下塗り・中塗り・上塗りについて

塗装の品質を決める下塗りの重要性

外壁塗装を行う作業の工程として、初めにケレンや高圧洗浄といった下地処理を行い、その次に実際に塗装を行っていくこととなりますが、この「塗装」というプロセスは

  • 「下塗り」
  • 「中塗り」
  • 「上塗り」

という3つのプロセスがあります。

基本的には、中塗りと上塗りは同じ塗料を使用してメインとなる塗装を行い、下塗りは別の塗料を使用して補助的な塗装を行うということになります。そのため、下塗りも下地処理の1つと考える業者もあります。この下塗りだけ、違う塗料を使用するのは、どんな理由があるのでしょうか。

ここでは、この下塗りがなぜ必要なのかについて、ご説明いたします。

下塗りの必要性について

 外壁塗装を行うにあたり、使用する塗料が少なければ少ないだけ、かかる費用が安くなるのは言うまでもありません。では、実際に希望している色の塗料以外、

  • 使わなければそれだけ安く外壁塗装を行うことができるのではないか、
  • なぜ希望している色ではない、別の塗料を使う必要があるのか、

疑問に思われる方もいらっしゃるかと思います。

確かに、下塗りを行う際にはシーラーやプライマー、フィラーといった専用の下塗り塗料を使用します。これは、単に使用する塗料を増やして費用を高くしようとしているのではなく、大きくわけて2つの理由から、これらの下塗り塗料を使用しているのです。

  • 塗料をしっかりと外壁に密着させるための「接着剤」の役割があるためです。どれだけ良い塗料を使用したとしても、外壁にしっかり密着していなければ、塗料はすぐに剥がれ落ちてしまいます。つまり、耐久年数を上げるためというのが1つ目の目的となります。
  • 塗料が外壁に吸収されすぎるのを防止するためです。塗料が外壁に吸収されてしまうと、吸い込みによるムラができてしまいます。一部はペンキが残り、一部は外壁に吸い込まれる・・・そんな状態で仕上げても、仕上がりが見苦しいものになります。また、吸い込みが激しいとその分、多くの塗料を使用しなければ外壁の塗装を行うことができません。つまり、使用する塗料が増えることによる費用の増加を抑え、お客様への負担軽減目的があるのです。

外壁塗装を行う場合、基本は下塗り・中塗り・上塗りの3回は必ず実施します。一部の業者は、「塗料の性能が上がったから」とか「うちは高い技術をもっているから」ともっともらしいことを言いながら、下塗りと上塗りの2回だけ、さらにひどいところでは、上塗りだけしか行わないという業者もあるようです。

そういった業者に依頼すると、確かに中塗りや下塗りの工程を飛ばすことができますのでその分、納期も短く、値段も安い金額を提示してくるようです.(稀に、もうけを多く出すために、それほど安くない金額で同じような塗装をおこなう業者もありますのでご注意ください)。しかし、本来、必要なプロセスを省略することで、高い品質を維持できるはずがありません。

 今回は、塗装の基本である3回塗りの概要についてご説明します。

下塗り・中塗り・上塗りの役割

  まず初めに、なぜ外壁塗装を行う際に、最低でも3回の塗装を行わなければならないかについて、それぞれの役割をご説明します。

①下塗り

 下塗りは、中塗り・上塗りで使用する塗料を外壁材に密着させるための塗装となります。そのため、使用する塗料は下塗り専用の塗料を使用します。下塗り用の塗料は、ほとんどが白か透明、クリーム色となっており、中塗り・上塗りの色ではありません。

 下塗りをしっかりと行っていない場合、中塗りや上塗りの塗料が外壁材としっかり接着されませんので、すぐに剥がれ落ちてしまう原因となります。ですので、「塗料の性能が良くなったから下塗りは不要」という業者があった場合は、まず信頼できない業者であると判断したほうがいいかと思います。

