外壁塗装で9割の人が見落とす「塗料」より大切なこと

家の外壁塗装を考え始め、「さて、どんな塗料にしようか」と調べ始めた途端、その種類の多さに圧倒されていませんか。「一体どれが正解なの?」と頭を抱えてしまうその気持ち、よくわかります。決して安い買い物ではなく、一度塗れば10年以上毎日見ることになる、我が家の「顔」を決める一大イベントですから、絶対に失敗したくないですよね。

ご安心ください。この記事では、複雑に見える塗料選びを一気にシンプルにし、後悔しない外壁塗装を実現するための「プロの視点」から導き出した、最も重要で意外な真実をお伝えします。これを読めば、自信を持ってベストな選択ができるようになります。

目次

真実1:複雑な塗料の世界は「何で薄めるか」だけで9割わかる

膨大な種類の塗料を理解する鍵は、複雑な化学式ではありません。それは「何で薄めて使うか(希釈剤)」という、たった一つのシンプルな事実にあります。実はこれだけで、塗料の基本的な性格がほとんど決まってしまうのです。この物差しを使えば、塗料は大きく3つのカテゴリーに分けられます。

  • 水性: 水で薄めるタイプ。臭いが圧倒的に少なく、最近の製品はほとんど気にならないレベルまで進化しています。
  • 弱溶剤: マイルドなシンナーで薄めるタイプ。
  • 溶剤: 強力なシンナーで薄めるタイプ。昔ながらのいわゆる「油性塗料」で、最もツンとくる強い臭いを放ちます。

この「希釈剤」の違いを理解するだけで、業者さんのカタログに並ぶ専門用語に惑わされることはなくなります。そして、これはご家族やご近所への影響が気になる「臭い」の問題に直結する、非常に現実的な判断基準にもなるのです。

真実2:長持ちの鍵は「水性か油性か」ではなく「グレード」で決まる

「長持ちするのはやっぱり油性でしょ?」というのは、よくある誤解の一つです。塗料の耐久性を決める最も重要な要素は、「水性か溶剤系か」という二元論ではなく、その塗料の「グレード」にあります。

耐久性の序列は、基本的に以下のようになります。グレードが上がるほど長持ちし、価格も高くなる傾向があります。

アクリル → シリコン → フッ素 → 無機

現在、最も主流でコストパフォーマンスが良いとされているのが「シリコン」グレードです。まずはこの「グレード」という物差しで、予算と期待する耐久年数のバランスを考えることが、賢い塗料選びの第一歩となります。ちなみに、プロの視点から補足すると、同じ「シリコン」グレードの中でも、一般的に溶剤系の方が塗料の膜がより緻密に仕上がるため、色褪せに強いという傾向があります。

しかし、ここからがプロが見ているもう一段深いポイントです。それは「樹脂の含有率」。例えば、カタログに「フッ素塗料」と書かれていても、肝心のフッ素樹脂がほんの少ししか入っていなければ、本来の性能は期待できません。つまり、ブランド名だけでなく、その中身の「濃さ」こそが品質を決定づけるのです。

真実3:最高級の塗料も「職人の腕」がなければ数年でダメになる

ここからが、最も重要で、多くの人が見落としてしまう真実です。信じられないかもしれませんが、たとえ「20年以上持つ」と言われる最高級の塗料を選んだとしても、施工がおろそかになれば、その性能は全く発揮されず、数年でダメになってしまうことすらあるのです。

塗料のポテンシャルを100%引き出すのは、それを塗る職人さんの腕と知識。

メーカーが定める規定塗布量や乾燥時間は、単なる「推奨」ではなく、塗料の性能を保証するための「化学的な要件」です。真のプロフェッショナルは、この科学を理解しているため、決して手抜きをしません。どんなに高価な塗料も、このルールが破られれば、その価値は根本から損なわれてしまうのです。

  • 規定塗布量の遵守: メーカーが定めた「平米あたりに使う塗料の量」をきっちり守ること。
  • 十分な乾燥時間: 各塗装工程の間で、十分な乾燥時間を確保すること(理想は1日1工程)。

最高の塗料を選ぶこと以上に、その塗料の性能を最大限に引き出してくれる、信頼できる職人を見つけることが何よりも重要なのです。

真実4:プロが見落とさない「シーリング材との相性」という落とし穴

ここで、私が現場で最も恐れている、そして最も頻繁に目にする悲劇的なミスについてお話しします。それは、外壁のつなぎ目などに使われるゴム状の「シーリング材」と、その上に塗る「塗料」との相性です。

この組み合わせを間違えると、塗った塗料がいつまで経ってもベタベタしたり、シーリング材の成分が染み出してきて黒く汚れたりと、取り返しのつかない事態につながります。しかし、これを防ぐための「魔法の言葉」があります。契約前に、業者さんにこの一言を確認するだけで十分です。

今回使うシーリング剤と塗料の相性は、メーカーに確認済みですか?

この質問に明確に答えられるかどうかは、その業者が専門的な知識を持ち、見えない部分まで配慮しているかを見極める良い指標にもなります。

結論:あなたの本当のゴールは「塗料」ではなく「パートナー」を見つけること

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。これまでの話は、すべて一つの結論へと繋がります。それは、後悔しない外壁塗装の鍵が、どこにあるのかということです。

塗料という「物」を選ぶ知識も大事ですけど、それと同じくらい、いや、それ以上に「誰に頼むか」という「人選び」が重要なんだということです。

塗料の知識は、あくまで良い業者、信頼できるパートナーを見極めるための武器です。あなたの本当のゴールは、塗料のカタログスペックを比較することではありません。その塗料の性能を100%引き出し、あなたの家を10年、20年と守り続けてくれるプロフェッショナルを見つけることなのです。

さて、あなたは今日手にした知識を「武器」に、ただのセールスマンではなく、本物の職人を見抜く準備ができましたか?

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