吹き付け

リシン吹き付けのメリットやデメリット、劣化の補修方法について解説します

近年、主流になっている外壁塗装の工法は、ローラーを使用する「ローラー工法」です。サイディングの外壁が主流である今、以前はよく使われていた「吹き付け工法」は、モルタルの外壁とともに目立たない存在になっています。しかし、吹き付け塗装には吹き付け塗装なりの魅力があることは間違いありません。その吹き付け塗装のなかでも、多くの家に施工されてきたのが「リシン吹き付け」です。

そもそも吹き付け塗装とは

吹き付け塗装とは、読んで字のごとく、スプレーガンを使って外壁を塗る工法のことです。「リシン吹き付け」はこの吹き付け塗装のひとつで、「スタッコ仕上げ」などとともに、モルタルの外壁にデザイン性を与えるために使われてきました。スプレーガンは塗料の噴射圧を微調整できるため、ローラーとはまったく異なる独特な味わいで外壁を演出することが可能です。

リシン吹き付けとは

リシン吹き付けの「リシン」についてまずは説明しておきましょう。ここで言う「リシン」は、トウゴマという植物のタネから抽出されるという猛毒物質のリシンではありません。リシン吹き付けのリシンについては、実はその語源ははっきりとはわかっていないのですが、どうやら、以前、海外から入ってきた吹き付け材の商品名がそのまま和製英語として使われるようになった、というのが有力な説のようです。

リシン吹き付けは、モルタルの外壁に表情をつけるための表面化粧材であるリシンを吹き付ける塗装方法です。リシン吹き付けのリシンには、セメントのほか、アクリルや顔料などが含まれており、ローラーやコテ仕上げとはまったく異なる、土壁に似たザラッとした風合いに仕上がります。

リシン吹き付けは、モルタル外壁の仕上げとしてはもっともよく使われている工法です。リシンガンというスプレーガンを使って吹き付けます。

現在はサイディングに押されそれほど目立つ存在ではありませんが、木造の和テイストの家や、西洋テイストの土壁の家などにとてもマッチする仕上げだといえるでしょう。

そのほかに、リシンには「リシン掻き落とし」という表面仕上げ方法があります。こちらは吹き付けたリシンが固まる前にワイヤーブラシなどを使って引っ掻き、繊細な模様をつける外壁デザイン手法です。

リシン吹き付けのメリット

リシン吹き付けに備わるいくつかのメリットが、「コスパのよさ」を実現します。

材料費が安い

リシン吹き付けで使う仕上げ材は、モルタルの仕上げで使う仕上げ材のなかでも最安です。予算を抑えて家を建てたいという方にとっては、初期費用を抑えられるうれしい存在です。

通気性がよく家にやさしい

リシン吹き付けの仕上げは、ほかのモルタル仕上げ材との比較でも通気性に優れます。モルタル外壁の家は木造であることがほとんどですから、優れた通気性が確保されることにより外壁材や躯体の内部に湿気がとどまりにくくなります。通気性のよさで湿気による腐食から家を守るリシン吹き付け。リシン吹き付けは家にやさしいのです。

落ち着きのある高級感を演出できる

リシン吹き付けは、外壁に落ち着きのある高級感を与えることができます。リシン吹き付けにはツヤがあまりないので、サイディングとはまた違った高級感を演出できるのです。

リシン吹き付けのデメリット

ザラッとした風合いのリシン吹き付けの仕上げはとても魅力がありますが、その仕上げだからこそのデメリットもあります。

ひび割れしやすい

リシン吹き付けは、吹き付けに使う塗料の中に含まれている樹脂が割れやすい性質を持っていること、そして塗膜が薄いことからひび割れしやすいというデメリットがあります。モルタル自体、ひび割れが発生しやすい外壁材ですが、そのモルタルのひび割れにより塗膜に負荷が加わりひび割れてしまうという面もあるようです。

ただ、現在は伸縮性の備わる「弾性リシン」が普及しているので、以前ほどひび割れについては心配する必要がなくなってきています。

汚れがつきやすい

ザラッとした仕上げのリシン吹き付けは、その凹凸部分に土埃などがたまりやすく、汚れやすいという欠点があります。汚れが蓄積されると水分をうまく流すことができなくなるため、コケやカビが発生してしまうと外壁がさらに汚れて見えてしまいます。

リシン吹き付けにはこのようなデメリットがあるため、全般的に見るとほかの表面仕上げよりも短いサイクルでメンテナンスする必要があります。建物の立地条件にもよりますが、8年程度のサイクルで塗り替えが必要になるでしょう。

