フッ素系塗料は硬度が高く、屋根材の伸縮に追従しにくいため、トタン屋根には不向きとされています。
ファインルーフ塗料の活用
ファインルーフ塗料は屋根用に設計された専用塗料で、柔軟性と耐候性が高い特徴を持っています。過去の施工事例からも、長期間経過後でも良好な状態を維持することが多く、専門家も推奨する塗料の一つです。
下塗り選定の重要性
パーフェクトシーラーなどの万能型シーラーを使用すると施工効率は良いですが、金属系トタン屋根の場合は、密着性や塗膜の耐久性を考えると、専用下塗り(ハイポン系など)を選択する方が長期的な仕上がりの良さに繋がります。
3. トタン屋根塗装の施工ポイント
十分な塗膜厚を確保
トタン屋根の場合、サイディングなど他素材と比較しても薄膜になりやすいため、メーカーが指定する適切な塗布量を遵守し、できるだけ十分な塗膜厚を確保しましょう。
適切な乾燥時間と温度管理
塗膜の劣化防止には塗料の完全な硬化が不可欠です。特に2液型塗料は23℃以上の環境での硬化が推奨されています。低温時には施工スケジュールを調整し、硬化時間を十分確保することが重要です。
定期的な点検とメンテナンス
施工後も定期点検を行い、塗膜の状態を確認することがトラブルの早期発見につながります。小さな異常を早めに対処することで、トータルのコストパフォーマンスが向上します。
まとめ
トタン屋根の塗装を成功させる鍵は、素材特性に合った塗料選びと適切な施工条件の確保にあります。伸縮性に優れた塗料の使用、十分な塗膜厚の確保、そして定期的な点検によって、トタン屋根の耐久性を最大限に引き出すことが可能です。
ぜひ、本記事を参考にトタン屋根の塗装施工を成功させ、長期間安心して快適な住まい環境を維持してください。
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