サイディングボードやALCを外壁材とした際に、ボードとボードをつなぎ合わせて、そのつなぎ目(目地)から水が侵入するのを防止する役割を持つシーリングですが、シーリングには、様々な種類があり、使用用途に応じて使い分ける必要があります。今回は、シーリングの種類と使用用途についてご紹介します。
シーリング材は、大きく分類した場合、1成分形のシーリングと2成分形のシーリングに分けることができます。1成分形のシーリングは、空気中の湿気や酸素などに反応して、シーリング材の表面から硬化するもので、2成分形はシーリング材の主成分に硬化剤を混ぜ合わせることによって硬化する(混合反応硬化形)という違いがあります。2成分形の場合は、主剤と硬化剤を混ぜ合わせる必要があることから、その配合や攪拌によって硬化にムラが生じたり、硬化不足などが発生する可能性があることから、1成分形の方が使い勝手がいいといえますが、配合や攪拌がきちんと行われた2成分形のシーリングであれば、1成分形のシーリングよりも耐久性が高いと言われています。
湿気硬化形のシーリングは、空気中の水分に反応して硬化するタイプのシーリング材です。湿気硬化形シール材の種類の種類が 下記のようなものがあります。
(1)シリコーン系(2)変性シリコーン系(3)ポリサルファイド系 (4)ポリウレタン系
jis a 5758 より引用
酸素硬化形のシーリングは、空気中の酸素に反応して硬化するタイプのシーリング材です。酸素硬化形のシーリングは、現在は変性ポリサルファイド系のシーリングのみとなっています。
乾燥硬化形のシーリングは、シーリング内部の水分(溶液)が蒸発することによって、シーリング内部が乾燥することで硬化するタイプのシーリング材です。乾燥硬化形のシーリングは、エマルジョンタイプのアクリル系シーリングと、溶剤タイプのブチルゴム系シーリングが存在します。
エマルジョンタイプのアクリル系シーリングは、硬化後は不溶となりますが、溶剤タイプのブチルゴム系シーリングは、硬化後であっても溶剤には溶解するという違いがあります。
非硬化形に分類される油性コーキング材は、空気中の酸素と反応してコーキング材の表面に被膜を形成しますが、その内部は硬化しないというシーリング材になります。非硬化形のシーリングは、プライマーを使用しなくても様々なものに粘着するという特徴があります。
2成分形変成シリコーンは、主剤と硬化剤が反応して硬化する「混合反応硬化」のシーリングのみとなっています。混合反応硬化型のシーリングは、主剤によって以下の種類があります。
シリコーン系シーリングは、ホームセンターでも安価で入手することができるため、コストパフォーマンスに優れたシーリング材です。しかし、充填したシーリングからシリコンオイルが出続けてしまうため、その上に塗装ができないという特徴があります。そのため、外壁部分に使用することはほとんどありません。誤って外壁に使用した場合、すべて除去する必要がありますので、余計な手間とコストがかかってしまうため、ご自身でシーリングを充填する場合には注意が必要です。
ポリイソプチレン系シーリングは、シリコーン系シーリングに代わる次世代のシーリング材として期待されているシーリング材です。シリコーン系シーリングで問題となるのは、出続けるシリコンオイルです。シリコンオイルが空気中の埃などを吸着すると、その周りが黒く汚れてしまい、美観を損なうことになってしまいますが、ポリイソプチレン系シーリングでは、シリコンオイルが出ませんので美観を損なうことがありません。そのうえで、シリコーン系シーリングと同等の耐久性を有するシーリング材であると言われています。
変性シリコーン系シーリングは、シリコーン系シーリングと違い、充填後に多少のべた付きはあるもののシリコンオイルが出続けるということはありません。そのため、シーリングの上から塗装を行うことができます。しかし、耐候性はシリコーン系シーリングより少し劣りますので、シリコーン系シーリングが使用できる部位には、シリコーン系シーリングを使用したほうが耐久性は高くなります。
ポリサルファイド系シーリングは、表面にゴミなどが付着しにくく、耐久性が高いシーリング材です。しかし、ポリサルファイド系シーリングの上から塗装を行った場合は、塗料の変色や軟化が生じるため、汚染防止処理を行わなければなりません。また、柔軟性はあまり高くありませんので、大きく動くものに対しては使用することができません。そのため、使用用途は、サッシ周りやカーテンウォール、石目地などになります。
アクリル系シーリングは、1液型シーリングの「乾燥硬化形」に分類されるシーリング材で、シーリングの中の溶剤が蒸発することで硬化します。そのため、湿った場所であっても使用することができます。しかし、耐久性が低く、使用する機会はそれほど多くありません。アクリル系シーリングの使用用途は、モルタル外壁のクラック補修やタイルの目地、ALCの目地などに使用できますが、ほかに適したシーリングがある場合は、そちらを使用するほうが耐久性は高くなります。