リシン吹き付けの外壁のメンテナンスについて

ご紹介したように、リシン吹き付けはひび割れしやすく汚れやすいため、定期的に状態を確認し、劣化症状を見つけたら適切に対処することが重要です。

ヘアークラックへの対処

ヘアークラックは、外壁塗装の塗膜部分に発生する細かいひび割れです。リシン吹き付けの場合は、下地のモルタルにまでは到達していないひび割れで、その深さは0.3mm以下です。ヘアークラックは放置してよい劣化ではありませんが、早急に対応が必要な劣化でもありません。しっかり経過を観察して、必要なときに対応することが重要です。

ひび割れへの対処

ヘアークラックよりも深いひび割れは、すでに下地のモルタルに達しているためすぐにメンテナンスする必要があります。そのまま放置するとモルタルにまで水分が浸透し、住宅の内部まで到達し、雨漏りやシロアリなどの害虫が発生する原因となりかねないので注意が必要です。ひび割れにはシーリング材を注入し、さらに下塗りしたあと塗装をして仕上げます。

チョーキングへの対処

塗膜の劣化の主原因は紫外線です。紫外線にさらされる塗膜は、塗装した時点で劣化が始まります。チョーキングは、紫外線の影響で劣化した塗料に含まれている顔料が粉状になって外壁面に浮き出てくる現象です。外壁を指で触れると粉状の物質が付着するので比較的わかりやすい劣化症状なのですが、リシン吹き付けの外壁は凹凸があるため、チョーキングが発生していてもわかりにくいので厄介です。それでも、チョーキングが発生しているなら外壁に触れるとうっすら指に粉状の物質が付着してくるはずなので、チョーキングに気づいたら塗装店に相談しましょう。

カビやコケへの対処

カビやコケは排水性能が落ちた外壁に発生します。そのままにしているとカビやコケは水分をどんどん吸収してしまうため、塗膜をどんどん劣化させ、水分を防御できなくなった外壁材の内部まで浸透していってしまいます。そのため、カビやコケが発生したら、なるべく早く塗り替えによるメンテナンスを行いましょう

リシン吹き付けの外壁の塗り替えについて

近年は、リシン吹き付けの外壁であっても吹き付けではなく、ローラーで塗り替えるのが一般的です。凹凸があるリシン吹き付けの外壁でも、フィラーという下塗り塗料を使って下塗りをすることで、ローラーでまんべんなく塗ることができます。もちろん、吹き付けにより再塗装することも可能ですが、最近は吹き付け塗装をできる業者の数も減少傾向にあるため、腕の確かな職人が作業をしてくれる業者を探すこと自体が難しくなっているのが実情です。

まとめ

リシン吹き付けは、機能性、そして高級感がある見た目を兼ね備えるコスパのよい外壁の表面仕上げ方法です。耐用年数は短いためメンテナンス頻度は増えますが、魅力のある仕上げであることは間違いありません。

外壁材の種類と適用するコーキングについて

外壁材には、最近よく使われているサイディングボードの他に、モルタルであったりコンクリートであったりと、様々な素材が存在します。1つの外壁材で外壁を構成できる外壁材であれば、コーキングという作業自体を行う必要はないのですが、サイディングボードのように複数のボードをつなぎ合わせることによって外壁を構成する外壁材であれば、コーキングという作業が必要不可欠となります。この外壁材をつなぎ合わせるためのコーキングですが、外壁材によってコーキングを使い分ける必要があります。今回は、外壁材の種類ごとに、適用するコーキングのおすすめをご紹介します。

コーキングの種類

コーキングには、大きく分けて①シリコン系、②変性シリコン系、③ウレタン系、④アクリル系

という4つに分類することができます。

  • シリコン系のコーキングは、水回りやガラス周りで使用されるコーキングで、耐水性や耐熱性、耐候性に優れたコーキングです。耐候性にも優れているため、外壁にも使用できると思われがちですが、シリコン系のコーキングは撥水効果が高く、水を弾いてしまうことから、コーキングの上から塗装することができません。そのため、外壁にはほとんど使用されず、浴室やキッチンで使用されるコーキングとなっています。※シリコンとコーキングの違いとは
  • 変性シリコン系のコーキングは、非常に万能なコーキングであるという特徴があります。そのため、外壁の種類を問わずに使用することができますが、シリコン系のコーキングやウレタン系のコーキングと比較して、耐久性や密着性が劣ります。つまり、万能であるが故に、専門性の高いコーキングには性能面で一歩ひけを取るというイメージですね。
  • ウレタン系のコーキングはコンクリートや木材に対して非常に優れたコーキングです。ウレタン系のコーキングが硬化すると、高い弾力性が生まれますのでALCなどの補修などにも使用されるコーキングとなっています。
  • アクリル系のコーキングは、一昔前まではALCの外壁に対して、頻繁に使用されていましたが、現在では、他に耐久性の高いコーキングが登場しているため、費用頻度は激減しています。メリットは、非常に安い「コスト」にありますが、長期的に見た場合は、補修回数が少ない変性シリコン系のコーキングやウレタン系のコーキング、シリコン系のコーキングの方が安くなるケースが多くなります。

参考:シリコンコーキングの耐熱温度はどれぐらいでしょうか?