②中塗り

 中塗りは、下塗りが終わった後に塗装する工程で、塗装の完成色を使用して塗装していきます。しかし、外壁塗装を行う際に、1回塗っただけできれいに仕上がるということはなく、このプロセスでは、塗りむらや、塗り残しといった問題があります。また、中塗り1回だけでは、塗料の層が薄く、外壁を保護するために必要な塗膜の厚さを確保することができません。

③上塗り

 中塗り後に行う上塗りは、仕上げとして行う塗装となります。そのため、中塗りの工程で塗りむらや塗り残しがあったとしても、最後の上塗りでしっかりと塗装を行って、きれいな状態に仕上げていきます。さらに、中塗りと上塗りという最低2回の塗装を経て、外壁材に密着させる塗料の層を厚くすることで、塗膜が厚くなり、塗装の耐久性を向上させることができます。

下塗りは1回限り?

 中塗り・上塗りのプロセスでは、塗装のむらをなくし、塗料の層を厚くしています。

では、中塗りや上塗りの塗料をしっかりと接着させることが目的の下塗りは1回限りでもいいのでしょうか。単純に考えると、あくまで中塗り・上塗りの塗料を外壁材に密着させることが目的の下塗りは、多少の塗りむらがあったとしても塗装の仕上がりとして目に見えてわかるものではないため問題なさそうです。

(カラーベスト屋根 1回目の下塗り後。吸い込んでしまい表面に下塗り材が残っていない状態)

しかし、下塗りを何回も行うことはあります。これは何のために行っているのかというと、劣化が激しい外壁材の場合、下塗りを1回だけ行ったとしても、本来求めている下塗りの効果が得られない場合があるのです。

何度もご紹介している通り、下塗りは中塗りや上塗りの塗料を密着させるために行います。そのため、外壁材と塗料の間に、接着剤のように残っていなければ意味がありません

しかし、劣化の激しい外壁材の場合、外壁材がもつ防水性能が極端に下がっている場合があります。この場合、下塗り用の塗料を1回塗ったとしても、外壁材が塗料を吸収してしまい、表面に接着剤としての下塗り用塗料が残らないことがあります。ですので、そういった外壁材の場合は、下塗りを何度も行うことによって、外壁材と中塗り・上塗りの塗料を接着させることができるだけの下塗り塗料の層を作り出すこととなります。

(上が3回目の下塗り後、下が2回め目の下塗り後)

これをしっかりと行っておかなければ、いくら「うちは基本に忠実に下塗り・中塗り・上塗りの3回塗装を実施している」と説明していたとしても、その下塗りの効果がほとんどないというケースにつながってしまいます。

ヨコイ塗装の下塗り

 ヨコイ塗装では、基本に従い下塗り・中塗り・上塗りの3回塗装を実施しています。もちろん、塗装を行うための下地処理が塗装の品質を左右する一番重要なポイントであると考えていますので、下塗りも同様に重要なポイントとしてとらえており、必要に応じて2回目、3回目、それ以上の下塗りを実施しています。特にカラーベスト屋根では、劣化が激しいのが最適な塗膜状態にしておくことが大切です。)

下塗り塗料の種類と使用用途

 下塗りを行うことによって、塗料が外壁にしっかり密着するとともに、外壁に塗料が吸収されることを防止するという目的があることは説明した通りです。この目的を達成するため、複数の下塗り塗料を使い分けることがあります。ここでは、下塗り塗料の種類と使用用途についてご説明します。

  • シーラーは「シール」が語源となったといわれています。その効果は、名前の通り外壁にシールを貼る、つまり外壁に接着剤を塗ることによって外壁とペンキの密着を良くする効果が期待できます。シーラーは塗料を吸い込みやすい素材であるモルタル壁や、サイディング壁によく使用される下塗り塗料です。
  • プライマーは、1つ目の目的である外壁と塗料を密着させることを重視した下塗り塗料で、外壁の中でも塗料をはじきやすい鉄やステンレス、アルミといった金属の外壁に使用されることの多い下塗り塗料です。(ステンレスに塗装する場合は専用のペンキをご指定ください)
  • フィラーの使用用途はシーラーとよく似ていますが、外壁に小さなクラックがあったり、多少の凹凸があり、塗装を行う際にムラが生じやすい外壁に使用される下塗り塗料で、主にモルタル壁に使用されます。

