夏の猛暑下での塗装、早朝・夕方施工の是非と品質影響は?

家の塗り替えを計画し、業者も決まって「いよいよだ」と思っていた矢先、天気予報に「猛暑日」の三文字が…。大事な我が家だからこそ、「気温35℃の中で本当に塗装して大丈夫なの?」と不安に思うのは当然です。

この疑問は、家の寿命にも関わる非常に大切なポイントです。夏の塗装が絶対ダメというわけではありませんが、そこには専門家だけが知る「鉄のルール」が存在します。

まず大前提として、塗料はただの色水ではなく、緻密に設計された「化学製品」であると理解することが重要です。だからこそ、その性能を100%引き出すためには、季節を問わず絶対に守らなければならない“鉄のルール”があります。一般に「気温5℃以下」や「湿度85%以上」での塗装がNGであることは知られていますが、意外と見落とされがちなのが「極端な暑さ」です。このルールを無視することは、最初から失敗に向かって進むようなものなのです。

この記事では、夏の塗装に潜む意外なリスクと、猛暑の中でも高品質な仕上がりを実現するためにプロが実践している正しい対策を、専門家の視点から徹底解説します。

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意外な落とし穴①:「涼しい朝や夕方に塗ればOK」という神話

多くの人が「日中の暑い時間を避けて、涼しい朝や夕方に作業すれば問題ない」と考えがちです。確かに有効な工夫の一つですが、実はそれだけでは不十分で、思わぬ落とし穴が潜んでいます。

  • 早朝のリスク: 最も注意すべきは「夜露」です。壁面が湿ったまま塗装してしまうと、塗膜の内側に水分が閉じ込められてしまいます。これが、後々塗膜が水膨れのようにプクっと膨らんでくる原因になります。
  • 夕方のリスク: 気温が下がるにつれて、今度は湿度が上昇し、塗装のNG条件である「湿度85%以上」になりやすくなります。湿度が高いと塗料が正常に乾燥せず、いつまでも表面がベタベタした状態が続いてしまう可能性があります。

ですから、本物のプロにとって温度と湿度の両方を管理することは、単なる推奨事項ではなく、その日の作業を開始するための「交渉の余地のない絶対条件」なのです。

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意外な落とし穴②:一番深刻なダメージは、すぐには見えない

もし、塗料メーカーが定めるルールを無視して猛暑の中で塗装作業を強行した場合、見た目が悪くなるだけでなく、家の寿命そのものに関わる深刻な問題が発生します。

  • 早期の剥がれ: 暑すぎる環境では、塗料が壁にしっかりと密着することができません。その結果、塗装からわずか2〜3年で、まるで日焼けした後の皮のように塗装がペリペリと剥がれてきてしまいます。
  • 見た目の悪化: 猛暑の中では塗料が異常なスピードで乾くため、職人がどれだけ丁寧に塗っても刷毛の跡がくっきり残ったり、色が均一にならない「まだら模様」になったりします。せっかくの塗り替えが、残念な仕上がりになってしまうのです。
  • 耐久性の低下: これが最も深刻な問題です。正常に固まれなかった塗膜は、本来持つべき性能を全く発揮できません。紫外線や雨風から家を守るという塗装の一番大事な役割が果たせず、通常よりもずっと早く劣化が進んでしまいます。

これらの問題は単なる美観の問題にとどまらず、あなたの大切な資産である家の価値そのものを損なうことにつながります。

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プロが守る黄金ルール:「1日1工程」こそが品質の生命線

外壁塗装は、壁と塗料を密着させる「下塗り」、色と厚みを付ける「中塗り」、そして仕上げの「上塗り」という3回塗りが基本です。この3つの層を正しく塗り重ね、各層を完璧に乾燥させることで、メーカーが設計した通りの性能を100%発揮する、強固で均一な塗膜が完成するのです。

そして、その品質を左右する最も重要な原則が、十分な乾燥時間を確保することです。高品質な塗装のためにプロが絶対に譲らない黄金ルール、それは**1日1工程**です。夏の強い日差しで表面がすぐに乾いたように見えても、塗料の内部までしっかりと硬化するには十分な時間が必要です。次の層を塗り重ねる前に、丸1日は時間を置く。これが鉄則中の鉄則なのです。

まだ中が乾ききっていない状態で次のペンキをベタっと重ねちゃうと、後からひび割れたり、膨れたり、剥がれたりする原因を自分で作っているようなもんなんですよ。

工期を短く見せたい一部の業者はこの乾燥時間を軽視することがありますが、長期的な品質を最優先するプロフェッショナルであれば、このルールを必ず守ります。この姿勢こそが、信頼できる業者を見極めるための一つの指標と言えるでしょう。

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夏の塗装を成功させる鍵は、夏という季節を避けることではなく、温度・湿度の管理や乾燥時間の遵守といったプロの原則を守ることです。

これから業者に依頼する方は、ぜひ具体的な質問をしてみてください。「現場で温度や湿度は測っていますか?」「次の工程まで、ちゃんと1日乾燥時間を空けていますか?」といった質問に対する彼らの答えや姿勢が、品質への考え方を明確に示してくれます。

塗装工事に本当に求めているものって何でしょうか?数日早く終わるっていう便利さですか?それとも10年経っても「ああ、綺麗だな」って思える家の美しさでしょうか?

Tags: 外壁塗装, 扶桑町

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