外壁材とコーキングの種類

 次に、外壁材ごとのおすすめのコーキングをご紹介します。

サイディングボードを使用した外壁では、

変性シリコン系のコーキングがおすすめとなります。なお、変性シリコン系のコーキングの中でも、ノンブリードタイプを使用します。ノンブリードタイプのコーキングとは、コーキングの伸縮性を出すために配合されている可塑剤が塗装面に浮き出てこないように改良されたコーキングで、外壁の美観を保つために使用されます。

サイディング塗装時のコーキングの可塑剤防止について

 外壁材にミミズの跡のようなグレーの汚れを見たことはないでしょうか。その正体は、コーキング剤に含まれる可塑剤移行(またはブリード現象)と呼ばれる状態です。コーキング剤に含まれる可塑剤(かそざい)と言うのは、コーキングに柔軟性を持たせるための材料のことで、コーキングのひび割れが発生しにくくするために配合している成分になります。これが影響して、ミミズの跡のような汚れが発生してしまうのです。そこで今回は、コーキングの可塑剤移行の防止方法についてご紹介したいと思います。

コーキングの可塑剤移行が発生してしまった場合の影響

 コーキングの可塑剤移行が発生してしまうと、初期段階としては、可塑剤が溶け出すことによる塗料のベタつきが発生します。次に、そのベタつきに汚れが付着し、どんどんと黒ずんで行くことになりますので、外観が非常に汚くなってしまいます。この汚れだけであれば、外観以外に大きな問題はないのですが、可塑剤が溶け出すことによって、コーキングそのものの柔軟性が失われることになります。つまり、コーキングがひび割れしやすい状態になっていますので、外壁が少し伸縮しただけで、簡単にひび割れが発生してしまう状態になります。そうなると、コーキングのメンテナンスを行わなければ、防水性能は失われたままとなりますので、結果としてコーキングの耐久性が大きく低下するといえます。

コーキングの可塑剤移行の原因

 コーキングの可塑剤移行という現象は、コーキングに含まれる可塑剤が溶け出し、表面の塗料や汚れに反応して変色するのが原因となります。これは、主にコーキングそのものと塗料の相性であることが多いのですが、この相性は、今回塗装する塗料だけでなく、前回使用していた塗料との相性によっても、この現象が発生していることが確認できています。そのため、前回、どのような塗料を使用したのかを調査した上でコーキング剤の選択をしなければ、コーキングの可塑剤移行が発生してしまうことに繋がります。

コーキングの可塑剤移行の防止策

①使用するコーキング剤を厳選する

 最近は、ノンブリードタイプのコーキング材が多く販売されています。これらは、その名の通り、コーキングの可塑剤移行(ブリード現象)が発生しないように改良された塗料で すので、これらの塗料を使用することで、コーキングの可塑剤移行を防止することができます。注意しなければならないのは、ノンブリードタイプのコーキング材を使用したからどういった環境においても100%コーキングの可塑剤移行が発生しないかというと、そうではありません。通常のコーキングよりもコーキングの可塑剤移行が発生しにくくはなりますが、なんの調査もしなくていいということではなく、やはり可能な限り塗料との相性は調査しておく必要があります。

②ブリードオフプライマーなどの活用

 使用環境などにより、ノンブリードタイプのコーキング材が使用できない場合には、下地処理において、ブリードオフプライマーなどのコーキングの可塑剤移行を防止するプライマーを使用することで、可塑剤の溶け出しを防止することができます。

スズカファイン:ラフトン逆プライマー

 また、モルタル外壁など、古いコーキング剤をすべて除去する事ができない外壁材において、1度でもノンブリードタイプではないコーキング剤を使用した場合は、新たにノンブリードタイプのコーキング材を使用しても、古いコーキング剤が残ってしまうため、ブリードオフプライマーを使用してコーキングをメンテンナスすることになります。

コーキングの可塑剤移行が発生した場合の対処

可塑剤が汚れてきた感じです・・・

すでに、コーキングの可塑剤移行が発生してしまった場合、その部分のコーキングをすべて除去した上で、ノンブリードタイプのコーキングを充填するという方法が一般的な対処方法となります。しかし、どうしても古いコーキングが除去できない場合には、コーキング剤は通常のものを使用し、塗装の段階において、下地処理でブリードオフプライマーを使用し、中塗り・上塗りを行うことで処置を行う事ができます。