シーラーの種類

 シーラーは、大きく分けると2種類に分類することができます。

  • 1つ目は水系シーラーといい、こちらが最もよく使用されているシーラーとなります。
  • 2つ目は溶剤シーラーといい、この中でも外壁材への浸透性が高いものについては浸透性シーラーとも呼ばれています。(ヨコイ塗装では、ニッペさんの「2液浸透シーラー」をよく使います。)

シーラーの特徴

①水系シーラー

 水系シーラーは、水性シーラーとも呼ばれており、においが少なく作業が行いやすい(塗りやすい)という特徴があります。また、水性ですので、塗装に使用した道具の洗浄も容易です。また、塗装時における旧塗膜の素材を損なうことがあまりありません。しかし、水性の塗料となりますので、乾燥までの時間がおおよそ3時間~4時間程度かかってしまうため、その間は中塗り以降の工程に進むことができません。

②溶剤シーラー

水系シーラーが水性のシーラーなのに対し、溶剤シーラーは文字通りシンナータイプのシーラーとなります。水系シーラーと比べて速乾性が高く、30分~60分程度で乾燥しますので、手早く次の工程に移ることができます。また、溶剤のシーラーとなっていますので、水系シーラーよりも上に塗装する中塗りや上塗りの塗料をしっかり密着させる効果が期待できるとともに、外壁材が傷んでいたとしても、塗料によっては、もろくなった外壁材を強固に固め、その部分を補強するという効果もあります。

また、傷んだ外壁などでいくら塗っても下塗り塗料が外壁に吸い込まれてしまうような場合は、溶剤シーラーの中でも、浸透性シーラーと呼ばれるシーラーを使用します。浸透性シーラーは、塗料を吸い込みやすくなってしまった外壁材の内部に浸透して、外壁材そのものを強化し、また、中塗り塗料の吸い込みを抑えたり、仕上がり時のムラの発生を防ぐという効果があります。

このような溶剤シーラーにもデメリットがあり、

  • 1つは水系シーラーに比べてにおいが多く、作業もしづらいという点です。
  • 2つ目は、現在使用されている塗料によっては、旧塗膜と外壁材の密着が悪い場合(前回の低品質施工が原因)その塗膜をしっかりとはがさなければ場合があり、手間が増え、扱いづらいという点になります。

シーラーは使い分けるべき

 このように、水系シーラーと溶剤シーラーによって特徴は大きく異なります。そのため、塗装する部分の状態や外壁材によって、使用する塗料は変更しなければなりません。しかし、業者にとっては、作業が行いやすい水系シーラーを使用するのが、非常に楽です。

また、1つの塗料しか使用しなければ、複数の塗料を用意しなくてもいいので、コスト的にも安く抑えることができます。そのため、一部の業者では、下塗りを行う際に、すべて同じ水系シーラーを使用して塗り上げるというところもあるようです。

しかし、そのような下塗りをしてしまうと、外壁材の傷み具合によって、シーラーが外壁の中に吸い込まれてしまい、効果が得られない部分や、下地塗料の吸着にムラがある部分などが出てしまいます。そのまま中塗り・上塗りを行っていくと、塗料の密着に大きなムラが生じてしまい、ある部分はしっかり密着できているが、ある部分は全く密着できずに1年程度で塗料がはがれてしまうといったケースも出てしまいます。

そのため、下塗りで使用するシーラーは、場所によってしっかり使い分けなければなりませんし、使い分けない業者はあまり信用できる業者ではないと判断することができるでしょう。

