プロが教える!塗装工事の正しい工程と大事な目的

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建物を長く維持するためには、塗装工事を定期的に実施しなければなりません。なぜ、外壁塗装が必要なのか、その目的とその目的を達するための正しい外壁塗装の工程についてご説明します。

1.塗装工事の目的

 塗装工事は、建物の外観をきれいにすることが主たる目的と考えられている方が多く、塗装が劣化していても、「ちょっと外観を我慢すれば…」と、塗装工事を後回しにしてしまう方がいらっしゃいます。

 しかし、塗装工事の本来の目的は、建物を保護することにあります。建物は、紫外線や雨風に常にさらされています。それらから建物を保護しているのは、塗料の膜(塗膜)になります。そのため、定期的に塗装工事を行わないと、塗膜が劣化し、紫外線や雨風を防ぐことができなくなり、やがて、雨漏りなどの問題へと発展してしまうことになります。

2.塗装工事の正しい工程

 塗装工事は、建物を守る大切な工事ですが、正しい工程で工事をしなければ、その性能を最大限に発揮することができません。例え値段が安くても、必要な工程を蔑ろにしている場合は、期待通りの効果が発揮できず、すぐに塗装が劣化してしまい、短期間で塗装工事を行わなければならなくなり、トータルコストとしては割高となってしまうのです。

(1)塗装工事の工程

 ①挨拶まわり・塗装工事の準備

  塗装工事を行う際には、音や匂いが発生するため、必ずご近所様への挨拶を実施します。併せて、塗装工事で必要な準備も実施していきます。これには、1日要します。

 ②足場の設置

  塗装工事は建物の屋根や2階の外壁といった高い場所での作業もあります。そのため、まずは足場を設置していきます。また、塗料がまわりに飛び散らないよう、建物まわりに養生も行います。足場の設置には1日要します。

 ③外壁の洗浄

  新しい塗料を塗る前に、古い塗料やほこり、汚れなどをしっかり落として、外壁をきれいな状態にしておく必要があります。これが外壁の洗浄となります。外壁の洗浄は、高圧洗浄(水を高圧で放出して汚れを落とす洗浄方法)やバイオ洗浄(薬剤によって藻やコケなどを洗浄する方法)によって、徹底的に汚れを落としていきます。ここで手を抜くと、塗料は外壁ではなく、その上の古い塗料やホコリなどに接着することになり、すぐに剥がれてしまうことになります。そのため、外壁の洗浄は、汚れが少なければ1日で終了しますが、汚れがひどい場合は2日間必要になることがあります。

 ④下地処理

  下地処理は、外壁の劣化している部分を補修する工事です。例えば、外壁にクラックと呼ばれるひび割れがある場合や、金属部分のサビ、コーキングの劣化といったように、長期間使用していると、当然、建物そのものも劣化していきます。これを放置して塗装工事を行った場合、塗装の効果は最大限に発揮することはできません。そのため、下地処理は、塗装工事の品質を決める最も重要な工程とも言われています。

  下地処理は、コーキングの劣化だけなど、大きく劣化していない状況であれば、1日で終了する場合もありますが、多くのクラックがあるなど、劣化状況がひどいと、それだけ日数がかかってしまいます。

  しかし、建物を長く維持するためには、ここで手を抜かずに、しっかりと補修を行うことが、重要となります。

 ⑤外壁まわりの養生

  足場の設置の際には、工事を行う建物以外の部分へ塗料が飛び散らないように養生を行いましたが、ここでは、外壁まわりの養生を行います。具体的には窓やドアといった塗装しない部分やエアコンの室外機など、建物に付属する機器等に塗料が飛び散らないような養生となります。これは1日で完了します。

 ⑥塗装工事

  ここまでの工程を経て、初めて塗料を建物に塗っていく塗装工事が始まります。塗装工事には、下塗りと、中塗り・上塗りという工程があります。

  1)下塗り

   下塗りは、実際に建物に密着する形で下地を強化する下地強化材という塗料を塗る作業となります。実際に着色するための中塗り・上塗りの塗料では、建物に対する密着度を確保できません。そのため、接着剤的な役割を果たす下塗りが非常に重要となります。下塗りには少なくとも1日要します。

  2)中塗り

   下塗りが完了し、下塗りに使用した塗料が完全に乾燥したら、次に実際に外観となる塗料を塗っていきます。下塗り直後に行う塗装を中塗りといいます。中塗りには、少なくとも1日要します。

  3)上塗り

   塗料は、1回塗っただけでは、その効果を十分に発揮することはできません。そのため、中塗りを行った塗料がしっかり乾燥してから、改めて同じ塗料を重ねて塗っていきます。これを上塗りといいます。中塗りも上塗りも、その下に塗った塗料が完全に乾いてから行わなければ、重ね塗りの効果はなくなってしまいます。しっかり乾燥したあとに塗った場合は、塗料の膜がミルフィーユ上に構成されるため、しっかりとした強度が確保できますが、塗料が乾いていない状態で塗装すると、下の塗料と混ざってしまい、乾燥したときには1枚の膜しかないとイメージするとわかりやすいかもしれませんね。上塗りには、少なくとも1日要します。

  4)その他の塗装

   外壁の塗装が終了したら、次はフードや破風板といった建物以外の部分の塗装にはいります。建物によっては、これらの部分が多く、時間がかかってしまうこともありますが、多くの場合は上塗りと同じ日に完了することができます。

 ⑦点検

塗装工事がすべて終わったあとは、塗り残しなどが無いように、しっかりと点検を実施します。点検工程で問題が見つかった場合、手直しを行うことになりますので、この工程にも1日程度、日数を確保する必要があります。

 ⑧後片付け

  養生や足場の解体、清掃などを行う工程となります。この工程も、長く見て1日は確保しておくといいでしょう。

  後片付けが終了後に、最終的にお客様にチェックしていただき、塗装工事は終了となります。

 塗装工事は、このように最短でも10日間に渡る工事となります。しかし、業者によってはこれより短い期間で、かつ安く見積もりを行うところもありますが、その場合は、必要な工程が抜けていたり、時間をかけて行わなければならない工程が簡略化されている可能性が高く、どうしても品質に問題が生じてしまうことになります。そのため、そのような業者よりも割高であっても、しっかりと工事期間を確保し、丁寧な工事を行う業者に依頼することが、結果として建物をながく使うコツとなります。

 

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