部分的に逆プライマーを塗装しました。

これらの対処については、コーキングの可塑剤移行を発見した場合、早めに実施することを検討していただきたい事項となります。この処置が遅れれば遅れるほど、コーキングにひび割れが発生しやすくなり、外壁そのものにダメージを与えることにつながってしまいます。建物を長く、大切に使いたい場合は、ミミズの跡のような汚れは、危険なサインだということを認識していただければと思います。

コーキングの可塑剤移行(ブリード現象)は、その仕組を理解している職人であれば、未然に予防することができる問題です。ヨコイ塗装では、コーキング剤の特徴やその注意点を熟知した職人がコーキングのメンテナンス作業を実施しますので、安心してお任せいただいたというご意見を多数、頂戴することができています。扶桑町周辺でコーキングのメンテナンスをお考えの方は、ヨコイ塗装までご相談ください。

ALCなどのコンクリートを素材とした外壁コンクリートを素材とした外壁には、

変性シリコン系のコーキングよりも密着性に優れたウレタン系のコーキングがおすすめです。コンクリート素材は変性シリコン系のコーキングでは密着しづらく、コーキングが剥がれてしまうことがありますが、ウレタン系のコーキングであれば、しっかり密着しますのでコーキングの剥がれが起こりにくくなります。

ALCのコーキングに関して

ALC(軽量気泡コンクリート)は、その名の通り、内部に気泡が空いているコンクリートで、通常のコンクリートのおよそ1/4程度の重さまで軽量化された外壁に適したコンクリートの1種です。ALCは、その気泡によって熱の伝わりを抑えるため、高い断熱効果も期待できる外壁材ですが、現在、主流となっているサイディングボードと比べると、知名度が劣るため、そのメンテナンス方法についてもご存じない方が多くいらっしゃいます。

そこで今回は、ALCのメンテナンス方法のうち、コーキングを中心についてご説明したいと思います。

ALC

ALC外壁のメンテナンス内容

ALC外壁は、コンクリート製の外壁であるため、その耐久性能は30年~50年と言われています。しかし、この年数はメンテナンスを行わなくても良い期間ではありません。適切にメンテナンスを施した場合、30年~50年は、外壁材の張替えを行わなくても良いと言われる期間になります。

 ALCは、気泡が空いているコンクリートですので、吸水性が非常に高く、外壁塗装による防水は必要不可欠です。塗装が劣化してしまうと、塗膜による防水が行えず、ALCの内部に水が侵入してしまうことになります。ALCが水分を吸収してしまうと、芯に使われている鉄筋が錆びてしまい、強度が著しく低下します。そのため、定期的な外壁塗装が必要となります。

併せて実施しなければならないのが、「コーキング」です。ALCはサイディングボードと同様に、外壁材の継ぎ目が存在します。そのため、外壁材をつなぎ合わせるためのコーキングを施す必要があります。

ALCのコーキング

 コーキングは、外壁材同士をつなぎ合わせるためのゴム状のもので、サイディングボードやALCのつなぎ目に注入し、建物のつなぎ目から水が侵入することを防止する役割があります。また、季節ごとの温度変化などによる建物の伸縮を、コーキングの伸縮性によって吸収し、外壁材同士がぶつかってしまったり、歪んでしまうことを防止する役割も有しています。

コーキングの耐久年数は一般的には8年程度と言われており、8年を過ぎるとコーキングそのものが縮んでしまったり、欠落してしまうことがあります。もちろん、環境によっては8年を待たずして破損してしまうこともありますので、定期的にチェックすることが重要となります。コーキングが縮んでしまったり、欠けてしまうと、その部分から水が侵入することになり、ALC内部の鉄筋を錆びつかせる原因となりますので、そういった症状を見つけた際には、早めにメンテナンスを行う必要があります。

ALCのコーキングのメンテナンスには、

打ち替え工法と増し打ち工法の2種類があります。

  • 打ち替え工法は、傷んだコーキングをすべて撤去し、新しくコーキングを打ち換える工法のことを言います。この工法は、古いコーキングをすべて除去するという作業と、新しいコーキングを注入するという作業があるため、どうしても増し打ち工法よりもコストがかかります。サイディングボードの場合は、耐久性を持たせるために基本的には打ち替え工法を選択する場合が多いのですが、ALCの場合は、打ち替え工法よりも増し打ち工法を選択する場合があります。
  • 増し打ち工法は、劣化して痩せたコーキングの上から新しいコーキングを注入する方法で、古いコーキングを除去しない分、コストが低い工法になります。サイディングボードで増し打ちを行ってしまうと、耐久性を決めるコーキングの厚さが確保できないため、基本的には選択しませんが、ALC(目地)の場合は増し打ち工法でも十分な耐久性を保てるだけの厚みを出すことができます。したがって増し打ち工法を選択することがあります。

 ただし、ALCでも窓の周りなど、十分な厚みが確保できませんので、打ち替え工法を選択する場所もあります。ALCで増し打ち工法を行う場合、古い塗料を除去するための専用の機材が必要となりますので、注意が必要です。