プライマーを塗る目的

 プライマーは、主に鉄製品における下塗り材になります。プライマーを塗ることによって、トタンなどの金属製品と中塗りや上塗りで使用する塗料を、しっかりと外壁材に密着させることができますので、容易に剥がれ落ちることがなくなります。プライマーを塗らずに中塗りや上塗りを行ってしまうと、錆止めがしっかり作用しませんので、仮にきれいに仕上げることができたとしても、わずかな年数でサビが浮いてくる可能性があります。そのため、プライマーを塗ることでトタン等の耐久性を高めることができるということになるのです。

シーラーとプライマーの違い

 プライマーと同じように下塗り用の塗料として使用される塗料に「シーラー」という種類があります。プライマーには主に金属製品に足し、塗装の初めに塗る塗料ということになります。一方、シーラーは「塞ぐ」という意味があります。この塞ぐという意味は、外壁材に空いた小さな穴から塗料が内部に侵入するのを「塞ぐ」というところからきています。シーラーは、サイディングなどの外壁材の劣化等により、外壁材が水分(塗料を含む)を吸い込んでしまうような場合に、シーラーそのものが外壁材に吸収されることによって、その穴を塞ぎ、中塗りや上塗りで使用する塗料が外壁材に吸収されないことを目的として使用する下塗り用と塗料であると言えます。

プライマーのその他の役割

 プライマーは、外壁塗装に限らず、車等の塗装や板金工事においても、プライマーが使用されることがあります。

プライマーの使用方法

 プライマーは、外壁塗装を行う際、最初に行う下塗りとして使用する塗料です。そのため、下地処理で外壁材をきれいに清掃、修復した後に使用することになります。この下地処理をおろそかにしていると、外壁材の汚れやケレンをしていないサビの上からプライマーを塗ることとなってしまいます。

汚れやケレン未処理のサビの上からプライマーを塗るということは、プライマーそのものが外壁材と密着しませんので、プライマーの目的である外壁材と中塗り・上塗りの塗料を密着させるという効果を発揮することができません。そのため、しっかりと下地処理を行った外壁材に塗ることで、初めてその効果を発揮することができます。

また、外壁材の劣化状態によっては、1回塗っただけでは期待通りの効果が得られないケースもあり得ます。その場合は、2回・3回と下塗りを重ねて、期待通りの効果を発揮することができるまで重ねて塗ることもあります。(テープを貼っての付着実験をしたほうが良い場合もあります。)

こんな業者には要注意

 下塗り用の塗料には、プライマーの他にシーラーという塗料があり、それぞれ目的が異なるということをご説明しましたが、もちろん外壁材の状態によって塗料を使いわ分ける必要があります。

しかしながら表面に塩ビ処理がしてある途端に、ただ単にプライマーを塗ればよいかといえばそうではありません。塩ビ処理済みの途端には専用のプライマーが必要であり、一般のプライマーでは持つ効果を100%発揮することはできず、逆に剥がれの原因になることもあります。

プライマーが適した場所については問題ありませんが、専用プライマーが適した場所では、塗装事故に繋がる可能性もあります。そうすると、塗装が終わった直後の外観だけは良く見えても、実際には塗装することによる建物のメンテナンスの効果を得ることができず、結果として建物自体の耐久性能を下げてしまうことになるのです。

下塗りは、下地処理と同じくらい大切!

 下塗りは、その後に実施する中塗り・上塗りの品質、耐久年数を決定する非常に重要なプロセスとなっており、この下塗りをしっかりと実施するか、手抜きをするかによって、品質に大きな差が生じるとともに、場合によっては、吸い込まれた分の余計な塗料の費用まで負担しなければならなくなります。

一部の悪徳業者といわれる業者では、不自然に安い料金で受注する、もしくは自社の利益をかさ増しするために、下地処理と同様に下塗りも手抜きを行ったり、実施しなかったりするようなところもあるようです。

