屋根塗装

モニュエル瓦の塗装とメンテナンス: 注意点と手順

 モニュエル瓦(乾式コンクリート瓦)は、1980年頃から1990年頃に広く使われていた屋根材ですが、現在は生産されておらず、新築で用いられることはありません。モニュエル瓦が生産されなくなった原因は、その重さにあります。モニュエル瓦の重量は、金属屋根と比較して約6倍も重く、耐震性が低いため、徐々に使用されるケースが少なくなり、生産中止に至っています。そのため、破損した場合に替えが効かないという問題点があり、塗装によるメンテナンスしかできないのが現状です。

 そこで今回は、モニュエル瓦を使用している方のメンテンナンスとして重要な塗装の注意点についてご紹介します。

下地処理

 モニュエル瓦の特徴として、他の屋根材よりもチョーキングしたときの粉が多く、水を吸収しやすいという問題点があります。そのため、早めに発見しなければ、モニュエル瓦の劣化が早まることになります。

 モニュエル瓦の塗装を行う前には、このチョーキングした古い塗装を取り除かなければなりません。この作業は、高圧洗浄で行いますが、他の屋根材よりも粉が多く、そのまま高圧洗浄を行った場合、チョーキングした粉が飛散するため、必ず周囲をビニール等で取り囲み、チョーキングした粉が飛散しないように注意しなければなりません。

 モニュエル瓦の場合、チョーキングの粉が非常に多いため、この高圧洗浄を丁寧に行わなければ、後の塗装をどれだけ丁寧に実施したとしても、塗装の品質は低くなってしまいます。チョーキングの粉を落としきらずに塗装を行うと、モニュエル瓦そのものに塗料が付着せず、チョーキングの粉に塗料が付着するため、すぐに塗料が剥がれ落ちることとなり、耐久性が損なわれてしまいます。そのため、高圧洗浄を丁寧に実施し、チョーキングの粉をしっかりと落とすというのが、モニュエル瓦を塗装する上での注意事項の1つ目となります。

スラリー層の凝固

 モニュエル瓦の特徴として、モニュエル瓦の表面にスリラー層という塗膜があります。塗装のチョーキングが発生した場合は、このスリラー層もチョーキングを起こすため、他の屋根材よりもチョーキングの粉が多く発生してしまいます。

 下地処理でチョーキングの粉を取り除く際にどれだけ丁寧に高圧洗浄を行ったとしても、古いスリラー層がすべて取り除かれるわけではありません。できるだけスリラー層も高圧洗浄で取り除くのが理想ではありますが、どうしても残る部分が存在します。しかし、この状態で塗装を行っても、先述したとおり、チョーキングの粉に塗装が付着するため、すぐに塗料が剥がれます。そこで、スラリー層を凝固させるための専用の塗料を使用して、チョーキングしたスリラー層を固めます。この下塗りは、最低でも2回は実施しなければ、スリラー層をしっかりと固めることができません。

 通常の下塗り塗料を使用した場合、チョーキングしたスラリー層を凝固させることができませんので、必ずスラリー層を凝固させる専用の塗料を用いるという点が、モニュエル瓦を塗装する上での注意事項の2点目となります。

参考:シーラーとは、接着剤に近いです。【そしてものすごく大切な役割があります!】

上塗り

 モニュエル瓦の上塗りについても、スラリー層にしっかりと密着することができるよう、シーラーを入れずに、直接モニュエル瓦に塗装する方法を取る必要があります。この上塗りについても、1回だけでは耐久性が乏しくなるため、必ず2回以上塗装を行わなければなりません。可能であれば、高耐久塗料を使用するほうが、耐久性が向上するため、無機塗料などの塗料を使用することをおすすめします。

 さらに耐久性を向上させる方法として、上塗りが終わったあとで、クリアのコーティング剤を使ってさらに塗装を行うという方法もあります。いずれにしても、塗膜の層をしっかりと作ることが重要となります。

モニュエル瓦の葺き替え

 モニュエル瓦は、すでに生産が終了しており、新しいモニュエル瓦を入手するのが非常に困難になっています。そのため、現在使用しているモニュエル瓦をいかに長く使用するかが重要となります。

 完全に割れてしまっているモニュエル瓦を修理することは難しいですが、コンクリート部分が見えているようなモニュエル瓦は、雑に扱うと塗装中に割れてしまうことがあります。そのため、それらの瓦は注意して取り扱わなければなりません。

 どうしても継続して使用できない場合は、問屋に問い合わせ、在庫があれば葺き変えることもできますが、在庫がなくあたらしいモニュエル瓦を確保できない場合は、別の屋根材に葺き替えることも検討しなければなりません。

 モニュエル瓦は他の屋根材と違い、注意すべき点が多々あります。これらの注意点をしっかりと理解した上で塗装を行わなければ、高い品質の塗装を行うことはできません。ヨコイ塗装では、モニュエル瓦の塗装について、専門の知識を有した職人が、品質を重視して塗装工事を実施します。モニュエル瓦の塗装でお悩みの方は、是非、ヨコイ塗装にご相談ください。