ALCに適したコーキング

 コーキングにも、ウレタン系や変性シリコーン系といったように、様々な種類のコーキング材が販売されています。この中でALCに最も適したコーキング材は「ウレタン系コーキング」になります。ウレタン系コーキングは、コーキングと塗料の密着性が高く、コーキングの上から塗装を行うことができます。ALCそのものは、非常に吸水性の高い外壁材になりますので、外壁材をコーキング材で接着した後に、隙間なく塗装を行うことで水の侵入する隙間をなくす必要があります。

そのため、コーキングの上から塗装できるウレタン系コーキングが最適になるのです。

オートンCP1

吹き付けがしてある外壁材のコーキングメンテナンス

モルタル外壁を補修する際には、

外壁塗装には、ローラー等を使用して職人が手作業で塗装を行う「手塗り」の他に、スプレーガンという工具を使用して塗装を行う「吹き付け」という工法があります。吹き付け工法のメリットは、外壁の模様や凹凸をしっかりと残して塗装できるという点と、主にそういった外壁について、塗膜を均一にすることができるという点で、外壁の素材等によって選択されることがあります。この吹き付け工法が行われている外壁材と手塗り工法の外壁材とでは、コーキングのメンテナンス方法に違いがありますので、今回は吹き付け工法が行われた外壁材のコーキングのメンテナンスについてご説明します。

吹き付け工法とは

 吹き付け工法は、塗装工事のうち、「中塗り」「上塗り」の工程で使用される工法で、スプレーガンを使用して塗装を行う方法となります。吹き付け工法では、塗料に細かい砂を混ぜて吹き付ける「リシン工法」、セメントが主剤の建材を吹き付ける「スタッコ工法」、粘り気の強い塗料を吹き付ける「タイル工法」といった様々な工法で、独特の模様を作り出すことができる塗装方法で、外壁の美観を美しくする効果があります。

Rc板
吹付けをされた外壁

 一方、吹き付け工法で高い品質を保つのは非常に難しく、熟練の職人でなければ、手塗り工法よりも品質が落ちるといったデメリットや、塗料が飛散することで、使用する塗料が増えるといったデメリットも存在します。

 吹き付け工法の耐用年数は、塗料の種類にもよりますが、おおむね10年程度といわれており、しかしながらコーキング自体は塗膜で紫外線からガードされ、劣化していないことがあります。そのため、塗膜自体は耐用年数としては手塗り工法と大差ないとも言えますが、このコーキングの状態は、耐用年数が大きく異なるため、注意が必要です。

吹き付け工法がしてある外壁のコーキング

 吹き付け工法が行われている外壁であっても、ALCやサイディングを外壁材として使用している場合は、外壁材同士をつなぎ合わせるのにコーキングは必須です。それらの外壁材のコーキングをメンテナンスする際には、初めにコーキングの打ち替えを行った後に、塗装を行いますので、基本的な作業はサイディングと異なりません。。

 注意点として、吹き付け工法を行っている外壁材には、上記通り紫外線が当たらないことで、コーキングがガードされ、その部分が案外コーキング自体が生きていることがある点です。そのため、コーキングの劣化状況については、コストを抑えるならば徹底的な削ぎ落としをしてから打ち替えるなどの必要がない場合があります。

コストを抑えた吹付け外壁の補修

 コストを重視したコーキング場合の補修として、部分的に増打ちをする方法があります。しかし問題なのは、業者が簡易にコーキング作業をしても一般の方には分からず、余分な経費を請求してくるとこです。吹き付け外壁の場合は、コーキングによる補修を行ったとしても、実際人工がかかっておらず経費も少ないことが多いです。しっかりと施工の時間や人数を把握して抑えられるところは交渉してみますよう。

状態が悪い吹付け外壁のコーキングのメンテナンス

 吹き付け工法を行ったコーキングであっても、コーキングの痩せや剥がれを見つけた場合にはメンテナンスを行わなければなりません。その場合、吹き付け塗膜もろともしっかりと削ぎ落とし、打ち替えをしなければいけません。

参考:リシン吹き付けのメリットやデメリット、劣化の補修方法について解説します

 こちらはサイディングなどと同様です。大切なことはしっかりと削ぎ落としをすること。そのため、人工はかかります。見積もりを見れば案外どの程度の品質かどうかは見分けが付きます。(安かれ悪かれはあります。)また専用のプライマーを、外壁が吸い込んでしまうこともあるので、しっかりたっぷりと塗ることも大切です。

 手塗り工法であっても、吹き付け工法であっても、コーキングのメンテナンスは必須です。それぞれの工法に適したメンテナンス方法をしっかりと行わなければ、本来、持つはずの耐用年数よりも早く劣化が始まってしまいます。しかし、一部の業者では、その工法の違いを理解しておらず、すべて同じ工法でメンテナンスを行い、結果として低い品質のメンテナンスしか行わない業者も存在します。