しかし、下塗りをおろそかにしてしまうと、塗りたてはよくても1年~3年で塗装がボロボロとはがれてしまうケースもあります。そのため、外壁塗装を行う際には、ご自身でしっかりと実施する工事の内訳を確認する必要があります。しかしながら、素人の方がご覧になっても、「ここは悪徳業者だ」と、判断することが難しいかと思います。ですので、最終的には知人からのご紹介や、過去に実績のある業者に依頼することが多くなってしまいます。

 外壁塗装の見積もりを取ると、大抵の業者で「下塗り」「中塗り」「上塗り」という3つの塗装プロセスが書かれているかと思います。この中で、中塗りと上塗りの違いとは何でしょうか。中塗りも上塗りも、全く同じ塗料を使用して、同じ場所を塗装します。そのため、1回目の塗装を中塗り、2回目の塗装を上塗りと表現している業者もありますが、中塗りの品質に問題があるからと、何度も中塗りを繰り返して品質を高める業者もあります。そのため、単純に1回目が中塗りで2回目が上塗りというわけ方ではありません。

中塗りの目的

 中塗りは、下塗りが終わったばかりの外壁材に、仕上がりと同様の(もしくは若干の色の変化のある)塗料で塗装する作業です。この中塗りでは、模様がフラットになりますので、どうしても塗料が多く必要になってしまいます。必要な塗料が多いと、コストが多くかかり、業者にとっても負担がかかるところでもあります。

 そのため、高額な塗料で発注していても、下請け先がコスト削減のために、必要以上にシンナー等で薄めると元も子もないことになります。薄まって塗膜の場合、そのままの状態で工事を行ってしまうと、塗膜の耐久性に問題が発生します。そのため、塗膜の厚みに関しては、最初に1キロなら幾らぐらい塗れますと、実際に見せてもらって、おおよその塗料の使用量を把握しておく事が大切です。

工事をする上で色々と注文をつけてはいけないという決まりはありませんので、缶のラベルや計量の様子を見せて頂くことで、工事の品質も向上させることが可能です。

工事の品質を考えると、性悪説にたって管理し、なおかつ職人さんに気持ちよく作業してもらう難しさがあります。

上塗りの目的

 上塗りは、中塗りによってできた塗膜を補強し、分厚くするという目的があります。外壁塗装を行う目的は、美観を高める効果の他に、建物のメンテナンスという意味もあります。外壁塗装を行うことで、防水性能が高まり、建物の中に水が浸入しづらくなることで、建物の基礎を作る木材が腐食することを防止していますが、この防水性能は十分な厚さの塗膜がなければ効果を発揮することはできません。そのため、上塗りでは中塗りの塗膜をしっかり補強し、分厚く頑丈な塗膜を形成することにあります。

また、上塗りには、塗装の最終仕上げという役割もあります。いくら塗膜が厚かったとしても、美観が悪ければ外壁塗装が成功したとは言えません。そのため、何度も塗装を繰り返すことによって、塗料のムラをなくし、きれいな美観を作り上げるのも上塗りの目的の1つといえます。

中塗りと、上塗りの色を若干の違いを設けて、塗り残しを減らすのも工夫の一つなので、お願いしてみても良いかもしれません。

上塗りは1回できれいに仕上げる必要がある?

 一般的に下塗り・中塗り・上塗りの3回塗装と言われていますので、それぞれ1回ずつ、合計3回しか塗装作業を行うことができず、それ以上は特別対応になると誤解されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

下塗り・中塗り・上塗りとも、1回しか行ってはならないという決まりはありません。品質に問題があるのであれば、下塗りであっても、中塗りであっても、もちろん上塗りであっても2回3回と塗装を行っても問題はありません。

実際に、外壁塗装の品質を高めようと考えた場合、下地が脆弱な除隊や、ムラがある状態で次工程に進むよりは、塗装を繰り返すことによって品質を高めたほうが良い場合も多々あります。

また、乾燥させている最中に落ち葉などのものが当たってしまったというようなイレギュラーにおいても、中塗りの手直し、上塗りの手直しが必要な場合があります。こういったイレギュラーの場合に、塗装の手直しを実施するか、あまり目立たないからと、何ら手を打たないか、その辺りは業者と塗装状況によって一概には言えませんが、