雨漏りと谷樋のメンテナンス

最近は急な大雨が多く、各地で浸水被害が発生しています。しかし、大雨でダメージを受けるのは、床からの浸水だけではありません。長年、屋根のメンテナンスを行っていない場合には、大雨による雨漏りも心配になります。

もし、雨の日に雨漏りしていることを発見した場合は、すぐに対処を行わなければなりません。雨漏りを放っておくと、家に深刻なダメージが入ってしまうことになってしまいます

雨漏りの原因

 雨漏りは、台風や大雨によって屋根にたまった水分が家の中にまで侵入してきてしまう状況のことを言います。

昔のコントのように、屋根からぽたぽたと水が落ちてくるような深刻なものではなく、天井にうっすらシミができるようなものも雨漏りしている状況といえます。雨漏りは、台風や大雨によって屋根が壊されて発生していると思われがちですが、実はそうではありません。

屋根は、瓦屋根であってもコロニアルであっても、屋根材だけで防水しているわけではなく、屋根材の下に「ルーフィング」と呼ばれる防水シートを貼って、屋根の中に水が入るのを防いでいます。雨漏りは、屋根材とルーフィングが経年劣化したことで、水を防ぐことができなくなり、徐々に屋根の中に水が入り込んでしまうことによって発生するのです。

雨漏りを予防する方法

 雨漏りを予防するためには、定期的に屋根をメンテナンスすることが必要となります。

雨どいの清掃

定期的なメンテナンスの1つは、屋根に水が溜まらないように、雨どいの掃除を行うという方法です。屋根にたまった水は、雨どいを伝って地面に落ちる仕組みになっています。この雨どいに落ち葉やごみがつまってしまうと、雨どいから地面に排水することができなくなってしまい、屋根の上に水が溜まり続ける状況になってしまいます。

屋根に水が溜まった状態が続くと、トイが淀み、虫が発生する可能性も高まります。その結果、屋根材やルーフィングの僅かな隙間から、虫などが侵入してしまいます。そのため、雨どいを掃除し、水が排水される環境を整えることで、建物自体の劣化を防ぐことができます。

ルーフィング等のメンテナンス(トップライト設置時は特に要注意)

トップライトの例で。鉛スカートが経年劣化と施工不良が原因で破れていました。その結果隙間から、雨水が入り込んでしました。このようにルーフィングは、経年劣化による張り替える必要がある時もあります。ルーフィングには、以下のように様々な種類があります。

  • アスファルトルーフィング  一般的な防水シートです。フェルト状の原紙にアスファルトをしみこませたものです。そのため、貼り付ける際に、非常に小さな穴が開きます。もし雨水などが溜まったりすると、そこから建物自体に浸入する可能性があります。
  • 改質アスファルトルーフィング  通常のアスファルトルーフィングがverアップしたものです。合成樹脂やポリマーなどを加え、耐久性が高まっています。
  • ゴムアスルーフィング  ルーフィングを貫通しているタッカーにまとわりつき、針穴による影響を受けにくくなります。
  • 粘着式(自着式)ルーフィング  裏面に糊みたいな接着剤があるルーフィングです。シールのように施工することができます。穴を空けることがないため、穴からの雨水の侵入リスクを軽減できます。

 

屋根のメンテナンス

屋根材のメンテナンスには、屋根材そのものの劣化による屋根材の交換と、屋根材に塗られた塗料の劣化による塗装工事の2つの方法が考えられます。屋根材が劣化し、破損している場合は、屋根材そのものを交換する必要があります。壊れた屋根材を放置していると、第1次防水となる屋根材のうち、破損した部分のみが常時ルーフィングでの第2次防水となり、その部分の劣化が早まってしまいます。

また、その状況でルーフィングが劣化し、損傷すると、雨漏りにつながってしまうため、屋根材そのものが破損している場合には、屋根材を交換する必要があります。もちろん、破損部分が小さく、補修することで防水することができる場合には、屋根材の補修も選択肢として含めることができます。

次に、屋根材に破損がない場合のメンテナンスですが、屋根材に破損がなくても、屋根材で防水できているのは屋根材に塗られた塗料の膜(塗膜)の防水機能ですので、定期的に塗装を行う必要があります。(どうしてもメンテナンスコストがかかるので、建築時にカラーベストより瓦を選ぶのが一番理想です。)

屋根は劣化が激しいので、どうしても10年毎の塗装が求められます。したがって今後のコストを考えると瓦への交換も考慮してよいかと思います。カラーベストに破損がないからと、長年放置してしまうと、カラーベストが劣化し、劣化したり変形したりして、第2陣であるルーフィンへの接触度合いも増えてきます。塗料による防水性能は、7~10年程度の耐久年数と言われていますので、少なくとも10年に1回は、カラーベスト自信の耐久性を高めるために、塗装工事をおこなわなければなりません。