塗装工事における、雨戸の吹付け|扶桑町の外壁リフォーム【ヨコイ塗装】

外壁塗装を行う際には、外壁だけでなく屋根やサッシ、玄関ドアなど、塗装が劣化している部分に対して、併せて塗装するケースが非常に多くあります。この中で注意していただく必要があるのが「雨戸」です。そもそも、鉄製の雨戸に塗装が必要なのでしょうか。

今回は、そんな雨戸の塗装についてご紹介します。

雨戸

雨戸の役割

 雨戸は、大きく分けると、横にスライドさせて収納するタイプのものと、シャッタータイプのものの2種類があります。いずれの雨戸も、大半はスチール製で外側がアルミ製となっています。雨戸は、頻繁に使用するものではありませんが、強い雨や風から窓を守るために重要な役割をもっています。雨戸が劣化してしまうと、大雨や台風から窓を保護することができなくなり、台風などで窓ガラスが割れてしまうこととなってしまいます。

雨戸には塗装が必要?

雨戸を塗装する目的の1つは、外観をきれいに見せるためです。屋根や外壁をきれいに塗装した場合、汚れている部分、劣化している部分は、いつも以上に目立ってしまいます。もし、雨戸の塗装が裂開している状態で、屋根や外壁だけを塗装した場合、建物全体がアンバランスになってしまい、余計に美観が悪くなってしまいます。

雨戸

 雨戸の塗装費用

 雨戸の塗装は、1枚当たり3,000円~4,000円が相場となっています。一般的な日本の住宅の場合、窓の数が少なくとも5枚程度あり、窓1か所あたり、2枚の雨戸がついていますので、最低でも合計10枚の塗装が必要となり、塗装にかかる費用は30,000~40,000円となります。

外壁塗装と同時期に雨戸の塗装を行うと考えた場合は、およそ上記のような金額になるのですが、雨戸だけを塗装しようとすると、足場を構築しなければならないため、足場の作成代金が追加で発生してしまうことになります。足場を設置する費用は、高い場合、1㎡当たり1,000円程度となりますので建物が100㎡と仮定した場合、100,000円もの料金が追加で発生してしまうことになります。そのため、雨戸を塗装するのであれば、外壁の塗装と同時に行うことが一般的です。

雨戸の塗装タイミング

①コストを安く抑えるなら…

 雨戸を塗装するタイミングは、雨戸の外観が悪くなった時で問題ありません。外壁塗装を行い、屋根や外壁がきれいになった時に、雨戸だけ浮いた状態にならなければ、特に塗装を行う必要はないと言えます。と、いうのも、雨戸は普段戸袋に隠れ、そもそも使用する頻度がそれほど多くはありません。そのため、雨戸の設置方法にもよりますが、実際に雨戸そのものもが、雨や紫外線の影響を受ける頻度は、屋根や外壁ほど多くはないのです。つまり、雨戸の塗装は屋根などの雨が当たる部分と比べ、さほど問題はないのです。

さらに、雨戸は中から取り外すことが出来ます。。そのため、仮に工事の時に塗装しなくても、気になった時に取り外して塗装出来ますので、工事のコストを抑えることが可能です。

②建物の外観を気にするなら…

 多少コストをかけてでも、常に建物の外観をきれいにしておきたいという方は、5年程度の周期で塗装を行うことをお勧めします。雨戸は吹き付けに使用される材料がウレタン系統が主流でした。無機やフッ素などの塗料とは異なり、耐候性が低い特徴があります。ウレタン系塗料の耐久年数は5~7.8年程度になっています。

そのため、防犯のため雨戸をよく閉められる方は吹付け材をアップグレードしてもらうことをお勧めします。

劣化の激しい雨戸は?

 ケレンや塗装を行っただけでは修復できないほど劣化してしまった雨戸は、取り換えを行うことになります。雨戸を取り換えるには、一般的に1枚当たり4万円~、工事費用が6万円程度かかってしまいます。すべての雨戸を取り換えることになると、大きな出費につながることになりますので、こうなる前に塗装を行っておく必要があります。

参考:施工価格について

温風低圧塗装機SG-91

温風低圧塗装機とは?