ポリウレタン系シーリングは、ゴムの弾力性を有しており、追従性が高いため、クラックの補修や目地の補修に使用されることが多いシーリング材です。耐久性も高いのですが、紫外線には弱いため、充填したままにしておくと、劣化が早まってしまいます。また、アルコールによって硬化不良を起こすため、アルコールを使用したものと同時に使用することはできません。
窯業系サイディングボードには、1成分形の変性シリコーン系シーリングか、1成分形のポリウレタン系シーリングがよく使用されています。最近では、2成分形の変性シリコーンシーリングも比較的よく使用されています。(少し前まではウレタンシール材がメインになっていました。)
ALC板には、変性シリコーン系シーリング、アクリルウレタン系シーリングを使用します。表面を塗装で仕上げる場合には、ポリウレタン系シーリング(ノンブリードタイプ)を使用します。
- 塗装アルミニウムパネルには、2成分形のシリコーン形シーリングかポリイソプチレン系シーリング、変性シリコーン形シーリング、または1成分形のシリコーン形シーリングを使用します。
- 塗装鋼板・ほうろう鋼板パネルには、ポリイソプチレン系シーリングか変性シリコーン形シーリング、2成分形のポリサルファイド形シーリングを使用します。
- 押し出し成型セメント板には、変性シリコーン形シーリングか2成分形のポリサルファイド系シーリングを使用します。
- ガラス・マリオン方式のカーテンウォールには、1成分形のシリコーン系シーリングか、2成分形のポリイソプチレン系シーリングを使用します。
- 方立・無目ジョイントは、1成分形のシーリングだと追随性が劣るため、2成分形を使用します。
- 金属パネル方式のカーテンウォールには、シリコーン系シーリングを使用します。また、汚染防止の観点から、2成分形のポリイソプチレン系シーリングも使用することがあります。
- PCaパネル方式のカーテンウォールには、シリコーン形シーリングを使用します。
2成分型シーリング剤
シーリングの種類
シーリングには、大きく分けて1成分型と2成分型という分類の方法があります。その中に、それぞれ材質によって、「アクリル系」「ウレタン系」「ポリウレタン系」「シリコン系」「変性シリコン系」「油性コーキング系」「ポリサルファイド系」といった様々な種類があります。
- 1成分型とは、シーリングの成分だけで自然と硬化するタイプのことを指し、
- 2成分型とは、シーリングの成分だけでは硬化せずに、硬化剤などを混ぜることによって硬化させるタイプのシーリングを指します。
1成分型と2成分型の違い
1成分型のシーリングは、シーリングのみを使用すればいいため、手軽にシーリングを扱うことができるという特徴があります。そのため、1成分型は、主にご自身でシーリングのメンテナンスを行う一般の方向けの商品としてホームセンター等で取り扱われていることが多い商品となります。1成分型のほとんどの商品は、空気中の水分と化学反応を起こして硬化するため、天候による影響を非常に受けやすい商品であるとも言えます。そのため、晴れた日に行う場合と、湿度の高い日に行う場合とでは、硬化するまでの時間に大きな差が生じ、結果として、仕上がりにムラができる結果となります。
また、1成分型シーリングは、乾燥時にシーリングが痩せるという特徴も有しています。そのため、2成分型シーリングと同量を充填した場合は、乾燥後は1成分型シーリングのほうが分量が少なくなっているといえるのです。
一方、2成分型のシーリングは、シーリングと硬化剤の混合作業が必要となります。混合作業には、専用の攪拌機を使用するため、一般の方が使用するにはハードルの高い商品となりますが、硬化する条件が空気中の水分ではなく硬化剤となっていますので、安定して硬化させることができるシーリングとなっています。そのため、2成分型のシーリングは、主に業者が使用するシーリングとして商品化されています。
2成分型シーリングの施工方法
2成分型シーリングの施工は、基本的には1成分型のシーリングの施工方法と大きく変わりません。初めに、シーリングを充填する部分の清掃をしっかり行い、古いシーリングをすべて取り除きます(打ち替えの場合)。掃除の終わった充填部分に対して、バックアップ材を装填します。バックアップ材が装填できない場合は、目地の底にボンドブレーカーを貼付します。その後、シーリングがしっかり密着するよう、プライマーをムラが無いように塗り、乾燥するまで待ちます。