どういう状況であっても1回だけで中塗り・上塗りを終わらせる業者よりは、高い品質を維持するために複数回の塗装でも実施してもらうことのできる業者のほうが、信頼のおける業者といえます。

外壁塗装工事後の塗膜の剥がれを防ぐために

劣化した塗膜の剥離

 塗膜がチョーキング(粉が手に着く現象)やクラックしている場合には、放置していると塗膜が剥がれてしまうため、事前に手作業ですべて剥がします。塗膜がしっかりしている場合は、そのまま利用します。

(防カビ対策も下地処理で大切なことです。)

ケレン作業

 ケレンとは、ヤスリ等で鉄部や木部の汚れ、錆を落とす作業のことを言います。
これを行うことで、汚れを落とすと同時に、塗料の密着性を上げる「目粗し」という工程も同時に行います。

(サンダーによるケレン作業)

クラックの埋め込み

 モルタルの外壁でクラック(ひび割れ)を起こしている部分があると、ここから雨水が侵入し、内部を腐敗させて今いますので、埋め込み作業を行い、雨水が侵入しないようにします。

シーリングの補修

サイディングやALCといった外壁を使っている場合、地に使われているシーリング(ゴムのような弾力性のある素材)にも、ひび割れや剥離といった劣化現象が生じます。そのため、シーリングを打ち増すか、モノによっては打ち直しを行います。

肌合わせ

クラックの埋め込み等で表面がガタガタになってしまうと、そのまま塗装した場合、凹凸の激しい仕上がりとなるため、外壁の凹凸をなくす肌合わせの作業が必要となります。

下塗り

下塗りは、中塗りや上塗りの密着性を上げるため、塗装面を整えるための塗料で最初に塗る工程になります。これを行うことで、中塗りや上塗りの仕上がりが良くなります。

下地処理がなぜ重要なのか

下地処理がどういう工程で行われているのかを見て気付かれた方もいらっしゃると思いますが、下地処理では、塗装する面を事前にキレイにすることを目的としています。例えば、スマートフォンやタブレットに画面保護シールを貼るシーンを想像してみてください。ほこりが大量に付着している状態で、画面保護シールを貼るとどうなるでしょうか。

最近は、多少のほこりなら空気が入らない画面保護シートも売られていますが、それでも、ほとんどの場合は、気泡だらけで汚い仕上がりになってしまうと思います。

そうなると、貼った直後はよくても、数日で気になりだして、結局、貼りかえる羽目になっていまいます。そうならないためにも、画面保護シールを貼る場合は、きちんと画面をきれいにしてから貼りますよね。

 外壁塗装も同じです。下地処理をいい加減にしてしまうと、ほこりまみれの画面に画面保護シールを貼るのと同じように、汚れの上に塗装することになっていまいます。

そうすると、どうなるでしょうか?

壁面が汚れた状態ですので、汚れの上に塗料を塗り、外壁に直接塗りこめない部分が出てきますので、塗料の吸着度にも差が出てきます。そのため、運が悪ければ、1年程度で塗料が剥がれてくるという状況になる可能性が出てきます。

 下地処理をきちんと行っていれば、凹凸なくきれいな仕上がりになりますし、すべての面が直接外壁に塗り込めることになりますので、吸着度にもほとんど差が出ません。そのため、耐用年数が上がるというわけなのです。

塗料の乾燥状態について

 塗料は、塗った後に雨が降ったりしなければ、4つの段階を経て完全に乾燥することとなります。

①塗りたて

 塗装を行ってすぐの状態です。全く乾燥していない状態ですので、指で触ると指に塗料が付着してしまう段階です。「ペンキ塗りたて」と同じ状態ですので、塗装個所に何らかのモノが当たらないように注意が必要な状態となっています。