 温風低圧塗装機とは、スプレー塗装を行うための機材で、低圧でかつ大風量の空気を使用して塗料を噴霧する塗装機のことを言います。スプレー塗装は、プラモデルでも「エアブラシ」などの機材が売られていますが、温風低圧塗装機はエアブラシの外壁塗装用をイメージすると分かりやすいかと思います。

 温風低圧塗装機は、空気の圧力が0.05Mpa以下と非常に小さいため、コンプレッサーを用いずに、ブロアを用いていることが特徴で、その分、軽くて取り扱い安いというメリットがあります。

温風低圧塗装機のメリット

①高い塗着効率

 塗着効率とは、使用する塗料のうち、どの程度、塗装に使用することができたかを示す割合で、例えば10kgの塗料を塗着効率90%の塗装方法で使用した場合、外壁に塗装できた塗料が9kg、残り1kgがローラーやハケに残った分、垂れ落ちた分、温風低圧塗装機に付着した分など、外壁に塗装できなかった分になります。

温風低圧塗装機のメリットの1つに、高い塗着効率にあります。温風低圧塗装機を使用した場合の塗着効率は、およそ70~90%といわれており、これは、ローラーやハケで塗装した場合とほぼ同じ水準となっています。

 なお、他のスプレー塗装の方法として、エアスプレー(空気の圧力0.3~0.5Mpa)を使用した場合、塗着効率は30~50%となっています。つまり、塗料の5割~7割は使用できずに破棄されているため、塗料にかかるコストが非常に大きくなってしまいます。

つまり、温風低圧塗装機を使用することで、スプレー塗装でありながら、ローラーやハケと同じくらい塗料を効率よく使用することができるのです。

②強溶剤系塗料が使用できる

 一般的な外壁塗装で使用されている塗料は、ほとんどが弱溶剤系塗料です。弱溶剤系塗料は、室内等に使用する水性塗料に比べ、高い密着性や耐候性があることから、主に外壁に使用されていますが、その弱溶剤系塗料よりも耐薬品性、耐水性を大幅に高めた塗料が強溶剤系塗料となります。

強溶剤系塗料塗料は、その臭いから最近ではあまり使用されなくなってきていますが、高い耐薬品性や耐水性が求められる建物などには、この強溶剤系塗料が使用されています。この強溶剤系塗料は、ローラーやハケでは平滑な塗装を行うことができません。強溶剤系塗料を使用して、美観よく塗装する場合は、スプレー塗装が必須となります。温風低圧塗装機もスプレー塗装の一種ですので、この強溶剤系塗料をきれいに塗装することが可能です。

温風低圧塗装機のデメリット

①霧化の粒径

 スプレー塗装では、塗料を霧状にして噴霧する塗装方法になります。そのため、吹き出された塗料の1つ1つは非常に小さな粒で吹き出されるのですが、温風低圧塗装機の場合、空気の圧力が高くありませんので、コンプレッサーを使用して空気を圧縮するタイプのスプレー塗装に比べると、1つ1つの塗料の粒径(1粒の塗料のサイズ)が、若干大きくなってしまいます。とはいえ、塗装した際の品質に大きな差が出るほど影響はありません。

②ミストの飛散

 これは、温風低圧塗装機のデメリットというよりはスプレー塗装のデメリットになりますが、霧状に塗料を噴霧する塗装方法であるがゆえに、塗料の粒であるミストが広範囲に飛散してしまうというデメリットがあります。

例えば、ローラーとハケで塗れば、マスキングの必要がない場所であっても、スプレー塗装の場合は広範囲にミストが飛散する関係上、しっかりとマスキングしておく必要があります。特に、風が強い日などは、ミストが風に乗ってしまうこともありますので、実際に塗装するべき部分以外の場所であっても、広範囲にマスキングや養生を行わなければなりません。

養生テープ

ヨコイ塗装の塗装方法

 今回、温風低圧塗装機のであるSG-91を導入しましたが、もちろんすべての外壁塗装や屋根の塗装に対して、温風低圧塗装機だけで塗装を行うということはありません。外壁の品質や形状、補修状況などによって、最適な塗装方法を検討し、最も品質がよくなる塗装方法で塗装を行っていきます。

今回、温風低圧塗装機SG-91を導入したことによって、雨戸の仕上がりが格段に良くなりました。特に、このSG-91はABAC社という改修工事や補修塗装での実績が高いメーカーであり、業界トップクラスの低飛散性能(ミストが飛散しにくい性能)、ウレタン塗料や水性塗料から強溶剤系塗料まで幅広くカバーできていることなど、性能面でも非常に高い機材となっています。

玄関ドアの吹き付け

玄関のドアは、毎日使用するため非常に汚れやすい場所でもあります。そのため、汚れを気にされる方は、頻繁に掃除をする箇所ではないでしょうか。家に来られる方が、最初に目にされるのが玄関ですので、できるだけきれいに保っておきたい場所でもあります。

そんな家の顔ともいえる玄関ドアですが、日々の清掃をしっかり行っていたとしても、どうしても塗装が劣化してしまい、清掃だけではきれいにできない状況が発生してしまいます。そうなると、玄関ドアの塗装が必要となります。