その間に、シーリングと硬化剤の混合作業を行うことになります。シーリングに硬化剤を混ぜることで徐々に硬化が始まってしまうため、実際に使用する直前にシーリングと硬化剤の混合作業を行うことになります。しっかりと混合作業を行った後、プライマーが乾いていたら、シーリングの充填を実施します。こうすることで、シーリングがしっかりと外壁材に密着し、耐久性の高いシーリングのメンテナンスを行うことができます。
1成分型シーリングを使用する外壁材に注意
1成分型シーリングを使用するすべての外壁に使えるというわけではありません。サイディングでは、1成分では非常に高くなっています。しかしRC構造では2成分型の方が良い場合があります。2成分型シーリングを扱うためには、専用の攪拌機を使用して混合作業が必要になったり、細かい作業で必要となる特殊な「ガン機」を用意しなければなりません。
これらの初期投資には、数十万円という金額が必要になるほか、これらを取り扱うことができる職人さんの存在が必要不可欠となります。
一方、1成分型シーリングであれば、ホームセンターなどで150円程度出せば、専用の「ガン機」を購入することができますし、混合作業が必要ありませんので専用の攪拌機も必要ありません。さらに、誰でも簡単に使用できますので、熟練の腕を持つ職人さんも必要ありませんので、低コストで工事を行うことができるのです。しかし、前述した通り、1成分型シーリングを使用した場合は、天候によって品質が大きく左右されるほか、タイミングによって大きくムラが生じることになります。色んな条件を考慮して、コーキングを使い分けることが大切です。
シーリング材専用容器回転式撹拌機「カルマゼ」は、その名前の通り、2成分型のシーリングをかき混ぜるための機材です。
シーリングの種類の違いについて
今回導入した、シーリング材専用容器回転式撹拌機「カルマゼ」も、この2成分型のシーリングの撹拌に使用する専用の機材の1つですね。また、拡販用の機材の他に、撹拌後のシーリングを吸い込み、打ち込みを行うための「ガン機」と呼ばれる機材も必要になります。このような専用の機材を購入しなければなりませんので、2成分型のシーリングを使用するには、1成分型のシーリングを使用するよりも初期投資がかかります。
しかし、初期投資を行ってしまえば、シーリングの量当たりの単価は2成分型のシーリングのほうが安く抑えることができます(価格差はおよそ1/2程度)。また、2成分型のシーリングのほうが痩せにくいという特徴がありますので、品質を高めるには2成分型のシーリングのほうが優れています。
一般的な塗装業者のシーリング
実は、多くの塗装業者は1成分型のシーリングを使用しています。2成分型のシーリングを使用しない理由としては、撹拌という作業が追加されますので、その作業を行いたくないという業者が多いという点と、撹拌の失敗により、品質が大きく低下するリスクがあるという点、そもそも初期コストをかけたくないという3つの理由が考えられます。2成分型のシーリングは、撹拌が不足していると、シーリング材がうまく硬化しません。そのため、せっかくシーリングを打ち直したにも関わらず、すべて取り除いて、新しいシーリングを打ち直さなければならないというリスクが生じます。
一方、1成分型のシーリングであれば、多少単価は高くても、撹拌不足によって硬化しないというリスクはありませんので、安全に使用することができます。そのため、2成分型のシーリングを取り扱わない塗装業者が増えてきています。
しかし、先述した通り1成分型のシーリングは、コストが高いわりに痩せやすいというデメリットが存在します。そもそもシーリングは、外壁材同士をつなぎ合わせるために使用するもので、その間から水分が入ってしまうと外壁材そのものの劣化が早くなってしまいます。痩せやすいということは、それだけヒビが入りやすく、外壁材の中に水分が入る可能性を高めることにつながります。つまり、品質面ではあまりよろしくありません。
通常の2成分型シーリングの撹拌機は、
容器を固定して、容器の中に撹拌するためのプロペラ等を入れて撹拌するのに対し、「カルマゼ」は、容器そのものを回転させることで撹拌を行います。たまに街で見かけるコンクリートのミキサー車のイメージですね。容器を回転させて撹拌しますので、撹拌の効率が良く、撹拌不足によって硬化しづらいというデメリットを未然に防止することができます
また、タイマー予約の機能もついていますので、シーリングを打ち直す直前に撹拌を仕上げるように予約することもできます。2成分型シーリングは撹拌後から徐々に硬化が始まっていきますので、作業直前に撹拌が終了するのが望ましいのですが、これまでは撹拌時間を考えながら他の作業をスケジューリングする必要がありました。しかし、予約機能によって、他の作業に集中しながらも、シーリングを使用する直前に撹拌が終了しているという作業効率もアップする画期的な機材を導入しました。