②指触乾燥

 塗料を塗ってしばらく時間が経過すると、指触乾燥という段階に入ります。指触乾燥の段階では、軽く指で触った程度では塗料が指に付着しない程度まで乾燥している状態です。しかし、力強く触ると指に付着する程度にしか乾燥していませんので、次の塗装の段階に移行するにはまだ乾燥が足りないという状態です。

③半硬化乾燥

 指触乾燥の次の乾燥段階は、半硬化乾燥という段階になります。半硬化乾燥の段階では、指でこすった程度では、塗料にこすり跡が残らない程度に表面がしっかり乾燥してきている状態になります。まだ、強く押し込むと凹みが発生する程度に、塗料内部は乾燥していない状態になりますが、表面はある程度、乾燥していますので、次の塗装の段階に移行しても大丈夫と言われる状態になります。

④硬化乾燥

 半硬化乾燥の次は硬化乾燥という段階になります。硬化乾燥の段階では、指で強く押し込んでも凹みが出ない程度に、塗料内部も乾燥している状態になります。硬化乾燥まで進んでいると、見た目や感覚としては、完全に乾燥している状態に見えますが、実際には内部では少し乾燥していない部分が残っているという状態になります。

⑤完全乾燥

 塗料が表面も内部もすべてしっかりと乾燥して硬化している状態のことを完全乾燥と言います。この段階まで進むと、塗料はしっかりと乾ききっていると言えますが、この段階に到達するのは、塗料を塗ってから1~2か月かかると言われています。

 屋根や外壁の塗装を行う上で、重ね塗りを行うための乾燥としてここまで待つのは現実的ではありませんし、長くても硬化乾燥の状態では、雨等による影響はないと言われています。ただし、完全乾燥の段階までは薬品に弱いという特性がありますので、掃除をする際に薬品を使ってしまう事で塗料が劣化してしまう事も考えられます。その点だけには注意が必要です。

一般的な乾燥までの時間

 雨や雪が降ったというような状況でなければ、ほとんどの塗料で重ね塗りを行うまでの時間はおおむね4時間と言われています。例えば、日本ペイント製の水性シリコンエポサーフという下塗材では、温度が23度、湿度が50%のときは4時間と記載されています。しかし、使用する塗料によって適正乾燥時間が異なります。特に、防水性の高い塗料については乾燥しにくいという特徴があります。実際には適正乾燥時間をメーカーが定めてカタログや塗料に記載がされていますので、その時間を守る必要があります。また、温度や湿度によって乾燥にかかる時間が変化します。それらを考慮して、乾燥までの時間を考慮して、重ね塗りの時間を定めなければなりません。

3.乾燥の重要性について

 乾燥していない状態で塗料の重ね塗りを行うと、どのような影響が出るのかについてですが、まず1つ目に、乾ききっていない塗料自体がしわになってしまうという問題があります。このような状態になってしまった場合は、一度剥離してやり直す必要があります。そうしなければ、しわになった部分の縮みによる塗装の割れ等につながってしまいます。

 次に、下に塗った塗料と重ねて塗った塗料の色が混ざってしまい、狙い通りの色を出すことができなくなるという点です。ほとんど乾燥時間を取らなかった場合に起こり得る問題ですので、ほとんどありませんが、梅雨の時期等、乾燥しにくい時期においては発生する可能性があります。

まとめ

 屋根や外壁の塗装は、下塗り・中塗り・上塗りと、3回に分けて重ね塗りを行っています。塗料の乾燥状態については、重ね塗りを行う上で非常に重要なポイントとなります。そのため、少なくとも半硬化乾燥の段階まで塗料が乾燥するまでは、重ね塗りを行うべきではありません。どうしても短い期間で重ね塗りを行いたいという状況であれば、温度が低い、天気が悪いといった条件の場合、乾燥までの時間が長くなりますので、夏季や比較的温度が高い晴れた日に塗装を行う必要があります。日当たりの良い南側から塗装工事をしてもらう等の工夫もできます。そうすることで、少しでも乾燥までの時間を短くすることができます。