今回は、そんな玄関ドアの吹き付け塗装についてご紹介します。

玄関ドア

1.玄関ドアの塗装方法

 玄関ドアの塗装は、非常に難しいと言われており、外壁と同じ方法では塗装を行うことができません。仮に外壁と同じ方法で塗装してしまうと、1~2年という非常に短い期間で塗装にひびが入ったり、塗装が剥がれてしまうことがあります。

玄関ドアには、木製のものと金属製のものがあり、一部の木製ドアや金属製のドアには吹き付けという方法で塗装を行います。

2.吹き付け塗装とは

 吹き付け塗装は、スプレーガンと呼ばれる専用の工具を使用して、塗料を霧状に吹き付ける塗装方法のことを言います。プラモデルの塗装でも、筆を使った塗装と、スプレー缶を使った塗装がありますが、吹き付け塗装はスプレー缶を使った塗装の方になります。

 吹き付け塗装は、霧状の塗料で塗っていきますので、塗装する対象の凹凸に左右されることなく、均一に仕上げることが可能です。玄関ドアの表面は、様々なデザインが施されている場合が多く、ローラーで塗装するよりも吹き付け塗装を行ったほうが、きれいに仕上げることができます。

参考:塗装工事の養生テープの種類と使い分けに関して

参考:塗装工事におけるローラの使い捨てについて

3.玄関ドアの塗装手順

①下地処理

 玄関ドアを塗装する場合も、最も重要な部分は下地処理となります。下地処理において、古い塗料をしっかり剥離し、錆や傷をしっかり修復しておかなければ、塗装によって見た目だけが良くなっても、内部で錆や傷が広がってしまいます。

また、錆の上から塗料を塗ってしまうと、錆がはがれる際に塗料も一緒にはがれてしまうこととなり、耐久性も大幅に低下してしまいます。そのため、下地処理をしっかりと行わなければなりません。

 また、木製ドアの場合は、古い塗料を剥がしたのちに、しっかりと研磨を行う必要があります。これも、研磨をしないまま塗装を行ってしまうことで、木片の剥がれなどによって塗装が剥がれてしまうことを防止するという目的があります。他にも、研磨することで塗装の完成度(美観)も大きく高くなります。

ケレン作業

②下塗り

 玄関ドアの素材が金属製である場合は、錆止めの入った下塗り材で下塗りを行います。玄関ドアの素材に直接塗装する下塗り材に錆止めを含めることで、しっかりと錆止めの効果を活かすことができます。(材質によってはバインダーと言われる専用接着剤のような物を使います)

木製の玄関ドアの場合は、木部用の下塗り材を使用して下塗りを行います。こうすることで、木材という自然の素材を強化することができます。いずれの素材であっても、品質を重視する業者であれば複数回繰り返して、強度を高めています。(女性のファンデーションに似ている作業です)

③中塗り・上塗り

 仕上げの塗料と同じ色で中塗り・上塗りを行います。玄関ドアの素材によって、使用する塗料は異なりますが、木製ドアであっても金属製ドアであっても中塗りと上塗りと、最低でも2回は塗装を行います。仕上がりの状況によっては、中塗りを複数回、もしくは上塗りを複数回実施することもあります。

4.吹き付け塗装・玄関ドアの塗装の注意点

①養生について

吹き付け塗装は、ローラー塗装と違って霧状の塗料を吹き付けますので、塗装を行わない場所に施す養生が非常に重要となります。プラモデルでスプレー缶を使った塗装をした経験のある方ならわかると思いますが、塗装したくない部分をマスキングテープで養生したつもりでも、その貼り付けが甘かった場合などは、マスキングテープの下に塗料が入り込んでしまい、養生していたにも関わらず、塗料がはみ出してしまうといった場合があります。

玄関ドアの吹き付け塗装も同様で、しっかり養生しておかなければ、塗装すべきではない玄関ドア以外の場所にまで塗料がにじみ出てしまうことがあります。

②塗装技術について

 吹き付け塗装は、外壁でも使用することがありますが、ローラーと比べると塗装する頻度が高くはありません。そのため、ローラーを使用した外壁塗装の技術が高くても、吹き付け塗装の技術が同じように高いとは言えません。玄関ドアは家具のリフォームと同様と言われているほど、塗装には高い専門知識と技術が必要な塗装と言われています。そのため、金属製、木製問わず、玄関ドアの塗装を依頼する場合は、業者選びを慎重に行う必要があります。

③料金について

 玄関ドアの塗装の相場は1枚当たり5万円~20万円と、塗装面積に比べると、やや高価になっています。その理由は、先ほど挙げた求められる塗装技術の高さや、養生にかかる手間の多さからきています。

玄関ドアは、家の顔といえる部分ですが、塗装を行う場合は、業者選びや金銭面など、いろいろ考える必要があります。