参考:トタン屋根のメンテナンスと塗装工事

谷樋のメンテナンス

屋根の縁に取り付けられた、半円柱型のものが軒樋、軒樋から伝わってきた水を下に落とすために地面に向かって垂直に備えられているのが竪樋と呼ばれ、これらを合わせて雨樋と呼ばれています。建物の下から見える樋は、この雨樋になりますが、屋根に上らなければ見えない樋もあります。それが「谷樋」と呼ばれる樋です。実は、雨漏りの一番多い原因は、谷樋の劣化とも言われています。

谷樋

谷樋の役割

屋根がすべて1方向にしか向かっていない場合、水の流れも1方向だけですので、水はすべて軒樋に集まります。しかし、建物の形によっては、複数の屋根が取り付けられており、水の流れが1方向だけではない場合もあります。谷樋は、そんな2方向から水の流れがぶつかる場所に対して取り付けられる樋になります。水の流れが2方向から集まる場所は、そのままにしておくと水の流れが悪く、うまく軒樋に水を流し込むことができません。そのため、2方向から来た水を、軒樋に落とし込むのが谷樋の役割になります。

谷樋の劣化

谷樋が付けられている、水の流れが2方向からぶつかる場所というのは、下から屋根を見上げても見ることができない場所になりますので、谷樋を屋根の下からチェックすることができません。しかし、谷樋は軒樋や竪樋と異なり、様々な形状のものが必要となりますので、柔らかく加工がしやすい銅板が使用されるケースが多いのですが、この銅板は、強い雨や瓦に使われている釉薬との化学反応などにより、穴が開いてしまうことがあります。谷樋に穴が開いてしまうと、軒樋に流すべき水が、その穴から落ちてしまうことになります。

落ちた水は、谷樋の下にある「下ぶき材」と呼ばれる防水シートに落ちてしまうことになります。まだ、防水シート上に水分が少し落ちるだけなら問題ありませんが、谷樋に穴が開いたままになっていると、「下ぶき材」も劣化することになってしまい、屋根の内部に水分が侵入していくことになります。屋根の内部に侵入した水は、時間をかけて徐々に木材部分を腐食させてしまうことになります。

また、屋根の内部に水が侵入することで、それが木材部分を通過し、やがて建物内部に出てきてしまいます。つまり、雨漏りの状態です。谷樋の劣化は、下から見上げても発見することができませんので、穴が開いてしまっていても、なかなか発見することができません。そのため、樋の劣化による雨漏りのうち、最も多いのが谷樋の劣化となっています。

谷樋

谷樋のメンテナンス

谷樋のメンテナンス方法として、最も多いのが、銅板を使用している場合に、ステンレス製の谷樋に交換するという工事になります。銅板が出始めたころは、銅板は耐久性が優れているといわれていましたが、近年、先述した通り、銅板に穴が開く症状がみられるようになってきたことから、銅板の谷樋からステンレス製の谷樋に変更する方が多くなってきました。

また、現時点で谷樋に穴が開いていない場合や、ステンレス製に交換した場合、銅板をそのまま使い続ける場合には、塗装を行うことで谷樋の強度を高めることができます。ただし、谷樋の塗装をDIYで実施することはお勧めしません。その理由として、塗装やメンテナンスの経験が少ない方が谷樋のメンテナンスを行った場合、谷樋から軒樋に流すべき水が、メンテナンス不良によってうまく流れなくなってしまうことがあるからです。もちろん、これは素人の方々だけに当てはまるものではなく、塗装業者にも当てはまります。

外壁塗装と谷樋の塗装では、もともとの素材が異なりますので、塗料や塗装方法が大きく異なります。その点について、認識がない業者が塗装を行ってしまうと、谷樋本来が持っている機能を損なってしまい、余計に雨漏りの原因になってしまう可能性がありますので、依頼する業者には注意が必要です。(特に雨漏りの原因となりやすい釘が打っている部分には注意が必要です。)

谷樋は、最も目につきづらい屋根の構成部分であり、最も雨漏りの原因になりやすい部分でもあります。谷樋に使用されている素材にもよりますが、谷樋についても、定期的なメンテナンスを欠かすことはできません。しかし、屋根に上がらなければチェックできない部分になりますので、なかなかご自身で劣化状況をチェックすることができません。そこで、外壁塗装や屋根の塗装を行う際に、同時にチェックされることをお勧めします。

谷樋

(グレーの部分が錆止めを塗った谷樋。ほかは中塗りと上塗りの色を変えて塗り残しがないようにしてあります。)

外壁や屋根の専門家が、塗装前にしっかりと確認を行いますので、メンテナンスの要否がしっかりと分かります。谷樋も、外壁塗装に合わせてしっかりメンテナンスを行い、雨漏りを未然に防止しましょう。

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