サイディングとモルタルでは、塗り替え周期が違いますか?

知らないと損する外壁塗装の真実3選:壁材の種類より大切なこととは?

「自宅の外壁、サイディングとモルタル、どっちのほうがメンテナンスが楽なんだろう?」

これは、多くの住宅所有者が抱く、一般的でありながら根本的に誤解を招きやすい質問です。一般的には壁材の種類によってメンテナンスの周期や手間が変わると思われがちですが、実は外壁の塗り替え周期を本当に決めるのは、壁材の種類ではありません。

むしろ、その周期は塗料自体の寿命と、その下に隠れている壁材特有のメンテナンスニーズとの組み合わせによって決まります。すべての住宅所有者が知っておくべき、3つの真実を解き明かしていきましょう。

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1. 塗り替え時期を決めるのは「壁材」ではなく「塗料のグレード」だった

**最も重要な結論から言うと、外壁の塗り替え周期は、サイディングかモルタルかという壁材の種類で決まるわけではありません。塗り替えのタイミングを決定づける最大の要因は、仕上げに使う「上塗り塗料の耐用年数」**です。

塗料には様々なグレードがあり、それぞれ耐久性が異なります。一般的に、耐久性が高い順に並べると以下のようになります。

  • 無機塗料: 20年以上の超耐久性を持つ可能性があり、最高級グレードとされます。
  • フッ素塗料: 分子結合が強く、紫外線に非常に強い特徴があります。
  • シリコン塗料: コストパフォーマンスが高く、質の良いものでは10年以上の耐久性が期待できます。
  • ウレタン塗料: アクリル塗料より耐久性や防水性に優れますが、一般的にシリコン塗料よりは耐久性が劣ります。
  • アクリル塗料: 比較的安価で、短いサイクルでの塗り替えに用いられます。

塗装工事の総費用において、塗料代が占める割合は一部に過ぎません。費用の大半は、職人の人件費や足場の設置費用で構成されます。例えば、耐用年数15年の塗料を選べば、30年間で必要な工事は2回で済みます。一方で、耐用年数10年の塗料では3回の手間と費用がかかります。

初期費用が多少高くとも、耐久性の高い塗料を選ぶことは、人件費や足場代を含むトータルコストを劇的に抑えるための、極めて重要な経済的判断なのです。

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2. モルタル壁の最大の敵は「ひび割れ」。補修の主役は「フィラー」

壁材の種類が塗り替え周期を直接決めるわけではありませんが、「メンテナンスの重点」は大きく異なります。まず、モルタル壁について見ていきましょう。

モルタル壁の劣化における最大の特徴は**「ひび割れ(ヘアクラック)」**です。このひび割れを放置すると、雨水が浸入し、建物の構造にダメージを与える原因となります。

そのため、モルタル壁を再塗装する際の下地処理では、**「フィラー」**と呼ばれる下塗り材が主役となります。フィラーは、その名の通り、細かなひび割れや凹凸を「埋めて(fill)」、塗装面を平滑に整える役割を果たします。

さらに劣化が進行した場合には、より専門的な下塗り材が選択されます。例えば、表面が粉っぽく脆くなっている場合は、下地に深く浸透して内側から固めて補強する**「浸透型シーラーが使われます。無数の細かいひび割れがある場合は、それらを橋渡しするように覆い、柔軟で均一な塗膜を形成する「微弾性フィラー」**が有効です。

モルタル壁のメンテナンスは、この「下地の補修」をいかに的確に行うかが、塗装を長持ちさせる鍵となります。

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3. サイディングの寿命は「目地のシーリング」が握っている

一方、サイディング外壁で最も重要なメンテナンスポイントは、パネルそのものではなく、**パネル間の「目地に使われるシーリング材(コーキング)」**です。

ゴム状のシーリング材は、紫外線や雨風にさらされることで硬化し、ひび割れや剥がれが生じます。この劣化を放置すると、そこから雨水が侵入し、サイディングパネルの反りや内部の腐食を引き起こします。

サイディング塗装における下地処理で絶対に欠かせないのが、**「劣化した古いコーキング材を完全に撤去し、新しいものを打ち直す」**作業です。もし古いコーキング材が残ったまま上から新しいものを充填すると、古い部分が剥がれる際に、新しいコーキングも一緒に剥がれてしまうためです。

さらに、専門家が注視する重要な工程があります。サイディングの切断面(小口)には防水処理がされていますが、これは新しいシーリング材を密着させるためのプライマー(接着剤)としては機能しません。そのため、シーリングを打つ前には、必ず専用のプライマーをサイディングの小口に塗布する必要があります。この工程を省くと、シーリングの早期剥離につながります。

このシーリングの「打ち替え」と適切なプライマー処理こそが、サイディング外壁の寿命を左右すると言っても過言ではありません。

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結論

外壁塗装で後悔しないために知っておくべき3つの真実を解説しました。ポイントを要約すると、外壁塗装の成功は、以下の2つの要素にかかっています。

  1. 長期的な視点での「塗料のグレード選定」
  2. 壁材の特性に合わせた「適切な下地処理(モルタル壁ならフィラーによるひび割れ補修、サイディング壁ならシーリングの打ち替えとプライマー塗布)

どんなに高級な塗料を使っても、その性能を最大限に引き出すには、塗装前の下地準備が不可欠です。

高品質で長持ちする塗装工事を行うためには、塗料の性能だけでなく、下地材の特性を理解し、適切な下地処理と乾燥時間を厳守することが不可欠です。

次にあなたが外壁塗装を検討するとき、業者に「どの塗料を使いますか?」と尋ねるだけではなく、こう質問してみてください。

「この壁に合った下地処理は、具体的にどのように行いますか?」

この質問は、会話の焦点を単なる価格から「品質を担保する工程」へと移行させます。この問いに明確かつ自信をもって答えられる業者は、塗料の缶の先にある、本当の意味での品質を追求する姿勢を持っている証拠です。

この質問こそが、あなたの住まいを長期にわたって守る高品質な工事を確保するための、最も強力なツールとなるのです。

Tags: サイディング, モルタル, 外壁塗装, 扶桑町

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