あなたの家の壁、大丈夫?塗装の専門家が教える「汚れ」と「艶」の意外な真実3選
1. 導入
「なんだか、新築のころに比べて家の外壁が汚れてきたな…」「以前のような輝きが失われてきた気がする」。 マイホームを持つ多くの方が、年月の経過とともにこうした悩みを抱えるのではないでしょうか。その原因を、単なる「経年劣化」だと片付けていませんか?
実は、壁の汚れや輝きの喪失には、塗料の科学的な特性や、意外な施工方法が深く関わっていることがあります。
この記事では、塗装の専門家が知る「汚れ」と「艶(つや)」にまつわる3つの意外な真実を解説します。この記事を読めば、ご自宅の壁が発しているサインを、プロの目線で読み解けるようになるはずです。
2. 塗装のプロが明かす、知っておきたい3つの真実
2.1 真実1:劣化の最初のサインは「色あせ」ではなく「艶(つや)落ち」
多くの人が外壁の劣化として最初に気づくのは、「色あせ」かもしれません。しかし、実は塗膜の劣化は、それよりも先に「艶の喪失」から始まっています。
新築時や塗り替え直後の壁が持つ、あの美しい光沢。それが失われ始めたとき、それは塗膜が性能を落とし始めた最初のサインなのです。この初期サインに気づくことができれば、色あせや塗膜の剥がれといった、より深刻で補修コストもかかる問題が発生する前に、計画的にメンテナンスを検討できます。
艶落ちしてから色素が落ちる感じ
まさにこの言葉通り、劣化は艶から始まり、その後に色素の劣化、つまり色あせへと進行していくのです。
2.2 真実2:頑固な汚れの原因は、塗料の「下」に潜んでいるかもしれない
壁の黒ずみや汚れを見て、「この塗料は汚れやすい性能だったのかな」と考えるのは自然なことです。しかし、その原因は塗料自体ではなく、その下に隠された「シーリング材」にあるかもしれません。艶落ちが塗膜自体の劣化のサインである一方、このように塗料「以外」の部分が原因で、見た目の美しさが損なわれるケースも少なくありません。
壁のつなぎ目などに使われるシーリング材の成分が、時間とともに染み出してきて、上の塗料を汚染してしまう現象があります。これを専門用語で「ブリーディング現象」と呼びます。この現象が起きると、塗膜が本来の硬さを失って軟化し、まるで粘着テープのように空気中のホコリや排気ガスの汚れを吸着してしまうのです。
この問題を防ぐためには、シーリング材から成分が染み出しにくいように改良された「ノンブリードタイプ」の製品を選ぶことが重要です。美しい外観を長く保つには、塗料だけでなく、その下地となる材料選びがいかに大切かが分かります。
2.3 真実3:色あせは太陽光のせいだけじゃない?「薄めすぎ」も原因になる
塗料の色あせ(退色)の主な原因が、太陽光に含まれる紫外線であることはよく知られています。しかし、それだけが原因ではありません。実は、「施工時の人的要因」が色あせを早めてしまうケースもあるのです。
具体的には、施工時に塗料の「希釈率を多くし過ぎる」こと、つまり塗料を必要以上に薄めてしまうことが挙げられます。塗料を薄めすぎるのは、絵の具を水で薄めすぎるのと似ています。顔料が薄く広がりすぎてしまい、太陽光から自らを守る力が弱まってしまうのです。その結果、塗膜が本来の耐久性を発揮できず、通常よりも早く色あせが進行してしまいます。
ちなみに、塗料の種類によっても色あせのしやすさは異なります。例えば、同じシリコン塗料でも、樹脂の特性上、水性タイプより溶剤タイプのほうが色落ちは少ない傾向にあります。
3. まとめ:正しい知識で、住まいの美しさを長く保つために
今回は、塗装に関する3つの意外な真実をご紹介しました。
- 劣化の最初のサインは「色あせ」ではなく「艶落ち」から始まる。
- 頑固な汚れは、塗料の下にある「シーリング材」が原因のことがある。
- 色あせは紫外線だけでなく、施工時の「塗料の薄めすぎ」も影響する。
これらの知識は、ご自宅のメンテナンスを考える上で、きっと役に立つはずです。ただ見た目をきれいにするだけでなく、その原因やメカニズムを知ることで、あなたはもう「専門家任せ」ではありません。より長持ちする、質の高いメンテナンスを選択するための判断基準を手に入れたのです。
次に塗り替えを検討するとき、あなたは業者に何を確認しますか? 正しい知識を持つことが、あなたの住まいの美しさを長く保つための第一歩となるのです。
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